公務員が交通犯罪をしてしまったらぜひご相談を―公務員が交通犯罪を起こした場合について解説

普段は真面目な公務員の方でも、交通犯罪を行ってしまい、懲戒処分を受けてしまうことがあります。

起訴されて正式裁判となったら、罰金処分の可能性は低く、執行猶予でも禁錮以上の刑に処せられ、自動的に失職となることもあります。

人事院が示している「懲戒処分の指針について」では、以下のように規定されております。

「4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係

(1) 飲酒運転

ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。

イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。

ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。

(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)

ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。

イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(3) 飲酒運転以外の交通法規違反

著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。」

飲酒運転

特に飲酒運転をすると重い処分となります。

酒酔い運転は、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転することです。

5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(道路交通法第65条・第117条の2第1項第1号)。

酒気帯び運転は、身体に保有するアルコールの程度が血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上で運転することです(道路交通法施行令第44条の3)。

3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(道路交通法第65条・第117条の2の2第1項第3号)。

飲酒運転をして人身事故を起こしたら、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が成立します。

飲酒運転により、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、過失運転致死傷罪として7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)第5条)。

アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為をして人身事故を起こしたら、危険運転致死傷罪となります。

人を負傷させた者は15年以下の懲役となり、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役となります(自動車運転処罰法第2条第1号)。

人身事故を起こし、救護措置や警察への連絡をせずに逃げたら、更に轢き逃げとなり、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(道路交通法第117条第2項)。

過失運転致死傷罪

過失運転致傷罪の「自動車の運転上必要な注意」とは、運転者が自動車を運転する上で守るべき注意義務をいいます。

発生した事故から見て、どのような措置を取っていれば事故の発生を回避することができたかを、事故の具体的状況に即して検討します。

運転者に対してそのような措置を講じるべき義務を課すことが、可能で相当かどうかを検討して、義務を怠っていると評価できる場合に、犯罪が成立することになります。

まずは、運転者に過失があるかどうかが検討されることになります。

人身事故が起きても、過失がなければ、犯罪とはなりません。

運転者に過失がなく、被害者に大きな過失があれば、運転者は刑事処分を受けません。

例えば、横断歩道の無い車道に急に歩行者が走ってきて衝突してしまったとしたら、歩行者の過失が大きく、運転者は衝突を回避することができなかったことから、犯罪は成立しないことになります。

致死傷という結果だけでなく、過失の評価が重要となります。

過失が大きければ、それだけ刑事処分も重いものとなります。

しかし、飲酒をした上で自動車を運転したとなれば、それ自体正常な運転に影響を及ぼすものであり、前方不注意や信号無視といった不注意をしやすくなってしまいます。

公務員の方が交通犯罪をしてしまったら、ぜひご相談ください。

懲戒処分や失職の可能性がある状態で、どのような対応をすればいいかをご説明いたします。

早い対応が必要となりますので、ぜひお気軽にお早めにご連絡ください。

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