事件別―横領

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事例

市職員として会計業務に携わっていたAさんは、次第に管理を任されている現金の着服に手を染めていくようになりました。

収支が合わないことから横領を疑われたAさんは、所属部署から事情を聞かれることになりました。(フィクションです)

解説

刑法252条1項は横領罪について「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する」と定めています。

横領罪では、委託信任関係に基づいて物を事実上もしくは法律上支配する者が、委託の任務に背いて権限外の処分を行うことを処罰の対象としています。

実際に横領行為が問題になる際には刑法253条に規定される業務上横領罪として扱われることが多く、その場合は「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する」とされています。社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務の場合、業務上横領罪となります。

横領罪や業務上横領罪は公務員に限った事件ではありませんが、公務員として横領に関する事件を起こしてしまった場合、次のような問題に直面します。

まず、横領罪も業務上横領罪も罰金刑(刑法15条)の定めがなく、刑罰は懲役刑(刑法12条1項)のみであることがポイントです。

そのため、検察官が処分を決めるにあたって、不起訴処分(刑事訴訟法248条)ではなく公判請求されてしまえば、刑事裁判を受けることになります。

刑事裁判になった以上は、無罪判決を除いて公務員の失職事由である「有罪判決が宣告された」に該当することになります(国家公務員法76条、同38条1号。地方公務員法28条4項、同16条1号)。

すなわち、執行猶予(刑法25条1項)判決を得るだけでは公務員としての失職は避けられないのです。

他方、所属先に事件のことが発覚してしまった場合でも、横領額や弁済の意思及びその見込みによっては、告訴(刑事訴訟法230条)されずに刑事事件化しなくて済む可能性もあります。

早期の対応によって結果が大きく変わり得るため、横領罪を起こしてしまった場合は、初動対応が何より重要になってきます。

もっとも、正確な見通しを立てて、弁償に関する適切な申し入れを行うといった一連の手続をすべて一人で行うことは現実的ではありません。

横領事件を起こしてしまった場合は一人で対応するのではなく、法律の専門家である弁護士の助力を得ることが肝要です。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に扱う弁護士事務所です。横領事件を起こしてしまった場合の所属先との対応や被害弁償計画の提案、刑事告訴された際に不起訴処分を求めるための検察官への働きかけなど、これまで培ってきた経験を活かして、誠心誠意、弁護活動に取り組みます。

早期の対応が鍵となりますので、横領事件を起こしてしまった公務員の方は、まずは弊所にご相談ください。

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