公務員の勤務外での犯罪事件―公務員が公共の場で行う犯罪について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説

公務員といえども通勤や休日などは一般市民と同じですので、その際に問題行動を起こした場合、一般市民と同様に刑罰を受けます。一方で、公務員という特別な地位にあるため、勤務先(任命権者)から懲戒処分を受けることになります。ここでは、公務員が日常生活において犯罪を起こした場合について解説します。

法律違反について

公務員であっても、贈収賄罪(刑法第197条以下)のように公務員に限って成立したり刑が重くなる犯罪でなければ、一般市民と同様に刑罰を受けます。

任命権者による懲戒処分は、所属する国や地方公共団体の定める懲戒処分の基準に従って行われます。国家公務員の場合は、人事院の定める「懲戒処分の指針」によって行われます。地方公務員についても、同様の指針が定められています。行為の悪質性や被害者との示談の成立などにより変わってきます。

問題となる犯罪について

痴漢

電車内などの公共の乗り物内や駅、商業施設などの公共の場所で他人の臀部に触るなどすると、各都道府県の迷惑防止条例違反となります。刑罰は各都道府県の迷惑防止条例により変わってきます。東京都の迷惑防止条例では、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています(東京都迷惑防止条例第8条第1項第2号・第5条第1項第1号)。

痴漢行為の内容が、胸を触ったり下着を直接触るなどした場合、より悪質な態様ですので、不同意わいせつ罪(刑法第176条第1項第5号)が成立する可能性があります。法定刑は、6月以上10年以下とより重くなっています。

任命権者による懲戒処分については、国家公務員については、停職又は減給と定められています(「懲戒処分の指針」第2 標準例 3 公務外非行関係 (13)痴漢行為)。

地方公務員については、各地方公共団体で懲戒処分の指針が定められていますが、免職が含まれているところも多いです。現に、懲戒免職となる事例も多いです。

盗撮

駅、商業施設のトイレなどで盗撮をすると、迷惑防止条例違反となります。カメラで実際に撮影するだけでなく、カメラを差し向けたり設置するだけでも犯罪となります。また、不特定多数の使うことが予定されていない従業員用のトイレで盗撮した場合や、家の外から家の中を盗撮する場合も犯罪となるように定められているところもあります。刑罰は各都道府県の迷惑防止条例により変わってきます。東京都の迷惑防止条例では、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と定められています(東京都迷惑防止条例第8条第2項第1号・第5条第1項第2号)。

令和6年6月20日以降の行為については、性器や肛門、それらを覆っている下着などを撮影する行為は「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)」第2条の違反となります(性的姿態等撮影罪)。法定刑は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金とより重くなっています(同条第1項)。カメラを差し向けたり設置する行為は未遂罪となります(同条第2項)。

任命権者による懲戒処分については、国家公務員については、停職又は減給と定められています(「懲戒処分の指針」第2 標準例 3 公務外非行関係 (14)盗撮行為)。

地方公務員については、各地方公共団体で懲戒処分の指針が定められていますが、免職が含まれているところも多いです。現に、懲戒免職となる事例も多いです。

まとめ

このように、公務外で犯罪を行うと、刑罰を科せられるほか、懲戒処分を受けることになります。

公務員の方で公務外で犯罪を起こしてしまいお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

こちらの記事もご覧ください

公務員と服務規律

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら