事件別―暴行・傷害

事例

国家公務員であるAさんは、同僚と居酒屋で飲んだ帰り道、通行人である男性Xさんと肩がぶつかったため、Xさんに対し「謝れよ」と声を掛けました。

それに対して、Xさんは謝らずに立ち去ろうとしたため、Aさんは、Xさんを追い掛けながら「おい待て」と声を掛けたところ、XさんがAさんの方を振り向いたため、振り向きざまにXさんの顔面を殴ると、Xさんはその場に倒れてしまいました。

Xさんは、Aさんの暴行により全治2週間の顔面打撲の怪我を負いました。なお、Aさんに前科前歴はありません。(フィクションです)

解説

⑴ 傷害罪の成立

Aさんは、Xさんに暴行を加えた挙句、それによって、Xさんに、全治2週間の顔面打撲という「傷害」を負わせていることから、傷害罪(刑法204条)が成立します。傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

なお、裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者ななど一定の公務員が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して、暴行又は陵虐(辱しめる行為)若しくは加虐(虐待を加える行為)をしたときには、特別公務員暴行陵虐罪が成立します(刑法195条)。

たとえば、警察官が取調べの際に、被疑者に対し、殴ってしまったという場合が該当します。

⑵ 逮捕を避ける必要がある

Aさんは、Xさんと面識はないと思われ、公務員という身分があることから逮捕される可能性が高いとは思われません。もっとも、Xさんの怪我の程度など事情によっては逮捕される可能性というのは否定できません。

Aさんが逮捕された場合、当然、仕事は一定期間休まざるを得なくなり、職場に事件のことを知られる可能性が高くなります。また、公務員が逮捕された場合、社会全体の関心が高いものとして、報道され、職場に知られるリスクが高くなってしまいます。

そこで、早期に示談交渉を開始する等して、そもそも身体拘束を回避することを目指す必要があります。ただし、AさんはXさんと面識はないと思われ、示談交渉するにもXさんの連絡先を知らないことが考えられます。こうした場合には、弁護士に依頼し、捜査機関に協力を求めながら示談交渉をする必要があります。

また、Aさんが逮捕された場合においても、実際に報道されるかどうかは、報道機関ごとの判断になりますので、早期に釈放を目指す必要があります。

逮捕された場合には、早期に身体解放を目指す必要があり、逮捕された場合には少しでも早く弁護士に相談する必要があります。

⑶ 懲役刑になると職を失うことに

傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。Aさんには前科前歴がないことから罰金刑となることが予想されますが、Xさんの怪我が非常に重たいものであるなど事情によっては、懲役刑となることも可能性は否定できません。

Aさんが懲役刑となった場合、仮に執行猶予が付いていたとしても、欠格事由に該当し、当然に職を失うことになります(国家公務員法76条、38条1号。地方公務員については地方公務員法28条4項、16条1号)。

そこで、Aさんに懲役刑が科される可能性がある場合、Aさんとしては、不起訴や罰金刑にとどまるような活動をしていくことが重要となってきます。具体的には、被害者に対し謝罪した上で、示談をするといったことが考えられますが、示談交渉に際しては、弁護士が介入する必要性があることについては先ほど話したとおりです。

⑷ 懲戒処分となる可能性も

Aさんが欠格事由に該当しない場合であっても、事件のことが職場に知られると懲戒処分がなされる可能性があります(国家公務員法82条1項3号。地方公務員については地方公務員法29条1項3号)。

国家公務員の場合、「人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。」とされています(懲戒処分の指針(平成12年3月31日職職―68)第2・3⑶)ので、Aさんにもこうした処分がなされることが予想されます。

そこで、そもそも職場に知られないための活動をしていく必要があります。

先ほど話したように、そもそも身体拘束を受けないことを目指していく必要があります。また、捜査に積極的に協力し、職場に連絡する必要がないことなどを、捜査機関に説明し、早期に不起訴とするように働き掛けていくといったことが考えられます。

事件のことが職場に知られ、懲戒処分を受けるかが問題となった場合においても、実際にどのような懲戒処分を受けるかは、先ほど話したような基準をベースとしつつも、様々な事情を考慮して判断されることになります。

ここで考慮される事情には、被害者と示談ができているかどうかといった点も含まれると考えられます。よって、懲戒処分を受ける可能性が出てきた場合、職場に対し、そうした事情をきちんと説明していく必要があります。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に扱う弁護士が依頼者を手厚くサポートします。

暴行や傷害の罪に問われるかもしれないとご心配な公務員の方は、まずは弊所までご相談ください。

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