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公務員の人身事故と弁護活動-公務員が人身事故を起こした場合の弁護活動について詳しく解説

【事例(フィクション)】
市職員として勤務する公務員のAさんは、自動車を運転中に、目前まで歩行者に気付かず衝突してしまい、歩行者に怪我を負わせてしまいました。
逮捕はされませんでしたが、Aさんは過失運転致傷の容疑で在宅捜査中です。
Aさんに前科前歴はありません。
【過失運転致傷罪とは】
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」第5条では、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。」とされています。
起こしてしまった交通事故により、被害者が死亡ではなく傷害を負う結果となった場合は、過失運転致傷罪となります。
過失運転致傷罪で起訴され有罪判決となった場合、過失態様、被害者が負った傷害の程度、前科前歴の有無等により刑の重さが決まり、罰金刑(不注意で人身事故を起こしてしまったことに争いがない場合は略式罰金)か禁錮刑(執行猶予が付く可能性は大いにあり)となることが多いです。
【弁護活動】
以下では、人身事故のそれぞれの弁護活動について説明します。
①取り調べへの対応
Aさんは逮捕はされなかったとはいえ、在宅捜査という形で今後警察官、検察官の取調べを受けていくことになります。
過失態様等、事故に関することを詳細に聴取されることになり、最終的な刑事処分への影響もあるので、取調べ対応について弁護士が継続的にアドバイスをすることが大切です。
②被害者との示談
任意保険に入っていていて保険金で賠償をする場合、保険会社の担当者が示談交渉をすることとなりますが、多くの場合は専ら賠償金額に関する示談交渉となるうえ、保険会社の規定に基づいた金額になりますので、被害者の方が刑事処分を求めるか否かという話や保険金では賄えない損害の賠償にまで踏み込んだお話については、弁護士に委任することをおすすめします。
賠償は保険会社に任せることになるとしても、弁護士から被害者の方へ謝罪と賠償に関するお話をさせていただき、保険による賠償金とは別で謝罪金・見舞金のお支払いを申出るなど丁寧に対応をすることで、被害者の方からお許しをいただければ、刑事処分が軽減されることがあります。
被害者の方が重傷でなければ、被害者対応次第で不起訴となることもあり得ます。
③過失を争う
Aさんには何ら不注意がなく、相手が全く予想もしない形で車道に出てきた場合、Aさんには過失がないということになります。周囲の防犯カメラの映像などの客観証拠のほか、被害者の病気や普段の行動についての関係者の供述、何よりAさんの運転についての供述が重要となります。①で述べた取り調べへの対応において、Aさん自身に過失があると受け取られるような不用意な供述をしないことが大切です。
④軽い処罰を目指す
犯罪が成立するとして起訴されてしまうとしても、なるべく軽い処罰にとどめることを目指す必要があります。とくに公務員のAさんの場合、後述のように失職や懲戒処分が問題となるため、罰金刑などの軽い刑罰にとどめることが重要になります。
【刑罰以外の処分等】
公務員の方は、起訴されると、休職をさせられることがあります(地方公務員法第28条第2項第2号、国家公務員法第79条第2号)。
そして起訴され、有罪判決で禁錮以上の刑となれば、執行猶予が付いたとしても、失職することになります(地方公務員法第28条第4項・第16条第1号、国家公務員法第76条・第38条第1号)。
事例の場合、過失が重く、傷害も甚大で、示談不成立の場合、禁錮刑や懲役刑の有罪判決を下される可能性があり、そのような場合失職となります。
ただし、Aさんは市役所の職員で地方公務員であり、地方公務員の場合は、条例により当然に失職とならないようにすることができます(地方公務員法第28条第4項)。自治体により要件が異なりますが、通勤中の交通事故や執行猶予付きの禁錮にとどまるなどの場合が多いです。条例の定める要件に該当すれば、失職せずに済む可能性があります。
また、公務員の方が犯罪にあたる行為をすると、刑事罰とは別に懲戒処分を受けることにもなります。
懲戒処分は、重い順に、免職、停職、減給、戒告と種類があります。
飲酒運転や交通事故を起こしたときの措置義務を果たしていなかった場合、処分が重くなります。それ以外の交通事故では、被害の程度、過失の程度、示談の有無などを踏まえて処分がなされます。
公務員のかかわる性犯罪についてはこちらの記事もご覧ください
【おわりに】
人身事故は、場合によっては刑罰だけでなく失職する可能性もあります。
こういったリスクを回避・軽減するためには、弁護士による適切なアドバイスや活動が必要です。
できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
公務員と各種性犯罪―ニュース記事を基に、公務員に成立する可能性のある性犯罪について解説

公務員という立場でありながら、性犯罪事件を起こしてしまうケースがあります。
ネットニュースでも、以下のような記事があります。
※一部情報を修正しております。
「公務員を逮捕 ホームで痴漢疑い
駅のホームで面識のない10代の女性の下半身を触ったとして、迷惑防止条例違反の疑いで、公務員の男を現行犯逮捕していたことが分かった。認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は、駅のホームを歩いていた女性の下半身を触った疑い。
2人はいずれも帰宅途中で、男は電車から降りた後に女性を触ったとみられる。駅員から110番があった。」
「盗撮目的で女子トイレに侵入した疑い 市職員の男を逮捕
女子トイレに侵入した疑いで、市職員の男が逮捕されました。警察は盗撮目的とみて捜査しています。
市職員の男は、女子トイレに侵入した疑いがもたれています。
警察などによりますと、女子トイレに、小型カメラが仕掛けられているのを、他の利用者が発見し警察に通報。
関係者への事情聴取などの結果、容疑者の男が浮上しました。容疑者の男は調べに対し、容疑を認めています。
警察は小型カメラを回収する目的で女子トイレに侵入したとみて余罪などを捜査しています。」
「更衣中の女性を盗撮した疑い 公務員の男逮捕 「画像が出回っている」と施設関係者が通報
更衣中の女性を盗撮した疑いで警察は公務員の男を逮捕しました。
迷惑行為等防止条例違反(卑わいな行為の禁止)の疑いで逮捕されたのは、公務員の男です。
警察の調べによると男は施設の部屋の中で更衣中の女性を撮影した疑いが持たれています。
施設の関係者から「盗撮されたと思われる画像が出回っている」と警察に通報がありました。男は容疑を認めているということです。」
盗撮
盗撮は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」で犯罪として規定されております。
正当な理由がないのに、ひそかに、盗撮をしたら、性的姿態等撮影罪が成立します。
対象となる性的姿態等は、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもので、
・人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)
・人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるもの)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
・わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態
です。
他人の裸や下着などを盗撮したら、犯罪が成立します。
性的姿態等撮影罪は、未遂罪も罰せられます。
盗撮等による性的影像記録を提供した者は、性的影像記録提供等罪が成立します。
性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、性的影像記録提供等罪が成立します。
盗撮データを拡散させる行為も犯罪となります。
性的影像記録提供等罪の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、性的影像記録保管罪が成立します。
未成年者との性行為
18歳未満の未成年者と性行為やわいせつ行為をしたら、青少年健全育成条例違反・いわゆる淫行条例違反の犯罪となります。
対償を供与し、又はその供与の約束をして、18歳未満の児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること)をすることをしたら、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」、いわゆる児童買春の犯罪が成立します。
相手が16歳未満であれば、相手の同意があったとしても、わいせつな行為をすれば不同意わいせつ罪(刑法第176条第3項)、性交等をすれば不同意性交等罪(刑法第177条第3項)が成立します。
痴漢・不同意わいせつ・不同意性交等
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接身体に触れることをしたら、迷惑行為防止条例違反・いわゆる痴漢の犯罪が成立します。
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意わいせつ罪が成立します(刑法第176条第1項)。上記の痴漢も、態様が悪質であれば不同意わいせつ罪となります。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
上記の各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意性交等罪が成立します(刑法第177条第1項)。
こちらの記事もご覧ください。
公務員の方で性犯罪についてお悩みの方は、弁護士法事あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
公務員の官金着服事件-警察官が証拠品の現金を盗んだ事件を基に詳しく解説

【事案】
岡山南署で昨秋、事件の証拠品として保管していた多額の現金の紛失が発覚した事件で、岡山県警は9日、署内の保管庫から現金20万円を盗んだなどとして、窃盗、業務上横領などの疑いで同署巡査長の男(31)を逮捕した。
県警によると、巡査長は「金はパチンコやスロットに使った」と容疑を認めている。保管庫からは約320万円が紛失しており、残る約300万円についても関連を調べる。
逮捕容疑は2023年7月21日午前6時半ごろ、岡山南署内の保管庫から20万円を盗んだほか、同5月、当時入居していた警察官舎の管理人として官舎名義の口座から2回で計7万5千円を引き出し着服するなどした疑い。
昨年10月下旬、岡山南署員らが証拠品を点検した際、現金の紛失に気が付いた。首席監察官は「警察官として言語道断の行為で深くおわび申し上げる。全容解明を図り、厳正に対処したい」とのコメントを出した。
山陽新聞dijital(1月9日火曜日13:30配信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4982b274fa7b834635ab4d0e71d9b63dd6931909
(氏名など個人を特定できる情報は変更しています)
【事案】は警察官が証拠品として保管していた現金を盗んだり、警察官舎の口座から現金を引き出して着服したという疑いで逮捕された事件です。公金を奪った点では同じですが、それぞれ異なる犯罪が成立すると考えられます。
公金着服において成立する犯罪
業務上横領
自己の占有する他人の物を横領した場合横領罪(単純横領罪)が成立し、5年以下の懲役に処されます(刑法第252条第1項)。これが業務上自己の占有する他人の物の場合、業務上横領罪は10年以下の懲役(刑法第253条)に処されます。
「占有」とは、事実上の占有だけでなく、法律上の占有も含まれます。預金なども対象になり得ますが、預金通帳やキャッシュカード等を事務的に預かっているだけでは預金を占有しているとはいえません。【事案】の警察官は警察官舎の管理人なので預金通帳なども自ら管理していると考えられ、「占有」しているといえるでしょう。
「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務です。公務員がその仕事として行うものであれば「業務上」占有すると判断されるでしょうから、公務員がその業務に関係する物を横領した場合は、多くは業務上横領罪に当たるでしょう。なお、業務上占有できる物を占有していたとしても、業務とは無関係に占有した場合は、業務上占有しているとはいえません。【事案】の警察官は、官舎の口座の金銭を着服した事件については、警察官者の管理人として口座を管理していたと考えられるため、業務上占有していたと考えられます。
「横領」とは、不法領得の意思を実現する一切の行為をいいます。この「不法領得の意思」とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされています。金銭の着服は横領の典型的な行為です。着服の他に「横領」に該当する行為の態様は、毀棄・隠匿のほか、売却や貸与、譲渡担保や抵当権などの担保権の設定、質入れなど多彩な行為が考えられます。
窃盗
他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は10年以下の懲役に処されます(刑法第235条)。
自身に先述の「占有」がない現金などを持ち去れば、この窃盗罪が成立します。【事案】では被疑者は巡査長で警察署の保管庫の管理者などではなく「占有」がないといえ、ここから現金を持ち去れば窃盗となります。
懲戒処分
各都道府県の警察官は地方公務員であり、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合などは、懲戒処分を受けることになります(地方公務員法第29条第1項)。都道府県警察の警察官は警視総監や道府県警察本部長が任命権者となりますので、警視総監や道府県警察本部長が懲戒処分を行います(地方公務員法第6条第1項)。各都道府県が定める懲戒処分に関する条例や規則、指針等に基づいて処分が下されます。
国家公務員についてですが、人事院は「懲戒処分の指針について」にて、懲戒処分の基準を定めています。「第2 標準例」の「2 公金官物取扱い関係」において、「(1)横領 公金又は官物を横領した職員は、免職とする。」、「(2)窃取 公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。」と、非常に重い処分が定められています。地方公務員である警察官もこれと同様に処分されるものと考えられます。
参考:懲戒処分の指針について
https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/12_choukai/1202000_H12shokushoku68.html
こちらの記事もご参照ください
まとめ
このように、公金や官物を横領したり窃取した場合は、非常に重い処分を下されることになります。
公金についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
自衛官の刑事事件-自衛官が暴行事件を起こしてしまったケースを基に弁護活動や懲戒処分について解説

【事例(フィクション)】
陸上自衛隊の駐屯地で自衛官として勤務するAさんは、居酒屋で同僚とお酒を飲んでいたところ、隣の席のお客さんとトラブルになり、口論の末、そのお客さんの肩をこぶしで殴ってしまいました。
そのお客さんに怪我はありませんでしたが、Aさんは暴行の容疑で、現行犯逮捕されました。
Aさんに前科前歴はありません。
【被疑者の方が自衛官の場合のリスク】
自衛官は、防衛省の特別機関である自衛隊の任務を行う防衛省の職員で、国家公務員となります。
自衛官の方が刑事事件の被疑者となった場合、刑事手続き上の逮捕・勾留や刑事罰のリスクだけでなく、国家公務員法上の懲戒処分や、失職等のリスクにもさらされることとなってしまいます。
以下、弁護活動も含め、順に説明していきます。
【暴行の刑事罰】
「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」とされています(刑法208条)。
その他の事情にもよるので一概には言えませんが、Aさんのようなケースでかつ初犯であれば、罰金刑となることが多いです。
【弁護活動】
①まずは弁護士が接見といって、留置場に身体拘束されているAさんとの面会をして、事実確認や取調等の状況確認をし、取調べ対応等のアドバイスをすることが、今後の刑事処分のため重要な弁護活動です。
②Aさんは逮捕されましたが、この後勾留が決定してしまうと、10日間、さらに延長されると最長で20日間の身体拘束となります。
これに対しては、弁護士において、罪証隠滅や逃亡の可能性がないことを主張・疎明し、勾留の阻止を目指す活動(勾留の決定後であれば準抗告という勾留決定の取消しを求める不服申立て)をすることが考えられます。
③Aさんの場合、被害者の方に暴行をしてしまったことは事実なので、弁護士による示談交渉が非常に重要です。
交渉の結果、被害者の方に示談を受けていただければ、不起訴(起訴猶予)となり前科を回避できる可能性が高いです。
【刑事罰以外の処分等】
国家公務員である自衛官の方は、起訴され、有罪判決で禁錮以上の刑となれば、執行猶予が付いたとしても、失職することになります(国家公務員法76条・38条1号)。
事例の場合、Aさんに前科前歴はなく、有罪判決であっても罰金刑の可能性が高く、この規定による失職の可能性は低そうです。
もっとも、国家公務員の方が犯罪にあたる行為をすると、刑事罰とは別に懲戒処分を受けることにもなります。
懲戒処分は、重い順に、免職、停職、減給、戒告と種類があります。
人事院が公表している懲戒処分の指針によると
「具体的な処分量定の決定に当たっては、
① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
⑤ 過去に非違行為を行っているか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。」
としつつ、標準例では「暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。」とされています。
Aさんの場合、標準例では減給又は戒告となりそうですが、同指針においては、総合考慮の上で、標準例より重い処分をする場合も軽い処分をする場合もあり得るとされています。
例えば「非違行為後の対応」といった、弁護活動における示談交渉と絡む考慮要素もありますので、リスク軽減のため、弁護士に相談することをおすすめします。
参考
こちらの記事もご覧ください
公務員の懲戒処分
【おわりに】
暴行の容疑をかけられた自衛官の方は、身体拘束、刑事罰、懲戒処分等のリスクにさらされますが、こういったリスクを回避・軽減するためには、弁護士による適切なアドバイスや活動が必要ですので、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
公務員の自動車の運転に関する犯罪-公務員で多い車の運転に関する犯罪について詳しく解説

公務員の方々は、身分もしっかりしており、普段から問題を起こすような人は少ないです。
そんな公務員の方々でも、気の緩みから車の運転で失敗し、犯罪を行ってしまうことがあります。
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、公務員で多い車の運転に関する犯罪について解説いたします。
過失運転致死傷罪
車を運転して人に衝突する人身事故を起こし、不注意の過失が認められたら、過失運転致死傷罪が成立します。
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)第5条)。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができます。
自動車の運転上必要な注意とは、運転者が自動車を運転する上で守るべき注意義務をいいます。
発生した死傷事故から見て、どのような措置を取っていれば当該事故の発生を回避することができたかを、事故の具体的状況に即して検討することになります。
運転者に対してそのような措置を講じるべき義務を課すことが可能で相当かどうかを検討して、義務を怠っていると評価されたら、犯罪が成立することになります。
公務員の方でも、普段の車の運転でミスをし、事故を起こして取り返しの付かないことをしたと後悔するケースが少なくありません。
公判請求されて裁判となったら、罰金刑の可能性はほぼないので、執行猶予が付いても懲役・禁錮となり、失職することになります。
公判請求されるかどうかは、過失や怪我の大きさを中心に総合的に判断されることになります。
ここで、特に警察の取調べで、殊更大きく過失・不注意が評価されるように、刑事から不当な誘導がなされることがあります。
在宅事件であっても弁護士を付けて、取調べにきちんと対応するべきです。
飲酒運転
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはなりません(道路交通法第65条第1項)。
違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合においてアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある酒に酔った状態にあったものは、5年以下の懲役又は100円以下の罰金となります(道路交通法第117条の2第1項第1号)。
違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあったものは、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(道路交通法第117条の2の2第1項第3号)。
政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとされています(道路交通法施行令第44条の3)。
公務員の方でも、普段から飲酒運転をしているわけでなくても、気の緩みから飲酒運転をしてしまうことがあります。
飲酒運転をするつもりがなくて飲食をした後に、飲酒の影響から気が緩み、飲酒運転をしてしまうケースもあります。
飲酒運転をしていたこと自体を覚えておらず、気が付いたら逮捕されて警察署の留置場にいた、ということもあります。
轢き逃げ
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません(道路交通法第72条第1項前段)。
車両等の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合において、人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、この義務に違反したら、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(道路交通法第117条第2項)。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む)の警察官に交通事故発生日時等(当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置)を報告しなければなりません(道路交通法第72条第1項後段)。
この報告をしなかったら、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金となります(道路交通法第119条第1項第17号)。
普段から真面目に仕事をしているような公務員の方が、轢き逃げで逃走などするわけがない、と思われるかもしれません。
しかし、いざ事故を起こしてしまったら、パニックになって冷静でいられなくなり、反射的な判断でその場を逃走してしまうことがあります。
また、本人は逃走する意図がなかったとしても、車を止められる場所を探していたら事故現場からある程度離れてしまい、轢き逃げとして逃走を疑われてしまうこともあります。
無免許・無車検・無保険
無免許
何人も、公安委員会の運転免許を受けないで、自動車を運転してはなりません(道路交通法第64条第1項)。
法令の規定による運転の免許を受けている者でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで運転した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(道路交通法第117条の2の2第1項第1号)。
無車検
自動車は、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはなりません(道路運送車両法第58条第1項)。
違反したら、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります(道路運送車両法第108条第1号)。
無保険
自動車は、自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはなりません(自動車損害賠償保障法第5条)。
違反行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(自動車損害賠償保障法第86条の3第1項第1号)。
これらについては、うっかりして対応を失念していた、というケースがあります。
悪質性が殊更大きく評価されないように、取調べは慎重に対応することが必要です。
スピード違反
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度を超える速度で進行してはなりません(道路交通法第22条第1項)。
自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあっては60キロメートル毎時、原動機付自転車にあっては30キロメートル毎時、とされております(道路交通法施行令第11条)。
違反したら、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金となります(道路交通法第118条第1項第1号)。
過失により違反したら、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金となります(道路交通法第118条第3項)。
スピード違反の程度が大きければ、公判請求されてしまいます。
こちらの記事もご覧ください
公務員の懲戒処分の流れ-公務員が罪を犯した場合の懲戒処分の内容や手続きの流れについて解説

刑罰が定められている法令に違反すると、法令に定められた刑罰を科されます。一方で、公務員については、非違行為をしたとして、所属官庁から懲戒処分を下される可能性があります。ここでは、公務員の懲戒処分について解説します。
懲戒処分の根拠
公務員の懲戒について、国家公務員は国家公務員法第82条以下に、地方公務員は地方公務員法第27条以下に定められています。
国家公務員法・地方公務員法とも、懲戒事由について定めています。いずれも、①同法やこれに関係する命令・条例などに違反した場合、②職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、③全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合、を懲戒事由としています(国家公務員法第82条第1項、地方公務員法第29条第1項)。
犯罪を犯した場合は、③全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合に該当するでしょう。
なお、国家公務員については、特別職国家公務員となるために退職出向し、再び国家公務員として採用された場合、退職出向前の非違行為に対し懲戒処分をすることが可能となっています(国家公務員法第82条第2項)。地方公務員も同様に、特別職地方公務員となるために退職出向し、再び地方公務員として採用された場合、退職出向前の非違行為に対し懲戒処分をすることが可能となっています(地方公務員法第29条第2項)。また、地方公務員が定年前再任用短時間勤務職員として採用された場合、退職前及び採用中の非違行為に対し懲戒処分をすることが可能になっています(地方公務員法第29条第3項)。
懲戒手続を行う者
国家公務員の場合、懲戒処分は任命権者が行いますが、懲戒手続は人事院が行います(国家公務員法第84条第1項・第2項)。
地方公務員の場合は、条例に定められた機関が懲戒手続を行います(地方公務員法第29条第4項)。
刑事手続との関係
公務員の場合、起訴されると、強制的に休職させられることがあります(地方公務員法第28条第2項第2号、国家公務員法第79条第2号)。休職中は仕事ができませんし、給与は支給されません(国家公務員法第80条第4項参照)。
国家公務員法では、刑事裁判が継続中の事件であっても懲戒手続を進めることができる旨定められています(国家公務員法第85条)。重大な事件で本人も認めているような事件では、判決が出る前に懲戒手続がすすめられ、懲戒処分が下されることがあります。
裁判の結果、有罪の判決を言い渡され、禁錮以上の刑に処されると、失職してしまいます(地方公務員法第28条第4項・第16条第1号、国家公務員法第条第76条・第38条第1号)。こちらは法律の規定による当然失職で、懲戒処分ではありません。
ただし、地方公務員の場合は、「条例に特別の定めがある場合」は、失職とならないことがあります。たとえば、東京都の「職員の分限に関する条例」では、「禁錮の刑に処せられた職員のうち、その刑に係る罪が過失によるものであり、かつ、その刑の執行を猶予された者については、情状により、当該職員がその職を失わないものとすることができる。」と定められています(同条例第8条第1項)。
懲戒処分の種類
懲戒処分には、戒告、減給、停職、免職があります(地方公務員法第29条第1項、国家公務員法第82条第1項)。
①免職・・・公務員の身分を失わせる処分です。
②停職・・・国家公務員の場合、停職の期間は1年以内です(国家公務員法第83条第1項)。停職中は引き続き職員としての身分を有しますが、職務には従事せず、基本的に給与は受け取れません(国家公務員法第83条第2項)。
③減給・・・国家公務員の場合、1年以下の期間で、俸給の月額の5分の1以下に相当する額を給与から減らします。
④戒告・・・戒告は、その責任を確認し、将来を戒める処分です。
非違行為が重いほど、処分は重くなります。特に、公務中や公金・官物の取り扱いに関係する非違行為はより重い処分を下されます。例えば、国家公務員の場合、公金や官物を横領した場合は、免職とするとされています。
人事院は、「懲戒処分の指針について」にて懲戒処分の指針を公表しています。
地方公共団体においても、懲戒処分の指針を定めています。
参考:東京都知事部局職員の懲戒処分についての「懲戒処分の指針」
懲戒処分以外の指導
公務員が不祥事を起こしたときに、「訓告」や「厳重注意」を受けたと言われることがあります。これらは、上級監督者から部下職員に対する指導、監督上の措置として行われるもので、懲戒処分ではありません。
懲戒処分の問題
非違行為の中でも、公金官物の取り扱いに関して犯罪を行うと免職となることが多いです。重大な犯罪を行っても免職処分を下される可能性が高いです。
また、飲酒運転をした場合も免職となることが多いです。その他の交通事故でも、措置義務違反(道路交通法第117条第1項・第72条第1項前段)があればさらに重い処分となるでしょう。
また、地方公務員の場合、痴漢事件や盗撮事件などでも免職となりうるなど、国家公務員より重い処分となる傾向にあります。
公務員の懲戒処分についてはこちらもご覧ください
まとめ
以上のように、公務員が犯罪を犯すと刑罰だけでなく懲戒処分を科されます。失職や免職となると、退職金が支給されないことになります。そのため、免職や失職を避けることが重要となります。
公務員の方で懲戒処分についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
消防士の刑事事件-消防士が痴漢事件を起こしたケースを基に、弁護活動や懲戒処分について解説

【事例(フィクション)】
消防署に消防士として勤務するAさんは、電車内で被害者のお尻を触ったという迷惑防止条例違反(痴漢)の容疑で、警察に逮捕されました。
Aさんに前科前歴はありません。
【被疑者の方が消防士の場合のリスク】
消防署に勤務する消防士は、地方公務員となります。
消防士の方が刑事事件の被疑者となった場合、刑事手続き上の逮捕・勾留や刑事罰のリスクだけでなく、地方公務員法上の懲戒処分や、失職等のリスクにもさらされることとなってしまいます。
以下、弁護活動も含め、順に説明していきます。
【迷惑防止条例違反(痴漢)の刑事罰】
いわゆる痴漢行為は、それぞれの都道府県において定められている迷惑防止条例違反にあたることが多く、罰金刑又は懲役刑に処すると定められています。
迷惑防止条例違反の事案は、初犯であれば罰金刑となることが多いです。
なお、痴漢行為は、行為の状況や程度次第では、より重い不同意わいせつ罪(刑法176条1項、6月以上10年以下の懲役刑(拘禁刑))にあたることもあります。
【弁護活動】
①まずは弁護士が接見といって、留置場に身体拘束されているAさんとの面会をして、事実確認や取調等の状況確認をし、取調べ対応等のアドバイスをすることが、今後の刑事処分のため重要な弁護活動です。
②Aさんは逮捕されましたが、この後勾留が決定してしまうと、10日間、さらに延長されると最長で20日間の身体拘束となります。
これに対しては、弁護士において、罪証隠滅や逃亡の可能性がないことを主張・疎明し、勾留の阻止を目指す活動(勾留の決定後であれば準抗告という勾留決定の取消しを求める不服申立て)をすることが考えられます。
③Aさんが容疑のとおり痴漢行為をしたことで間違いないのであれば、弁護士による示談交渉が非常に重要です。
交渉の結果、被害者の方に示談を受けていただければ、不起訴(起訴猶予)となり前科を回避できる可能性があります。
④Aさんが痴漢行為をしたとしても、重い不同意わいせつ罪ではなく、迷惑防止条例違反を適用するよう主張することが考えられます。
⑤Aさんは容疑のとおりの痴漢行為をしていない、いわゆる冤罪の場合は、弁護士が取調べ対応をしっかりサポートするなどしながら、まずは不起訴(嫌疑不十分)を目指します。
⑥冤罪であるにもかかわらず起訴されてしまった場合、Aさんは、有罪判決となれば罰金刑又は懲役刑となってしまいます。
弁護士としては、無罪判決の獲得のため、開示された証拠を精査して検察官の立証の穴を突くとともに、無罪であることを示す証拠があるか検討していきます。
【刑事罰以外の処分等】
地方公務員の方は、起訴されると、休職をさせられることがあります(地方公務員法28条2項2号)。
そして起訴され、有罪判決で禁錮以上の刑となれば、執行猶予が付いたとしても、失職することになります(地方公務員法28条4項・16条1号)。
事例の場合、Aさんに前科前歴はなく、有罪判決であっても罰金刑の可能性が高く、この規定による失職の可能性は低そうです。なお、不同意わいせつ罪の場合、罰金刑がありませんので、なおのこと起訴されないようにする必要があります。
もっとも、地方公務員の方が犯罪にあたる行為をすると、刑事罰とは別に懲戒処分を受けることにもなります。
懲戒処分は、重い順に、免職、停職、減給、戒告と種類があります。
東京都が公表している懲戒処分の指針によると
「具体的な量定の決定に当たっては、
① 非違行為の態様、被害の大きさ及び司法の動向など社会的重大性の程度
② 非違行為を行った職員の職責、過失の大きさ及び職務への影響など信用失墜の度合い
③ 日常の勤務態度及び常習性など非違行為を行った職員固有の事情等のほか、適宜、非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。
個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定にかかわらず免職等の処分をすることもあり得る。」
としつつ、標準例では「公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、免職又は停職とする。」とされています。
Aさんの場合、痴漢行為が事実であれば免職のリスクがあることとなりますが、例えば「非違行為後の対応」といった、弁護活動における示談交渉と絡む考慮要素もありますので、リスク軽減のため、弁護士に相談することをおすすめします。
参考:懲戒処分の指針
公務員の性犯罪や懲戒処分については、こちらもご覧ください。
【おわりに】
迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いをかけられた消防士の方は、身体拘束、刑事罰、懲戒処分等のリスクにさらされますが、こういったリスクを回避・軽減するためには、弁護士による適切なアドバイスや活動が必要です。
実際に痴漢行為をしてしまった方も、冤罪の方も、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
公務員とアルコールに関わる犯罪

公務員の方々は、安定した地位で真面目に仕事をして生活をしていることが多いので、事件を起こすことについても注意をしている人が多いです。
そのような公務員の方々ですが、アルコールで失敗して犯罪を行ってしまうことがあります。
気が付いた時には後悔の感情でいっぱいで、弁護士に相談・依頼するケースが少なくありません。
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、アルコールで失敗して犯罪を行ってしまったケースについて解説いたします。
飲酒運転
公務員の方々であれば、普段から代行を頼んだり徒歩で移動したりして、気を付けている人が多いです。
しかし、お酒が入ることで気が大きくなり、飲酒運転をしてしまうケースがあります。
この程度なら大丈夫だ、短い距離だから大丈夫だ、自分なら大丈夫だ、急ぎの用があるから仕方がない、などと考えて運転してしまうのです。
道路交通法で、酒気を帯びて車両等を運転することが禁止されております。
身体に保有するアルコールの程度が、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上であれば、酒気帯び運転として3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(道路交通法第117条の2の2第1項第3号・道路交通法施行令第44条の3)。
さらに、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態であれば、酒酔い運転として5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(道路交通法第117条の2第1項第1号・第65条第1項)。
飲酒運転により、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、過失運転致死傷罪として7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。さらに、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死傷させたと判断された場合は、危険運転致死傷罪としてさらに重い犯罪となり、負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の有期懲役となります(同法第2条第1号)。
人身事故を起こし、救護措置や警察への連絡をせずに逃げたら、更に轢き逃げとなり、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(道路交通法第117条第2項)。
性犯罪
アルコールで酔って、性犯罪を行ってしまうケースも多いです。
普段のストレスを解消するため、飲食店で過剰な飲酒をしてしまい、帰りに性犯罪を行ってしまいます。
酔いが覚めたら自分のした事を覚えていないが逮捕されていた、という状況が珍しくありません。
酔っぱらって、外で下半身裸で歩き回る人もいます。
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となります(刑法第174条)。
酔っぱらって、いわゆる痴漢行為をしてしまう人もいます。
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接身体に触れる行為をしたら、迷惑行為防止条例違反となります。東京都の場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
更に強い態様のわいせつ行為をしたら、不同意わいせつ罪が成立します。
逆に、他人にお酒を飲ませて、断るのが困難な状態にしてわいせつ行為をしても、不同意わいせつ罪が成立します。
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の懲役刑(拘禁刑)となります(刑法第176条第1項)。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
また、不同意わいせつ罪の各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意性交等罪として5年以上の有期懲役刑(拘禁刑)となります(刑法第177条第1項)。
その他の犯罪
住居侵入
酔って気が大きくなり、他人の家に侵入するケースもあります。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、住居侵入罪として3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります(刑法第130条)。
窃盗
酔った勢いで、お店や他人の家で物を持って行ってしまうケースもあります。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(刑法第235条)。
暴行・傷害
酔って人に対して因縁をつけ、暴力を振るうこともあります。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、暴行罪として2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となります(刑法第208条)。
人の身体を傷害した者は、傷害罪として15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(刑法第204条)。
器物損壊
酔ってお店などの物を壊してしまうこともあります。
他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となります(刑法第261条)。
まとめ
公務員がアルコールで失敗して犯罪を行ってしまったら、失職や懲戒処分となる可能性があります。
アルコールに関わる犯罪でお悩みの方はぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
今後の対応について、丁寧にご説明いたします。
こちらの記事もご覧ください。
公務員のパワハラと犯罪-公務員がパワハラを起こした場合の懲戒処分や刑罰をはじめとしたその他の処分について解説

自衛隊内でのパワハラなど、公務員のハラスメントが問題となっています。このようなパワハラは懲戒処分の対象になりますし、悪質なものは刑事事件となってしまいます。ここでは、公務員がハラスメントをした場合どうなるかについて解説します。
パワハラとは
パワーハラスメント(パワハラ)とは、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業関係が害されるものであり、①~③までの要素のすべてを満たすものをいいます。①優越的な関係とは、上司や部下という関係が一般的ですが、部下であっても代替できない資格・技能を有していたり、多数の部下が共同して業務に支障が出るようにする場合も、優越的な関係を背景としたといえます。②については、厳しい叱責であっても、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。これを越えた、業務とは無関係な話や、殊更に他の職員のいる前でさらしものにしたり、人格攻撃に至れば、業務上必要かつ相当な範囲を超えたとされます。③については、①や②に該当する言動が行われれば、その対象となった者の心身に不調をきたしますし、職場内も対象になった者に不当な対応をする雰囲気になったりするため、該当することになるでしょう。
懲戒処分
公務員がその職務に関してパワハラをすると、非違行為をしたとして、重い懲戒処分を受けることになります。
国家公務員については、「人事院ハラスメント防止リーフレット」や「義務違反防止ハンドブック」に、ハラスメントの防止や懲戒処分の指針について記載されています。また、人事院の懲戒処分の指針にも、パワハラなどをした場合の懲戒処分について定められています。
人事院の懲戒処分の指針によると、「1 一般服務関係」において、「(15)パワー・ハラスメント」の「ア 著しい精神的又は身体的な苦痛を与えたもの」は停職・減給・戒告の対象となります。「イ 指導、注意等を受けたにもかかわらず、繰り返したもの」は戒告では済まされず、停職又は減給とより重くなります。「ウ 強度の心的ストレスの重責による精神疾患に罹患させたもの」は免職・停職・減給の対象となり、もっとも重い懲戒免職もありえます。これらの事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとしています。
参考
人事院ハラスメント防止リーフレット
「義務違反防止ハンドブック」
懲戒処分の指針について
犯罪・刑事責任
パワハラに含まれる行為であっても、その態様や状況によって様々なものがあり、行政庁内の懲戒処分にとどまらず、民事責任、さらには刑事責任を負う行為もあります。
相手に暴行したり怪我を負わせた場合、暴行罪(刑法第208条)や傷害罪(刑法第204条)に問われる可能性があります。殴るなどの有形力の行使によって怪我をさせただけでなく、強いストレスを与えて相手を精神疾患に罹患させた場合も、傷害罪になりえます。個室に数名しかいない状況で叱責するようなものではなく、大勢の人がいる場所で侮辱したり人格を否定するような罵倒をすれば、侮辱罪(刑法第231条)や名誉毀損罪(刑法第230条)が成立する可能性があります。
また、懲戒処分において、「これらの事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断する」と書きましたが、刑事事件として処理される場合、さらに懲戒処分も重くなる可能性があります。上述の人事院の懲戒処分の指針では「3 公務外非行関係」で「(3)傷害 人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。」と定めていますが、パワハラで人を傷害させたといえるときは、これと同等以上の処分を受けることにもなります。
なお、国家公務員法では、刑事裁判が継続中の事件であっても懲戒手続を進めることができる旨定められています(国家公務員法第85条)が、起訴される前に懲戒処分を下されることもあります。
公務員のパワハラについては、次の記事もご覧ください。
まとめ
このように、公務員がパワハラを起こした場合、懲戒処分や刑罰など多くの不利益が科される可能性があります。ご自身の言動がパワハラに当たるかお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
東京オリンピックの汚職事件-組織委員会理事が収賄罪で起訴された事件で問題となる賄賂について解説

東京オリンピックのテスト大会の受注企業が談合したとして多くの関係者が逮捕・起訴された事件や、IOC委員への贈答品疑惑など、東京オリンピックをめぐる汚職事件はまだ終わりそうにありません。日本において最初に捜査が始まったのは組織委理事の関与する贈収賄で、組織委理事や大企業の幹部が逮捕され、起訴されました。また、元総理大臣をはじめ多くの人々が事情聴取を受けたとされています。その中では様々な人や組織から利益が提供されています。ここでは、何が賄賂に当たるかについて解説します。
「賄賂」とは
刑法第197条以下に規定される「賄賂」は、公務員の職務行為と対価関係にある利益を言います。この対価関係は、職務行為に対するものであれば足り、個々の職務行為と賄賂との間に対価関係のあることは必要とされていません(昭和33年9月30日最高裁第三小法廷判決)。職務に関するものであれば、交付時期や利益の多寡にかかわらず、賄賂となります。
賄賂の内容は金銭に限られず、人の欲望や需要を満たす一切の利益が含まれます。判例では、芸妓の演芸や、酒食の饗応、異性間の情交、公私の職務等の有利な地位の保証、株式の取得の利益、など、様々なものが賄賂と認定されています。このような利益を公務員に提供すれば公務員の職務の公正は害され、あるいは公務員の職務の公正に対する社会の信頼は損なわれてしまうため、処罰する必要があります。
職務行為との対価
名目が委託費用など別のものであっても、公務員の職務行為と対価関係にある利益であれば賄賂に該当します。
東京オリンピックの贈収賄事件についても、既に元理事に賄賂を供与したとして起訴されていた者についての判決(東京地裁令和5年7月12日判決)によれば、元理事が代表取締役を務める会社との間のコンサルティング契約に基づき毎月のコンサルティングフィーを支払う形で行われたことについて、賄賂に該当することを前提に、被告人が違法性の認識を有していたかについて検討しています。
一方で、賄賂は職務行為との対価である必要がありますので、職務とは無関係な利益の提供は賄賂には当たりません。参考人として聴取を受けた元総理大臣は贈賄で有罪判決を受けた企業幹部の属する会社から現金の提供を受けたという報道がありましたが、これは病気に対する見舞金の可能性もあると言われていました。
また、単なる社交儀礼上の贈答は「賄賂」にあたりません。
賄賂に当たるか
「賄賂」に該当することも犯罪を構成する事実ですので、検察官が証明する必要があります。証明の程度は、合理的な疑いを超えるものでなければなりません。職務と関係ないものである可能性や社交儀礼の趣旨で贈られた可能性があれば、有罪とすることはできません。
先ほど、職務に関するものであれば、交付時期や利益の多寡にかかわらず、賄賂となると書きましたが、そもそも職務に関するかどうかを判断するにあたって、交付時期や利益の多寡にも注目せざるを得ません。その他、当事者の従前の関係や他にそのような利益を提供される理由があったといえるかどうかなどが考慮されます。
東京オリンピック組織委員会元理事は、コンサル契約に基づいてコンサル料が支払われたもので賄賂ではないと主張しているそうですが、これまでの収支はどうであったか、コンサル依頼があったとしてもそれ自体職務に関係するものか、依頼があった後の活動実態はどうだったか、などを考慮して、賄賂かどうかが判断されるでしょう。
贈収賄事件についてはこちらの記事もご覧ください。
まとめ
このように、事件によっては自身が受け取ったものが「賄賂」となるのかが重大な問題となります。ご自身の行ったことが収賄にあたるかどうかお悩みの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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