公務員がパパ活行為を行って処分を受けた、というようなニュースが出ることがあります。このようなニュースは、基本的にパパ活でお金をもらって男性と会っていた女性側が、副業禁止規定違反に違反して懲戒処分を受けるケースのものです。
今回は、公務員がパパ活でお金を払って女性に会う行為をしており、それが勤務先に発覚した場合について考察してみます。
人事院 懲戒処分の指針について
国家公務員の懲戒処分については、概ね人事院が出している「懲戒処分の指針について」という基準に基づいて行われます。地方公務員については各自治体で異なりますが、概ね「懲戒処分の指針について」と同様の処分基準があります。
公務外非行の懲戒事由については、以下のようになっています(本記事と関係が薄いと思われるものは省略)。
(1) 放火
(2) 殺人
(3) 傷害
(4) 暴行・けんか
(5) 器物損壊
(6) 横領
(7) 窃盗・強盗
(8) 詐欺・恐喝
(9) 賭博
(10) 麻薬等の所持等
(11) 酩酊による粗野な言動等
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為
(14) 盗撮行為
本記事と関係があると思われるのが、(12)の淫行になります。パパ活の女性が成人であれば、基本的には「懲戒処分の指針について」に規定された懲戒事由には該当しません。
しかしながら、「懲戒処分の指針について」の基本事項には、「本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。」となっているので、該当するものがないからといって必ず処分がないとは限りません。例えば、不同意性交等(刑法第177条第1項)は「懲戒処分の指針について」には挙げられていませんが、悪質な性犯罪であり、法定刑も5年以上の有期懲役刑という重大な犯罪ですので、この事実が認められれば懲戒免職となります。また、パパ活において性交をすると買春となりますが、成人間でも売買春自体は違法な行為です(売春防止法第3条)。そのため、このような行為を繰り返しているのであれば、懲戒処分の対象となり得ます。地方公務員の方の場合では、それぞれ具体的に処分基準を見る必要があります。
弁護活動
ここまで説明してきたように、基本的には懲戒処分の基準に該当してこない行為ですが、近年好ましくないとされている行為であるので、懲戒処分の方向に動かないとも限りません。その場合、懲戒処分がなされないように、なされるとしても軽い処分にとどまるように弁護していく必要があります。
具体的には、弁護士が状況を聴き取った上、不利な事実(例えば、実際にその「パパ活」で女性を何回も「買って」いる等)が出ないように対応をアドバイスする、処分基準に則した処分を行うように意見書を作成する、過去の処分例に即して処分を行うよう申し入れる、といったところです。
たしかに、懲戒処分がなされるかなされないかに関わらず、職場に居づらくなるのであればあまり意味がないと思われるかもしれませんが、懲戒処分を受ければ公表される可能性があるなど、再就職にも大きく影響が出る可能性があります。
まとめ
このように、公務員がパパ活で女性にお金を払って会う場合でも、懲戒処分がなされる可能性がないとは言えませんし、もしかすると懲戒処分をする、という状況になってしまっていてお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合に、何をどう主張するのか、事実を詳細に聴き取って陳述をして頂き、弁護士の方でも意見を出すことで懲戒処分を防ぐことができるかもしれません。
パパ活が発覚してお悩みの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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