事件別―不倫

不倫とは

不倫とは正式な法律概念ではありませんが、一般的に、婚姻関係にある者が、配偶者ではない者と肉体関係になることなどと定義することができます。

不倫自体は、犯罪行為ではなく、刑事責任を問われることはありませんが、不倫をした者(不倫相手も含みます)は、原則として、不倫された配偶者に対し民事上の責任(不法行為責任。民法709条)を負い、いわゆる慰謝料を支払う義務を負うとされています。こうした点については、基本的に、不倫をした者が公務員かどうかで変わることはありません。

また、不倫の際に犯罪行為を行った場合には、当然、その点について刑事責任を問われる可能性があります。暴行や脅迫を用いて性交を強要した場合には、不同意性交等罪(旧強制性交等罪・旧強姦罪(刑法177条))が成立しますし、単に暴行を行った場合には、暴行(刑法208条)や傷害(刑法204条)が問題となります。このような場合には、それぞれ該当し得る犯罪に応じた手続の流れや見通しが考えられますので、それぞれの犯罪について説明したページを参照してください。

不倫自体は欠格事由に該当しない

公務員が不倫をしてしまった場合、その地位にどのような影響があるでしょうか。なお、ここでは、不倫をした者が犯罪に該当するような行為をしていないことを前提とします。

公務員の場合、欠格事由というものが定められています。欠格事由に該当してしまうと、公務員は、当然に職を失うこととされています(国家公務員法76条、地方公務員法28条4項)。もっとも、不倫をしてしまったという場合、欠格事由には基本的に該当しません。

懲戒処分を受ける可能性はある

公務員の場合、欠格事由とは別に、懲戒処分を受ける可能性があります。

公務員の懲戒処分については、一定の基準が定められています。国家公務員の場合、人事院事務総長が発する「懲戒処分の指針」(平成12年3月31日職職―68)というものがその基準とされています(地方公務員の場合、基本的に各都道府県ごとに基準が定められています)。

その指針において、不倫に関して懲戒処分の対象となるかどうかは明らかとされていません。もっとも、たとえば、東京都教育委員会が公表している「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」において、児童・生徒に対して、「同意の有無を問わず、性行為を行った場合(未遂を含む。)」、免職、保護者に対して、「同意の有無を問わず、性行為を行った場合(未遂を含む。)」、免職・停職・減給とするとされています。

生徒や保護者と肉体関係となった場合(それが不倫でなくとも)、こうしたものに該当することにより、懲戒処分がなされることがあります。

また、警察庁長官官房長が令和2年6月1日付で発した「懲戒処分の指針の改正について(通達)」においては、「公務の信用を失墜するような」「不適切な異性交際等の不健全な生活態度をと」った場合、戒告とされています。この規定に、不倫が該当するかどうかは判然としませんが、最終的には、不倫行為の態様や、それに至る経緯、その後の事情など様々な事情を考慮して判断されることになります。

不倫行為をしてしまった場合、民事上の責任(該当する場合には刑事上の責任についても)や公務員としての地位に関し、どのような見通しとなり、それを踏まえてどのようなことをしていく必要があるか、早期に弁護士に相談する必要があります。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に扱う弁護士が依頼者に寄り添ってサポートします。不倫をしてしまい、今後どのような対応をすべきかご心配な公務員の方は、まずは弊所までご相談ください。

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