国家公務員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該国家公務員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができます。
一 国家公務員法若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合
免職は、国家公務員の身分をはく奪し、国家公務員関係から排除することになります。
停職は、1日以上1年以下の期間、国会公務員としての身分を保有するが、その職務に従事させないことになります。停職者は、停職の期間中給与を受けることができません。
減給は、1年以下の期間、その発令の日に受ける俸給の月額の5分の1以下に相当する額を、給与から減ずるものとされます。
戒告は、その責任を確認し、及びその将来を戒めるものとされます。
懲戒処分は、任命権者が、これを行うことになります。
人事院は、国家公務員法に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができます。
国家公務員の懲戒については、公正でなければなりません。
行政処分取消請求事件・昭和四七年(行ツ)第六三号・同五二年一二月二〇日最高裁第三小法廷判決では、以下のように示されています。
「ところで、国家公務員につき懲戒事由がある場合において、懲戒権者が懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分のうちいずれの処分を選ぶべきかは、その判断が、懲戒事由に該当すると認められる行為の性質、態様等のほか、当該公務員の右行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、広範な事情を総合してされるべきものである以上、平素から庁内の事情に通暁し、部下職員の指揮監督の衝にあたる懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきであり、懲戒権者が右の裁量権を行使してした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきである。したがつて、裁判所が右の処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである」。
懲戒の根本基準の実施につき必要な事項は、国家公務員法に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定めることになります。
「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職―68)(人事院事務総長発)」が定められております。
不服申し立ては、人事院に対して審査請求をすることになります。
審査請求は、処分説明書を受領した日の翌日から起算して3か月以内にしなければならず、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができません。
審査請求を受理したときは、人事院又はその定める機関は、直ちにその事案を調査しなければなりません。
調査の結果、処分を行うべき事由のあることが判明したときは、人事院は、その処分を承認し、又はその裁量により修正しなければなりません。
調査の結果、その職員に処分を受けるべき事由のないことが判明したときは、人事院は、その処分を取り消し、職員としての権利を回復するために必要で、且つ、適切な処置をなし、及びその職員がその処分によって受けた不当な処置を是正しなければなりません。人事院は、職員がその処分によって失った俸給の弁済を受けるように指示しなければなりません。
人事院に対して審査請求をすることができるものの取消しの訴えは、審査請求に対する人事院の裁決を経た後でなければ、提起することができません。
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき、処分又は裁決の日から1年を経過したときは、提起することができません。
公務員の方で懲戒処分について不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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