公務員の性犯罪事件についての当事務所へのご相談・ご依頼は少なくありません。
以前から偏った性癖があり常習的に行っている人もいますが,職場のストレスから精神に問題を生じたり,アルコールの影響で行ってしまう人も多いです。
普段真面目な公務員の方ほど,ストレスによる精神的な問題を生じたり,アルコールの飲み過ぎで記憶を失って性犯罪を行ってしまうケースがあるように感じます。
単に性的欲求から性犯罪を行ってしまったということだけで評価するのではなく,背景事情から問題を分析して改善策を検討しなければなりません。
公務員が性犯罪を行ってしまったら,逮捕される可能性があります。
公務員という社会的地位の重要性から,一般の人よりも実名報道される可能性は高まります。
逮捕・勾留され,長期間身体拘束されるかもしれません。
職場にばれたら,懲戒処分を受けることになります。
起訴されて禁錮以上の刑に処されたら,執行猶予でも自動失職となります。
公務員が犯罪を行ってしまったら,一般の人より失うものが大きくなります。
迅速で慎重な対応が必要になります。
以下では,性犯罪の中でも,公然わいせつ罪,いわゆる痴漢の条例違反,不同意わいせつ罪,不同意性交等罪について説明します。
公然わいせつ罪
公然とわいせつな行為をした者は、公然わいせつ罪が成立し,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されます。(刑法174条)
公然わいせつ罪を行ってしまい,当事務所へご相談に来られる公務員の方は存在します。
お話を聞くと,やはり普段は真面目な方ですが,職場でのストレスが強すぎて,精神的な問題を生じてしまったのではないかと疑われるケースがあります。
いわゆる痴漢としての条例違反
各地方公共団体の迷惑行為防止条例により,いわゆる痴漢行為の処罰が定められています。
何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接身体に触れることをしたら,犯罪として処罰されます。
女性の服の上からお尻を触るようなケースが想定されています。
より程度が強くなり,服の上からでも胸を触るようなケースは次の不同意わいせつ罪となります。
不同意わいせつ罪
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意わいせつ罪が成立し,6月以上10年以下の懲役刑に処されます(刑法176条1項)。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
公務員による不同意わいせつ罪で多いのは,アルコールによるものです。
犯行時の記憶を失っているが,逮捕されて気づいたら警察署の留置場にいたというパターンも珍しくありません。
不同意性交等罪
不同意わいせつ罪の各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意性交等罪が成立し,5年以上の有期懲役刑に処されます(刑法177条)。
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
16歳未満の者に対し、性交等をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
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