公務員の方であれば、刑事事件を起こして裁判を受け、何らかの刑罰を受ければ懲戒処分を受け、場合によっては懲戒免職となることをお分かりかと思います。
また、懲戒処分の重さも基本的には刑事処分の重さに比例しますし、そのこともおそらく想像がつくと思います。
しかし、刑事事件で不起訴処分となっても懲戒免職となるケースがあります。
今回は、最近のニュースを参考に、不起訴処分でも懲戒免職になる例について解説したいと思います。
関係ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d8b57bb8e1877f37def9738a8d1f4f042eeefce
(Yahoo!ニュース。令和6年10月23日閲覧)
以下、引用文
去年10月、北海道北見市で大麻を使用したとして、20代の男性消防士が懲戒免職となりました。
~中略~
北見地区消防組合によりますと、懲戒免職となった20代の男性消防士は、去年10月、北見市内で違法薬物と認識しながら大麻を譲り受けて使用したということです。
男性消防士は、今年5月31日付けで不起訴となっていましたが、北見地区消防組合は、その後の内部調査で男性消防士が大麻を使用したことを認めたことなどから、免職処分としました。
北見地区消防本部山田敏文消防長は「職員の不祥事により地域住民の信頼を大きく損ねたことを深くお詫び申し上げます。公務員である以前に社会人としてあってはならない行為であり、職員一人一人の倫理観の醸成を図るとともに、再発防止に取り組み、地域住民の信頼回復に努めてまいります」とコメントしています。
関係法令について
関係法令は、以下の通りです。紹介するのは国家公務員関係ですが、各自治体にも類似した運用をするところが多いと思われます。
懲戒処分の指針について
第2 標準例
3 公務外非行関係
(10) 麻薬等の所持等
麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。
懲戒処分の基準においては、刑事処分での確定判決を要件としていません。また、明確に法律に違反することも要件とはしていません。
したがって、処分権者が、十分な事実が揃っていると判断し、公務員として相応しくないと判断すれば、懲戒処分は行われることになります。
弁護活動
ニュースの事例については、「内部調査」となっていますが、処分を受けた男性職員から何らかの聴き取りを行っていることが考えられます。その聞き取りが、誰に相談する間もなく行われ、対応が上手くいっていない可能性があります。
弁護士がついていれば、ウソをつくなどをお助けすることはできませんが、懲戒処分がなるべくされないような対応が可能かもしれません。さらに、捜査段階から弁護士が関わることができれば、より懲戒処分がなされない可能性が高くなるでしょう。
捜査機関や、職場は、あなたがなるべくだれにも相談していない状態で証言・証拠を取って来ようとします。そのため、心当たりがあるのであれば早めに弁護士に相談することが重要です。
まとめ
麻薬関係だけではなく、その他の関係の事件でも、不起訴になったのに処分を受ける、という可能性が出てくるかもしれません。例えば、18歳以上の異性だと思って性的な関係を持ったのに、実は18歳未満だった、というような場合もあるでしょう。そのほか、警察では自分に有利な主張が出来ていた人でも、職場での聴き取りでは自分に不利なことを言ってしまうかもしれません。
そのような場合に、どう動いていくのか、何をどう主張するのか、弁護士と一緒に考えていくことで、良い結果が得られる可能性が上がります。
刑事処分と懲戒処分の関係でお悩みの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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