公務員の懲戒ーインターネット書き込みでの懲戒免職のケースを解説

公務員の方であれば、何らかの犯罪行為を行ったことで検挙されれば、多くの場合それが職場に発覚し、懲戒処分を受けるのはお分かりかと思います。しかし、犯罪行為以外でも懲戒処分になるリスクがあることはご存知でしょうか?
 今回は、インターネット上での書き込みで懲戒処分になる場合について、実際の事例を交えてご説明していきたいと思います。
 
実際の事例
https://news.yahoo.co.jp/articles/9eb6ab0b4c3f6183b46a10e27d95a5f1795e3e69
(Yahoo!ニュース。令和6年12月15日閲覧。)

インターネットで他人に対する不適切な書き込みを行ったとして、大分県佐伯市の45歳の男性職員が12月11日付で、懲戒処分を受けました。
減給10分の1、1か月の懲戒処分となったのは大分県にある佐伯市役所の弥生振興局地域振興課に勤務する45歳の男性副主幹です。
佐伯市によりますと男性職員は水道課に所属していた2023年9月、勤務時間外にインターネット上で公務員としてふさわしくない他人に対する不適切な書き込みを行ったということです。
2024年に入り外部の人から情報提供があり、市が調べて発覚しました。
市は被害者保護の観点から書き込みの内容などは明らかに出来ないとしていて、「市民の信頼に応えるため綱紀の保持を徹底する」話しています。

関係法令
 そもそも、侮辱や名誉毀損にあたるかどうかと、公務員としての不適切な投稿にあたるかどうかは、相当の隔たりがあると考えられます。
 侮辱や名誉毀損については具体的に他人を特定して、社会的評価を下げる具体的事実の指摘や、社会的評価を下げる言葉を発するようなことを行わなければならないのですが、「不適切な行為」を評価するに当たっては具体的に誰に言うのか、という点はあまり関係がなくなってくると考えられます。
処分基準については、人事院の「懲戒処分の指針について」が参考になります。
実際の処分基準は各自治体などで違いますが、概ね同じような基準が設けられていることが多いです。

1 一般服務関係
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

2 公金官物取扱い関係
(10) コンピュータの不適正使用
職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

「3 公務外非行関係」で名誉毀損や侮辱は列挙されていませんが、法定刑の近いものと比較して減給~停職あたりが考えられるところです。

弁護活動
 犯罪に当たらない行為でも不適切とされた場合、懲戒処分が行われる可能性があることがご理解いただけたと思います。今回紹介した事案だと、勤務中のパソコン不正利用なども関わっていると考えられます。実際の事案においては、書き込みの具体的内容、書き込みの方法や時間、発覚の経緯、職場における具体的な職務内容や立場が処分内容に相当関わってくると考えられます。
 実際に、職場での聴き取りでどういった内容を答えるか、どういった点を主張していくか、などは弁護士がサポートに入った方がより分かりやすいでしょう。特に、実際の書き込みについては犯罪に当たるかどうかが微妙で、職務時間外などでもないような場合、供述や主張次第で処分が変わる可能性もあるので、弁護士に相談する意味が大きくなってきます。

まとめ
具体的な犯罪行為に当たるかどうかが怪しい場合でも、懲戒手続に当たっては注意して臨んだ方が良いことが分かっていただけたと思います。なんてことはない、どうせこの処分になることは決まっている、と思わずに、一度弁護士に相談する等をしていく必要があります。
刑事事件にあたることをしていない場合でも、懲戒処分を受けるのではないかとお悩みの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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