公務員とパワハラ-公務員の行為がどこからがパワハラになるのかについて解説

公務員の方であれば、懲戒事由には様々なものがあり、職場内のトラブルやパワハラ、セクハラなども公務員生命を左右しかねない大ごとになることをお分かりのことと思います。
 今回は、最近のニュースを参考に、どう職場で立ち回っていくかを考えて頂き、懲戒が問題になってしまっている方に関しましては、弁護士を入れて対応するかを考えて頂けると良いかと思います。

関係ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/dc5b2f53ee6b2b7efc7f25d41209625747d9eff0
(Yahoo!ニュース。令和6年10月15日閲覧)
以下、引用文

岡山県新見市は11日、非正規職員にパワハラ行為をしたとして、市長部局の30代と20代の主事級男性職員2人を10日付で減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にしたと発表した。
 市によると、主事級職員2人は4~6月、同じ部署の非正規職員2人に対し、日常的にあいさつを無視したり、他の職員がいる前で大声で注意したりして精神的苦痛を与えたという。
 6月末に非正規職員の1人が総務課に申告し、市が事実確認していた。主事級職員はいずれも行為を認めており、非正規職員2人は既に退職している。
 戎斉市長は「公務員としての倫理観と自覚を欠いた言語道断の行為。再発防止に向けて法令順守の徹底を図る」とコメントした。

関係法令について
 パワハラ(パワー・ハラスメント)に関する関係法令は、以下の通りです。紹介するのは国家公務員関係ですが、各自治体にも類似した運用をするところが多いと思われます。

人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)
(定義)
第二条 この規則において、「パワー・ハラスメント」とは、職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。

懲戒処分の指針について
第2 標準例
1 一般服務関係
(15) パワー・ハラスメント
 ア パワー・ハラスメント(人事院規則10―16(パワー・ハラスメントの防止等)第2条に規定するパワー・ハラスメントをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
 イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。
 ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹(り)患させた職員は、免職、停職又は減給とする。


人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)の運用について
(令和2年4月1日職職―141)

第2条関係
1 この条の「職務に関する優越的な関係を背景として行われる」言動とは、当該言動を受ける職員が当該言動の行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものをいう。典型的なものとして、次に掲げるものが挙げられる。
一 職務上の地位が上位の職員による言動
二 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な状況下で行われるもの
三 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
2 この条の「業務上必要かつ相当な範囲を超える」言動とは、社会通念に照らし、当該言動が明らかに業務上必要性がない又はその態様が相当でないものをいい、例えば、次に掲げるものが含まれる。なお、このような言動に該当するか否かは、具体的な状況(言動の目的、当該言動を受けた職員の問題行動の有無並びにその内容及び程度その他当該言動が行われた経緯及びその状況、業務の内容及び性質、当該言動の態様、頻度及び継続性、職員の属性及び心身の状況、当該言動の行為者との関係性等)を踏まえて総合的に判断するものとする。
一 明らかに業務上必要性がない言動
二 業務の目的を大きく逸脱した言動
三 業務の目的を達成するための手段として不適当な言動
四 当該行為の回数・時間、当該言動の行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動

弁護活動
 ニュースの事例については、正規職員と非正規職員という点で優越的な関係があるとされた可能性が高いです。また、3カ月程度にわたってあいさつを無視する、というところなどについて、業務上必要がない、回数等について態様が社会通念に照らして許容される範囲を超えたとされる可能性が高いです。ただし、何をもって大声で、何をもって注意なのかというところは詳しくわかりませんし、懲戒の対象となった人の言い分も詳しくはわかりません。
また、パワハラが成立するとしても、懲戒処分が適切かどうかという問題があります。パワハラの期間が短かったり、職務への影響が大きくなかったなど懲戒対象者に有利な事情があるにもかかわらず重い懲戒処分が下されようとしているのであれば、これに反論して適切な処分に持って行く必要があります。既に不当な懲戒処分がされたのであれば、これを取消す必要があります。
 ただし、パワハラなどで懲戒になりやすくなっているのはおそらくですが事実でしょうし、メディアやSNS等の影響もあるからなのかパワハラであるとして関係部署に報告を行うハードルも低くなっていることは言えるでしょう。
 心配になっていることがある方や、実際に懲戒処分がされるかされないかが問題になってしまっている方は、一度弁護士への相談をされた方がよいかも知れません。相手方の言っていることが事実無根なのか、それとも相談者様のご認識が歪んでしまっているのかをはっきりさせることができると思いますし、事実無根であればそれに沿った供述が出来るようにし、場合によっては証拠収集なども出来る可能性があります。

まとめ
このように、普通に仕事をしていると思っていても、思わぬところについてパワハラだと指摘されるリスクが出てきます。実際にこの記事をお読みの方には、仕事の人間関係でお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合に、どう動いていくのか、何をどう主張するのか、弁護士と一緒に考えていくことで、良い結果が得られるかもしれません。文字数の都合で省略した内容についても、実際に相談に来ていただければご説明できます。
パワハラの関係でお悩みの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

こちらの記事もご覧ください
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