公務員の方であれば、盗撮が犯罪行為にあたり、それが職場に発覚すれば懲戒処分を受けるのはお分かりかと思います。しかし、懲戒免職にまでなるようなイメージはないのではないでしょうか。
今回は、盗撮で懲戒免職になる場合について、実際の事例を交えてご説明していきたいと思います。
実際の事例
https://news.yahoo.co.jp/articles/23aca77c5d078a755d0a5b8956004e4f59f7929d
(Yahoo!ニュース。令和6年11月26日閲覧。)
埼玉県さいたま市は22日、同市岩槻区の商業施設で女性を盗撮したなどとして、岩槻区役所保険年金課の男性課長補佐(53)を地方公務員法に基づき、免職の懲戒処分にしたと発表した。
市人事課などによると、男性課長補佐は8月16日午後0時10分ごろ、東武岩槻駅前の商業施設「ワッツ東館」で女性のスカート内にスマートフォンを差し入れ、下着などを盗撮。同日、性的姿態撮影処罰法違反の容疑で岩槻署に逮捕された。区役所は同施設内にあり、昼休憩中の犯行だった。同日朝にも岩槻駅構内で別の女性に同様の盗撮行為をしたとして立件されていた。
男性課長補佐は9月26日付で不起訴処分となったが、市の調査などで、7月中旬から約20件の余罪を認めたため、市は常習性があると判断。管理監督する立場である点も考慮し、処分を決めた。男性課長補佐は「業務上の悩みや私生活でのストレスが膨らみ、ストレスを解消したい気持ちで犯行に及んでしまった」と動機を述べているという。
関係法令
懲戒処分も一方的に不利益を科す処分ですので、公正な基準に基づいて行われます。処分基準については、国家公務員の懲戒処分に関する人事院の「懲戒処分の指針について」が参考になります。
3 公務外非行関係
(14) 盗撮行為
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給 とする。
事例のような地方公務員の場合は、実際の処分基準は各自治体などで違いますが、概ね同じような基準が設けられていることが多いです。しかし、盗撮や痴漢については、免職も処分に挙げているところが多く見られます。
弁護活動
基本的に、上記のように国家公務員の盗撮に関しては懲戒免職までは懲戒処分の基準に入らないことが多いと言えます。
しかし、ニュース記事のように、刑事事件自体は不起訴処分となっていても、常習性が深いと判断され、現状の職務的地位を重くとらえられると、地方公務員の場合は懲戒免職となる危険もあります。
処分軽減のポイントとしては、市や県、国の聴き取りでどういった内容を答えるか、と言ったところや、実際に調査などにおいてどういった主張をしていくか、と言うところにかかってきます。当然、御自身でも対応可能な範囲はありますが、どう話したらどう影響するのか、どう主張すれば処分軽減につながるかなどは弁護士がサポートに入った方がより分かりやすいでしょう。特に、前科も特に無く、事件自体は不起訴になっているような場合、供述や主張次第で処分が変わる可能性もあるので、より弁護士が関与する意味が大きくなるでしょう。
まとめ
盗撮のように処分基準上懲戒免職が予定されていない場合でも、懲戒免職処分がなされるかもしれないことがお分かりいただけたと思います。可能な限り処分を軽減し、特に懲戒免職を防ぐ意味でも、弁護士に相談する意味が出てきます。
盗撮その他の事件を起こしてお悩みの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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