公務員による未成年者に対する性犯罪―公務員から未成年者に対して成立し得る性犯罪について解説

公務員が未成年者に対して性犯罪を行い、逮捕されたとの報道が少なくありません。

公務員という地位の重要性から、実名報道されることも多いです。

職場に知られたら懲戒処分を受けることになります。教職員がした場合や、児童売春の場合、免職となることも多いです。

起訴されて執行猶予でも禁錮以上の判決を受けたら、自動失職となります。

淫行条例違反

18歳未満の者と性行為・わいせつ行為をしたら、各都道府県の淫行条例(青少年健全育成条例)違反となります。

児童買春

お金を渡す約束をして18歳未満の者と性行為・わいせつ行為をしたら、児童買春となります(児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第2項・第4条)。

迷惑防止条例違反

いわゆる痴漢として、各地方公共団体の迷惑防止条例違反の成立が問題になります。

各地方公共団体によって成立要件は異なりますが、一般的には、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接身体に触れることをしたら、迷惑防止条例違反となります。

服の上からお尻を触ったりすることが典型例です。

常習性が認められたら、より重く処罰されます。

不同意わいせつ罪

不同意わいせつ罪は、迷惑防止条例違反より程度の高い行為が対象になります。

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をしたら、不同意わいせつ罪が成立します(刑法第176条)。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。

二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。

三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。

四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。

五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。

六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。

七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。

八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

服の上からでも胸や女性器等を触った場合に問題となります。

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をしたら、不同意わいせつ罪が成立します。

医療行為や宗教行為等と偽ったり、暗闇の中で恋人等と勘違いさせたりして、わいせつな行為をすることが典型例です。

16歳未満の者に対し、わいせつな行為をしたら、同意があっても不同意わいせつ罪が成立します。

ここでは、相手が16歳未満であることを知っていたかが問題となります。

16歳未満であることを知らなかったら、犯罪は成立しません。

不同意性交等罪

不同意わいせつ罪に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交等をしたら、不同意性交等罪が成立します(刑法第177条)。

性交等は、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものをいいます。

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をしたら、不同意性交等罪が成立します。

医療行為や宗教行為等と偽ったり、暗闇の中で恋人等と勘違いさせたりして、性交等をすることが典型例です。

16歳未満の者に対し、性交等をしたら、同意があっても不同意性交等罪が成立します。

ここでは、相手が16歳未満であることを知っていたかが問題となります。

16歳未満であることを知らなかったら、犯罪は成立しません。

監護者わいせつ罪・監護者性交等罪

18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて、わいせつな行為をしたら監護者わいせつ罪、性交等をしたら監護者性交等罪が成立します(刑法第179条)。

16歳未満の者に対する面会要求等罪

わいせつの目的で、16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をしたら、犯罪が成立します(刑法第182条)。

一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。

二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。

三 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。

よってわいせつの目的で当該16歳未満の者と面会をした者は、更に重く処罰されます。

16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為を要求した者は、犯罪が成立します。

一 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。

二 前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。

盗撮

正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分を撮影したら、性的姿態等撮影罪が成立します(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条)。

わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態も対象になります。

多くはスカート内の盗撮が問題となっておりますが、トイレや着替えを盗撮する場合も問題となります。

不同意わいせつ罪にいう不同意の状態で撮影しても、性的姿態等撮影罪が成立します。

行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて撮影しても、性的姿態等撮影罪が成立します。

正当な理由がないのに、16歳未満の者を対象として撮影したら、同意があったとしても性的姿態等撮影罪が成立します。

公務員が未成年に対して性犯罪をしてしまったら、すぐにご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、経験豊富な弁護士が多数所属しております。

初回面談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

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