就職前の犯罪行為-就職前の犯罪行為が公務員の職にどのような影響を及ぼすかについて解説

現在公務員として在職している人が犯罪行為を行い、警察に逮捕されて裁判で有罪になった場合に、懲戒処分を受けることは公務員の皆様であれば容易に想像できるかと思います。

 では、公務員になる前に犯罪行為を行い、それが立件されて公訴時効にかかる見込みがない場合はどうなるのでしょうか?

 法的な説明と、懲戒処分等に対する対処をご説明したいと思います。

関係法令について

 公務員の犯罪についての関係法令は以下の通りです。

国家公務員法

(欠格条項)

第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。

一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

(懲戒の場合)

第八十二条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

三国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

地方公務員法

(欠格条項)

第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。

一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

(懲戒)

第二十九条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

三全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

 国家公務員法、地方公務員法どちらも、「職員が」非行に走った場合に懲戒をすることができると定めているので、就職前の犯罪行為によって直接的に懲戒処分をすることができるわけではありません。

しかし、

国家公務員法

(欠格による失職)

第七十六条 職員が第三十八条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、人事院規則で定める場合を除くほか、当然失職する。

地方公務員法

(降任、免職、休職等)

第二十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。

4 職員は、第十六条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、条例に特別の定めがある場合を除くほか、その職を失う。

とあるので、公務員になった後に懲役・禁錮の有罪判決を受けるとどちらも当然失職します。

弁護活動

 ここまで説明してきたように、公務員として行ったわけではない犯罪についても、直接的な懲戒の理由にはならないまでも、刑事裁判にかけられてしまえば当然失職の理由になります。結局公務員になる前の犯罪行為が分かってしまえば職場には居づらくなってしまうわけですが、発覚していなければ、まだ在職の余地はあります。そのため、公務員の方にあっては一般の方より一層刑事処分に関して気を配る必要があります。被害者がいるけれどもまだ警察に被害届などを出していない、というケースなら、なおのこと弁護活動が効果を発揮する可能性があります。

 また、職場によっては懲戒処分などをちらつかせてくる可能性があるのですが、基本的には懲戒処分にはならないと考えられるので、そのような場合は職場に対して懲戒の事由には該当しない旨申し入れていくことも考えていく必要はあります。

 いずれにしても、まずは公務員になる前の犯罪行為について心当たりがある段階か、警察の捜査が入った初めの段階で弁護士に相談することが有効でしょう。

まとめ

このように、公務員が就職前に行った犯罪行為でも、失職等のリスクが生じていることになります。実際にこの記事をお読みの方には、就職前に行ってしまった犯罪行為でお悩みの方もいるかもしれません。

そのような場合に、どう動いていくのか、何をどう主張するのか、弁護士と一緒に考えていくことで、良い結果が得られるかもしれません。

公務員になる前の犯罪行為でお悩みの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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