事件別―官製談合防止法違反

入札とは

たとえば、国が、国の施設を作ろうとしたとき、建設工事を民間の事業者に依頼しようとした際、広報やホームページ等で募集をし、応募した事業者の中から最も有利な条件(価格)を提示した事業者と契約をするといったことが行われます。

国等がこのような方法によって契約相手を選ぶことを入札といいます。

入札は、最も有利な条件(価格)を提示した事業者と契約をするものであり、これは自由競争が行われることにより、公正な行政の運営を確保するためのものです。

入札談合とは ~事例を題材に〜

国の担当者Xさんが、特定の事業者A社の利益を図ろうとして、A社や応募しようとしている他の事業者の担当者に対し、「今回の案件は、A社にお願いしようと思っている」と伝えた結果、他の事業者も協力して、今回の事業についてはA社が契約することになりました。(フィクションです)

このように、国や地方公共団体などの公共工事や物品の調達において、入札の際、入札に参加する企業同士が事前に相談して、受注する企業や金額などを決めることにより、競争をやめてしまうことを入札談合といいます。

こうしたことが行われると、行政の運営自体が不正なものとなってしまうため、規制する必要があります。

そこで、公務員がこうした入札談合に関与することを排除し、防止するために、官製談合防止法(正式名称:入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律)という法律が定められています。

官製談合防止法違反とは

官製談合防止法においては、「職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。」とされています(同法8条)。

先ほど話したXさんには、事業者に談合を唆したとして、この官製談合防止法違反が成立し、懲役刑か罰金刑に問われる可能性があります。

容疑がかかると逮捕される可能性が高い

官製談合防止法違反の罪の容疑がかかると、関与した事業者が多数にのぼる可能性や組織的に行われた可能性を疑われるなどして、逮捕される可能性が高いです。

特に、官製談合については、先ほども話しましたように、行政の運営にかかわることですので、逮捕された場合、報道される可能性も高いです。

事件のことが報道された場合、職場に知られる可能性が高くなり、職場に知られると、後で説明するように懲戒処分を受ける可能性が出てきます。

もっとも、実際に報道されるかどうかは、報道機関ごとの判断になり、早期に釈放されれば報道も回避できるかもしれません。

そこで、可能な限り早く釈放を目指す必要があり、逮捕された場合には少しでも早く弁護士に相談する必要があります。

身に覚えがないのに容疑を掛けられた場合

身に覚えがないにもかかわらず、官製談合防止法違反の容疑を掛けられた場合には、不起訴ないし無罪を獲得することを目指す必要があります。

具体的には、取調べの中で業務が適正だったことを説明したり、関係者に事情聴取して官製談合防止法違反に当たらない証拠を収集した上で、検察官や裁判所に証拠が不十分であることを説明するといったことが考えられます。

どのような活動をすべきかは事案に応じて異なりますので、身に覚えがないのにもかかわらず、官製談合防止法違反の容疑を掛けられた場合、弁護士に相談し、的確なアドバイスを受ける必要があります。

刑事処分を受けるとどうなるのか

官製談合防止法に違反する行為をしてしまい、懲役刑や罰金刑といった刑事処分を受けることになると、どのようなことが起こるでしょうか。

公務員の場合、欠格事由というものが法律で定められており、これに該当してしまうと、公務員は、当然に職を失うこととされています(国家公務員法76条、地方公務員法28条4項)。

そして、公務員が、官製談合防止法違反の罪を犯し、懲役刑の判決(執行猶予付きのものであっても)を受けた場合、この欠格事由に該当することになりますので、職を失ってしまいます(国家公務員法38条1号、地方公務員法16条1号)。

また、仮に、罰金刑にとどまった場合でも、懲戒処分の対象となり(国家公務員法82条1項3号、地方公務員法29条1項3号)、たとえば、国家公務員の場合、免職又は停職処分がなされることが予想されます(懲戒処分の指針(平成12年3月31日職職―68)第2・1⑾)。

官製談合防止法違反をしてしまった場合においても、懲役刑を回避し、欠格事由に該当しないことを目指したり、そもそも刑事処分を回避するための活動をしていく必要があります。

具体的には、取調べの中で官製談合防止法違反をしてしまった経緯にやむを得ない事情があったことを説明したり、そうした事情を説明するための証拠として、関係者に事情聴取した上で、検察官や裁判所にそうした事情を説明するといったことが考えられます。

この点についても、弁護士から的確なアドバイスを受ける必要があります。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に扱う弁護士が依頼者を親身になってサポートします。

官製談合防止法違反の罪に問われるかもしれないとご心配な公務員の方は、まずは弊所までご相談ください。

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