公務員と飲酒-公務員が飲酒して事件を起こしてしまった場合について解説

年末年始ともなると、公務員の方も忘年会などで飲酒する機会が多くなると思われます。飲み過ぎて酩酊し、事件を起こした場合、処分を受けることになります。
ここでは、公務員の飲酒にまつわる事件について解説します。

刑事事件
酔っ払っていたことを理由に、よく起きるのが傷害・暴行事件です。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円に処されます(刑法第204条)。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されます(刑法第208条)。
「酔っ払っていてよく憶えていない」からといって、故意が否定されることはありません。
事件当時、過度の酩酊により事理弁識が困難になっていたとえる場合、心神喪失又は心身耗弱とされ、責任能力が否定又は軽減されることがあります(刑法第39条第1項・第2項)。しかし、酔って自分が人に危害を加えるだろうと予測できる状況なのに敢えて飲酒したような場合、責任の減免が認められない可能性があります。
暴行にとどまる場合、前科がなければ不起訴(起訴猶予)で済む可能性が高いです。
一方、傷害の場合、傷害の程度が重いと、前科がなくても起訴される可能性があります。全治2週間以上の傷害の場合、略式請求(刑事訴訟法第461条以下)ではなく公判請求される可能性もあります。
暴行・傷害いずれにおいても、起訴を避け又は罰金などの軽い処分にとどめるには、被害者と示談を成立させることが重要となります。示談において支払う示談金では、暴行・傷害行為に対する精神慰謝料や治療代のほか、傷害を負わされたため仕事できなかった間の休業損害や、後遺障害が発生したときの逸失利益などを支払うことになります。

飲酒して車を運転してしまった場合、それ自体が犯罪となります。
酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができない状態で運転した場合)で車両等を運転した酒酔い運転の場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます(道路交通法第117条の2第1項第1号)。
身体に保有するアルコールの程度が、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム(道路交通法施行令第44条の3)で車両等を運転した酒気帯び運転の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます(道路交通法第117条の2の2第1項第3号)。

懲戒処分
飲酒酩酊により他人に被害を与えたり、飲酒運転などをすると、非違行為をしたとして、懲戒処分を受けることになります。

国家公務員の懲戒に関する、人事院の「懲戒処分の指針について」の、「3 公務外非行関係」では、「 (11) 酩酊による粗野な言動等 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。」とされています。

飲酒運転をした場合は非常に厳しい処分となっており、
「4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係」
「 (1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。
イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。
ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。」
と定めています。

こちらの記事もご覧ください。
公務員と粗暴犯-公務員が暴行・傷害事件を起こしてしまった場合の弁護活動について解説

まとめ
このように、公務員が飲酒酩酊して事件を起こした場合、刑事・懲戒と重い処分を下される可能性があります。
公務員の方で飲酒にまつわる問題でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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