1.逮捕されると
刑事手続の中には取調べや実況見分、ガサ入れと呼ばれる捜索差押え、法廷で行われる証人尋問や被告人質問など、様々なものがあります。
その中でもとりわけ懸念されるのは、警察による逮捕だと思われます。
逮捕には逮捕令状による通常逮捕(刑事訴訟法199条1項本文)や現行犯逮捕(刑事訴訟法213条)があります。
ひとたび逮捕がされると、警察署内の留置所で身体拘束がされることになります。この間は当然、自由に帰宅することもできませんし、外部と連絡をとることもできず、面会も制限されます。また、逮捕されてしまうと実名報道がされるおそれも高まります。
逮捕期間は最大で72時間に及びますが(刑事訴訟法203条1項,同205条1項)、その後に勾留決定がされてしまうと、最大でさらに20日間も身体拘束が続くことになります(刑事訴訟法208条1項,同条2項)。
留置所から出られないことはそれだけで心身の負担になりますし、身体拘束が長期化すれば勤務先を解雇されてしまうリスクもあります。逮捕されている間も捜査官による取調べは粛々と進んでいき、気がついた時には不利な供述調書が作成されてしまうといったことも珍しくありません。
このように、不利な調書の作成や身体拘束の長期化がされないためにも、逮捕直後から速やかに弁護士による助力を得る必要があります。また、そもそも逮捕がされるおそれがどの程度あるのか、逮捕を避けるためにどのようなことができるかについても、早期に弁護士へ相談することで、より正確な見通しを立てることが可能になります。
2.逮捕リスクを下げるための弁護活動
逮捕のリスクを下げるための具体的な弁護活動としては、被害者との示談を成立させてそもそも被害届が出されないように済ませる、捜査機関へ自首して逃亡のおそれがないことを示すといった方法が考えられます。
示談や自首そのものは弁護士がついていない状況でもできますが、被害者と直接に連絡をとることは、かえって証拠隠滅のリスクがあるという理由で逮捕リスクを高めてしまう場合もあります。
自首についても、適切に行わなければ法律上の自首扱いにならず、反対に逮捕されるきっかけを作ってしまうこともあり得ます。そのため、これらの対応を行うにあたっては、事前に弁護士へ依頼して、具体的な見通しのもと入念な準備を行い、しっかりと逮捕リスクの減少につながる形で弁護活動を行う必要があります。
3.公務員の場合
これに加えて、逮捕された方が公務員の場合はさらなる問題も生じます。例えば、逮捕された際の実名報道は、通常は氏名や年齢、大まかな住所地が公開されますが、職業については「会社員」や「自営業」のように、詳細までは明らかにされないことも多いです。
これに対して、公務員の方が逮捕された場合は、より詳細な所属先や部署まで報道されてしまうリスクがあります。また、逮捕されたこと自体が懲戒処分の一事情となり、免職となるリスクもあります。
このように、公務員の方の場合は、逮捕された際に受ける不利益がより大きくなるおそれがあります。もっとも、刑事事件を起こしてしまった場合に、逮捕の可能性やその時期を正確に見通すのは至難の業です。
何も手を打たないまま放置することで逮捕のリスクをいたずらに高めてしまうことや準備不足となることは何としても避けなければなりません。自首(刑法42条1項)を行う場合も、事前に弁護士がついていることで、逮捕リスクを効果的に減少させることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に扱う弁護士事務所としての経験を活かし、事件の見通しをはじめとする弁護対応であなたをサポートします。公務員の方やそのご家族の方で逮捕への不安がある場合は、まずは弊所にご相談ください。