公務員の方々は、安定した地位で真面目に仕事をして生活をしていることが多いので、事件を起こすことについても注意をしている人が多いです。
そのような公務員の方々ですが、アルコールで失敗して犯罪を行ってしまうことがあります。
気が付いた時には後悔の感情でいっぱいで、弁護士に相談・依頼するケースが少なくありません。
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、アルコールで失敗して犯罪を行ってしまったケースについて解説いたします。
飲酒運転
公務員の方々であれば、普段から代行を頼んだり徒歩で移動したりして、気を付けている人が多いです。
しかし、お酒が入ることで気が大きくなり、飲酒運転をしてしまうケースがあります。
この程度なら大丈夫だ、短い距離だから大丈夫だ、自分なら大丈夫だ、急ぎの用があるから仕方がない、などと考えて運転してしまうのです。
道路交通法で、酒気を帯びて車両等を運転することが禁止されております。
身体に保有するアルコールの程度が、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上であれば、酒気帯び運転として3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(道路交通法第117条の2の2第1項第3号・道路交通法施行令第44条の3)。
さらに、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態であれば、酒酔い運転として5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(道路交通法第117条の2第1項第1号・第65条第1項)。
飲酒運転により、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、過失運転致死傷罪として7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。さらに、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死傷させたと判断された場合は、危険運転致死傷罪としてさらに重い犯罪となり、負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の有期懲役となります(同法第2条第1号)。
人身事故を起こし、救護措置や警察への連絡をせずに逃げたら、更に轢き逃げとなり、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(道路交通法第117条第2項)。
性犯罪
アルコールで酔って、性犯罪を行ってしまうケースも多いです。
普段のストレスを解消するため、飲食店で過剰な飲酒をしてしまい、帰りに性犯罪を行ってしまいます。
酔いが覚めたら自分のした事を覚えていないが逮捕されていた、という状況が珍しくありません。
酔っぱらって、外で下半身裸で歩き回る人もいます。
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となります(刑法第174条)。
酔っぱらって、いわゆる痴漢行為をしてしまう人もいます。
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接身体に触れる行為をしたら、迷惑行為防止条例違反となります。東京都の場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
更に強い態様のわいせつ行為をしたら、不同意わいせつ罪が成立します。
逆に、他人にお酒を飲ませて、断るのが困難な状態にしてわいせつ行為をしても、不同意わいせつ罪が成立します。
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の懲役刑(拘禁刑)となります(刑法第176条第1項)。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
また、不同意わいせつ罪の各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意性交等罪として5年以上の有期懲役刑(拘禁刑)となります(刑法第177条第1項)。
その他の犯罪
住居侵入
酔って気が大きくなり、他人の家に侵入するケースもあります。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、住居侵入罪として3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります(刑法第130条)。
窃盗
酔った勢いで、お店や他人の家で物を持って行ってしまうケースもあります。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(刑法第235条)。
暴行・傷害
酔って人に対して因縁をつけ、暴力を振るうこともあります。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、暴行罪として2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となります(刑法第208条)。
人の身体を傷害した者は、傷害罪として15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(刑法第204条)。
器物損壊
酔ってお店などの物を壊してしまうこともあります。
他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となります(刑法第261条)。
まとめ
公務員がアルコールで失敗して犯罪を行ってしまったら、失職や懲戒処分となる可能性があります。
アルコールに関わる犯罪でお悩みの方はぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
今後の対応について、丁寧にご説明いたします。
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