事件別―セクハラ・パワハラ・いじめ

セクハラ・パワハラとは

公務員であるかどうかに限らず、職場において、セクハラ(セクシュアルハラスメントの略)やパワハラ(パワーハラスメントの略)、いじめが行われることがあります。

セクハラとは、性的嫌がらせのことをいい、例えば、同僚の身体に無闇に触れたり、いわゆる下ネタを浴びせることで嫌悪感を抱かせることが挙げられます。

パワハラとは、一般に、社会的や職務上での地位が高い者が、同じ職場で働く者に対し、業務範囲を超えて自らの地位や立場を利用し、精神的及び肉体的に苦痛を与えることをいいます。

いじめは必ずしもそうした地位を利用せずに、精神的及び肉体的に苦痛を与えること等をいいます。

セクハラなどをしてしまったところ、それが犯罪行為に該当するものであれば、成立する犯罪に応じた刑事責任の追及が行われます。

セクハラに関していえば、強制わいせつや強制性交等、パワハラやいじめに関していえば、暴力を振るったのであれば、暴行や傷害、物を盗んだり隠したりしたのであれば、窃盗や器物損壊などが問題になるケースが想定できます。

こうした刑事責任を問われるような事案については、それぞれのページを参照してください。

基本的には欠格事由に該当しない

では、公務員がセクハラなどを行い、それが犯罪行為に該当しないような場合、公務員の職については、どのような影響があるでしょうか。

公務員の場合、欠格事由というものが定められています。欠格事由に該当してしまうと、公務員は、当然に職を失うこととされています(国家公務員法76条、地方公務員法28条4項)。もっとも、犯罪行為に該当しないセクハラなどにとどまる場合、基本的に欠格事由には該当しません。

懲戒処分を受ける可能性がある

もっとも、公務員の場合、欠格事由に該当しないとしても、懲戒処分を受ける可能性があります(国家公務員法82条1項3号、地方公務員法29条1項3号)。

公務員の懲戒処分については、一定の基準が定められています。国家公務員の場合、人事院事務総長が発する「懲戒処分の指針」(平成12年3月31日職職―68)というものがその基準とされています(地方公務員の場合、基本的に各都道府県ごとに基準が定められています)。

その指針において、セクハラについては、「他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動」と定義した上で、「ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。」、「イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。」、「ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。」とされています(第2・1⒁)。

また、パワハラについては、職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなもの(人事院規則10-16第2条)とした上で、「ア パワー・ハラスメント」「を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。」、「イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。」、「ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹(り)患させた職員は、免職、停職又は減給とする。」とされています。

ここで注意すべきなのは、先ほどから話しているように、それが犯罪に該当するかどうかは重要ではなく、こうした指針に該当するかどうかが重要となります。

もっとも、こうした指針はあくまで基準にすぎず、実際には様々な事情を考慮して判断されるものです。実際、先ほどの指針においても、「(14)及び(15)に関する事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。」とされています。

上記指針に該当するような行為をしてしまった、また、そうした疑いが掛けられている場合には、早期に弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスをもらう必要があります。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に扱う弁護士が依頼者を手厚くサポートします。セクハラやパワハラ、いじめをしてしまい、今後どのような対応をすべきかご心配な公務員の方は、まずは弊所までご相談ください。

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