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公務員の持続化給付金詐欺―公務員が詐欺に加担した場合について解説
経済産業省のキャリア官僚が持続化給付金詐欺を主導した事件は社会を震撼させました。
ここでは、公務員の詐欺事件について解説します。
詐欺
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処されます(刑法第246条第1項)。持続化給付金詐欺では、学生や会社員など自分が事業を行っていないのに事業の売り上げがあるように装うなど、自身が支給される用件があるかのように申請して国を欺き、給付金を受け取ることで財物の交付を受けることが典型的な態様です。自分以外の学生や会社員などに申請のやり方を指示して申請させ、手数料などと称して給付金の一部を受け取れば、共犯者(刑法第60条)として同様の責任を負います。こうした指示者は、大勢の人を誘い込んで給付金申請を指示し、手数料などで給付金の大半を手にしており、何千万円もの被害を与えています。
このような誘いに乗ってしまった人については、発覚したとしても、1件だけだったり、指示役に渡してしまった分を含めた給付金全額を返還したりしていれば、逮捕されずに捜査が進む場合が多いです。一方で、詐欺の件数が多い場合、逮捕されることもあります。
詐欺には罰金刑がありませんので、略式手続き(刑事訴訟法第461条以下)により書類審査のみで即日裁判を終了するということはできず、起訴されれば、休職となってしまいます(国家公務員法第79条第2号、地方公務員法第28条第2号)。
有罪判決の場合必ず懲役刑となりますので、禁錮以上の刑に処されたとして失職してしまいます(国家公務員法第76条・第38条第1号、地方公務員法第28条第4項・第16条第1号)。
なお、地方公務員の場合は、条例に特別の定めがある場合は、禁錮以上の刑に処されたとしても失職せずに済むこともあります(地方公務員法第28条第4項)。地方公務員となる前の事件であれば対象外とするところもありますが、多くは過失の事件で執行猶予となった場合としており、過失運転致傷事件を想定しています。詐欺は故意の犯罪なので、条例による失職の例外となることは多くないでしょう。
懲戒処分
犯罪に該当する行為を行えば、非違行為をしたとして、懲戒処分を受けます。
国家公務員については、人事院の定める「懲戒処分の指針」に基づいて懲戒処分が下されます。
「懲戒処分の指針」の「第2 標準例」の「2 公金官物取扱い関係」において、「(3) 詐取 人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。」と、非常に重い処分が定められています。
公金又は官物に該当しなくても、詐欺に該当する行為は、重い処分が下されます。「懲戒処分の指針」の「第2 標準例」の「3 公務外非行行為」では、「(8) 詐欺・恐喝 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。」と定められています。多くの場合免職となります。
地方公務員についても、自治体などが同様の処分基準を定めており、これに基づいて懲戒処分が行われます。
示談・被害弁償
詐欺のような被害者がいる犯罪では、被害者に謝罪をして弁償し、示談をすることが重要となります。示談に成功すれば、前科がないのであれば、不起訴(起訴猶予)となることが多いです。
もっとも、持続化給付金詐欺のように国や公共団体が被害者の場合、基本的には示談には応じません。被害金額を弁償するにとどまることが多いです。これでも、前科がないことや被害金額が少ないことなどを考慮して、起訴猶予となることもあります。
また、示談や弁償をしたからといって犯罪行為が消えるわけではありませんから、刑罰は下されなくても、懲戒処分を受けることになります。もっとも、示談や弁償をしたことは懲戒処分の判断にあたり有利に考慮されます。
まとめ
このように、持続化給付金詐欺などに加担してしまうと、重い刑罰や懲戒処分を受けることになります。詐欺についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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公務員の人身事故ー公務員が人身事故の交通犯罪を行ってしまったらご相談ください
普段は真面目な公務員の方でも、自動車で人身事故を起こしてしまい、刑事事件に発展してしまうと、懲戒の対象になります。
懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職―68)(人事院事務総長発)では、以下のように規定されております。
「4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。
イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。
ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)
ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反
著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。」
特に、起訴されて執行猶予が付いたとしても禁固以上の刑事処分を受けたら、公務員の身分は自動的に失われることになってしまいます。
人身事故によって公務員が失うものが非常に大きいため、慎重な対応が必要になります。
過失運転致死傷罪
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、過失運転致死傷罪が成立します(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができます。
その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、無免許運転による加重として、10年以下の懲役に処されます。
刑事処分は、過失の大きさや損害の大きさ等を総合的に考慮して判断されます。
損害が大きくても、過失が小さければ、正式起訴まではされない可能性があります。
弁護士が事故現場に行き、状況を分析して、過失についてこちら側に有利な主張ができないか検討することになります。
しかし、特に警察の取調べでは、過失・不注意の程度が大きく評価されるように話を誘導されることが少なくありません。
警察が適正で公平な取調べをするとは限りません。
警察官は時に、脅したり、威圧したり、不当に誘導したり、騙したりしてきます。
反省していないのか、被害者に申し訳ないと思わないのか、証拠はもうそろっているからそんなことを言っても無駄だ、今回の状況ではこういう判断になると決まっている、などと言って圧力をかけてきます。
その結果、不注意の程度を大きくされ、過剰によそ見をしていた、過剰にスピードを出していた、という内容の供述調書が作成されてしまうことになります。
素人である一般人が、プロの警察官に毅然とした態度で取調べに応じることは難しいです。
刑事弁護に精通した弁護士を付けて対応するべきです。
警察は弁護士の存在を非常に気にしており、弁護士が付いているかいないかで態度が大きく異なります。
また、任意保険に加入していたら、被害弁償は保険会社が対応することになります。
しかし、保険会社の被害弁償は、被害者の損害についての賠償金に関するものではありますが、「刑事処分を求めない」「厳罰を求めない」等の文言を入れた示談書を作成するようなことはありません。
そこで、保険会社の被害弁償とは別に、お見舞金的な金銭をお支払いし、被害者と示談を締結する交渉が考えられます。
弁護士を通じて、誠意をもって被害者と話し合い、示談を求めていきます。
起訴前に示談が成立したら、起訴猶予になる可能性があります。
事故が生じた直後から迅速な対応が必要になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまでに公務員の人身事故事件を多数扱ってきました。
豊富な経験がありますので、刑事弁護に精通した弁護士にぜひご相談ください。
迅速な対応が必要になりますから、お気軽に無料の面談をご依頼ください。
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公務員が交通事故において注意することー公務員が交通事故を起こした場合について解説
公務員の窃盗、詐欺、横領事件―公務員の財産犯について解説
海上自衛隊で潜水手当の不正受給が発覚し、多くの自衛官が懲戒処分を受けたことが大きく報道されています。
これらは詐欺や横領に該当すると考えられます。このような他人の財産を侵害する犯罪は財産犯と呼ばれます。ここでは、公務員の財産犯について解説します。
公務員に成立し得る財産犯
窃盗
他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は10年以下の懲役に処されます(刑法第235条)。
他の職員の持ち物や現金を持ち去る場合が典型的です。
また、後述の業務上横領のように見える行為でも、自身の「占有」がない現金などを持ち去れば、この窃盗罪が成立します。
詐欺
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処されます(刑法第246条第1項)。
要件を満たしていないのに、用件を備えているかのように誤信させて、手当てを受給することは、この詐欺罪に該当すると考えられます。
業務上横領
自己の占有する他人の物を横領した場合横領罪(単純横領罪)が成立し、5年以下の懲役に処されます(刑法第252条第1項)。これが業務上自己の占有する他人の物の場合、業務上横領罪は10年以下の懲役(刑法第253条)に処されます。
「占有」とは、事実上の占有だけでなく、法律上の占有も含まれます。預金なども対象になり得ますが、預金通帳やキャッシュカード等を事務的に預かっているだけでは預金を占有しているとはいえません。
「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務です。公務員がその仕事として行うものであれば「業務上」占有すると判断されるでしょうから、公務員がその業務に関係する物を横領した場合は、多くは業務上横領罪に当たるでしょう。
「横領」とは、不法領得の意思を実現する一切の行為をいいます。この「不法領得の意思」とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされています。金銭の着服は横領の典型的な行為です。
警察官舎の管理人が積立金を着服するようなことをすれば、業務上横領に該当するでしょう。着服の他に「横領」に該当する行為の態様は、毀棄・隠匿のほか、売却や貸与、譲渡担保や抵当権などの担保権の設定、質入れなど多彩な行為が考えられます。
懲戒処分
犯罪に該当する行為を行えば、非違行為をしたとして、懲戒処分を受けます。
自衛官などの国家公務員については、人事院の定める「懲戒処分の指針について」に基づいて懲戒処分が下されます。
「懲戒処分の指針」の「第2 標準例」の「2 公金官物取扱い関係」において、「(1)横領 公金又は官物を横領した職員は、免職とする。」、「(2)窃取 公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。」、「(3) 詐取 人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。」と、非常に重い処分が定められています。
公金又は官物に該当しなくても、窃盗や詐欺等に該当する行為は、重い処分が下されます。「懲戒処分の指針」の「第2 標準例」の「3 公務外非行行為」では、「 (6) 横領 ア 自己の占有する他人の物を横領した職員は、免職又は停職とする。」、「イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。」、「(7) 窃盗・強盗 ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。」、「イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。」、「(8) 詐欺・恐喝 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。」と定められています。
職場内での窃盗などは、背信的な行為でもあるため、多くの場合免職となります。
まとめ
このように、窃盗や詐欺、横領をした公務員は、非常に重い処分を下されることになります。
公金についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
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公務員の官金着服事件-警察官が証拠品の現金を盗んだ事件を基に詳しく解説
公務員が痴漢事件を起こしてしまったらご相談くださいー公務員が痴漢をしてしまった場合の手続きについて解説
公務員の方でも、痴漢事件を起こして逮捕されたとのニュースが少なくありません。
普段は真面目に働いていたとしても、日々のストレスから精神に問題を生じ、ストレス発散のために痴漢を行ってしまうというケースもあります。
アルコールを飲みすぎて、勢いで痴漢を行ってしまい、気づいたときには逮捕されていた、ということもあります。
痴漢を行ってしまったら、公務員という立場を重視され、逮捕されてマスコミにより実名報道されてしまうことが多いです。
身体拘束が長くなると出勤できなくなり、報道も相まって事件が勤務先に知られてしまうことになります。
逮捕は現行犯だけでなく、事件発生からしばらく経ってから犯人が特定されて令状逮捕されることもあります。
勤務先から懲戒処分を受けることになります。
正式起訴されたら、罰金処分となる可能性はほぼなく、執行猶予が付いたとしても懲役刑であれば公務員としては自動失職となります。
失うものが非常に大きいことから、慎重な対応が必要になります。
条例違反としての痴漢
痴漢は、基本的には各地方公共団体の条例に罰則が規定されております。
例えば、東京都では、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」において、以下のように規定されております。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
- 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。
常習として違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになります。
後述する不同意わいせつ罪とは異なり、服の上からお尻を触るような行為を想定しております。
特に電車内での痴漢が多く、被害者や目撃者に発見されて駅員に連れて行かれ、警察が来て逮捕されることになります。
不同意わいせつ罪
更に性的羞恥心を害する程度が大きいものについては、不同意わいせつ罪で処罰されます。
不同意わいせつ罪では、以下のように規定されております(刑法176条第1項)。
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑(懲役刑)に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
いわゆる痴漢としての不同意わいせつ罪は、「五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。」に該当する場合が多いです。、、
わいせつな行為の程度は、条例違反よりは程度が大きい行為を想定しており、服の上からでも胸や女性器を触る行為が対象となります。
もちろん、女性の胸や女性器に直接触れる行為が対象になります。
罰金処分がなく、起訴されて正式裁判となります。
公務員が不同意わいせつ罪を行ってしまったら、自動失職となる可能性が生じてきます。
懲戒処分
このような痴漢事件を起こすと、懲戒処分を受ける可能性があります。
国家公務員について人事院の定める「懲戒処分の指針」では、公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とすると定めています。
地方公務員についての各自治体の基準ではさらに重い免職を定めるところもあります。
公務員が痴漢をしてしまうと、懲戒免職となる可能性が生じてきます。
公務員が痴漢事件を行ってしまったら、すぐに弁護士に相談してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、公務員による痴漢事件をこれまで多数扱ってきました。
取調べ対応、釈放活動、示談活動、公判対応、等について経験豊富で、具体的にどのように対応すればいいか心得ております。
0120-631-881までお電話してください。
初回面談は無料です。
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公務員が性犯罪事件を起こしたらご相談をー公務員の起こし得る性犯罪について解説
公務員と懲戒処分-公務員がパパ活でお金を払って女性に会う行為をしていた場合について解説
公務員がパパ活行為を行って処分を受けた、というようなニュースが出ることがあります。このようなニュースは、基本的にパパ活でお金をもらって男性と会っていた女性側が、副業禁止規定違反に違反して懲戒処分を受けるケースのものです。
今回は、公務員がパパ活でお金を払って女性に会う行為をしており、それが勤務先に発覚した場合について考察してみます。
人事院 懲戒処分の指針について
国家公務員の懲戒処分については、概ね人事院が出している「懲戒処分の指針について」という基準に基づいて行われます。地方公務員については各自治体で異なりますが、概ね「懲戒処分の指針について」と同様の処分基準があります。
公務外非行の懲戒事由については、以下のようになっています(本記事と関係が薄いと思われるものは省略)。
(1) 放火
(2) 殺人
(3) 傷害
(4) 暴行・けんか
(5) 器物損壊
(6) 横領
(7) 窃盗・強盗
(8) 詐欺・恐喝
(9) 賭博
(10) 麻薬等の所持等
(11) 酩酊による粗野な言動等
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。
(13) 痴漢行為
(14) 盗撮行為
本記事と関係があると思われるのが、(12)の淫行になります。パパ活の女性が成人であれば、基本的には「懲戒処分の指針について」に規定された懲戒事由には該当しません。
しかしながら、「懲戒処分の指針について」の基本事項には、「本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。」となっているので、該当するものがないからといって必ず処分がないとは限りません。例えば、不同意性交等(刑法第177条第1項)は「懲戒処分の指針について」には挙げられていませんが、悪質な性犯罪であり、法定刑も5年以上の有期懲役刑という重大な犯罪ですので、この事実が認められれば懲戒免職となります。また、パパ活において性交をすると買春となりますが、成人間でも売買春自体は違法な行為です(売春防止法第3条)。そのため、このような行為を繰り返しているのであれば、懲戒処分の対象となり得ます。地方公務員の方の場合では、それぞれ具体的に処分基準を見る必要があります。
弁護活動
ここまで説明してきたように、基本的には懲戒処分の基準に該当してこない行為ですが、近年好ましくないとされている行為であるので、懲戒処分の方向に動かないとも限りません。その場合、懲戒処分がなされないように、なされるとしても軽い処分にとどまるように弁護していく必要があります。
具体的には、弁護士が状況を聴き取った上、不利な事実(例えば、実際にその「パパ活」で女性を何回も「買って」いる等)が出ないように対応をアドバイスする、処分基準に則した処分を行うように意見書を作成する、過去の処分例に即して処分を行うよう申し入れる、といったところです。
たしかに、懲戒処分がなされるかなされないかに関わらず、職場に居づらくなるのであればあまり意味がないと思われるかもしれませんが、懲戒処分を受ければ公表される可能性があるなど、再就職にも大きく影響が出る可能性があります。
まとめ
このように、公務員がパパ活で女性にお金を払って会う場合でも、懲戒処分がなされる可能性がないとは言えませんし、もしかすると懲戒処分をする、という状況になってしまっていてお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合に、何をどう主張するのか、事実を詳細に聴き取って陳述をして頂き、弁護士の方でも意見を出すことで懲戒処分を防ぐことができるかもしれません。
パパ活が発覚してお悩みの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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公務員と副業-公務員が副業をした場合の懲戒手続きについて解説
公務員と副業-公務員が副業をした場合の懲戒手続きについて解説
公務員が副業を行ったとして懲戒免職になった、停職になった、というニュースが出ることがあります。
特に、コロナウイルス騒ぎが出始めて以降、公務員が風俗店等で働くニュースも増えてきたように思います(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231226/k10014300781000.html など。)
医師、大学教授等専門性が高い職務や、国会、地方議員などを除いた一般的な公務員が副業を行った際の処分はどうなるのか、解説します。
関連法令等
公務員の副業については、国家公務員法第103条、第104条、及び地方公務員法第38条に定めがあります。特に国家公務員法第103条に反して営利企業の地位についた場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(国家公務員法第109条13号)。このように公務員の副業を原則として禁止するのには、職務専念義務、守秘義務、信用失墜行為の禁止等が一般に理由として挙げられます。
国家公務員について人事院の定める「懲戒処分の指針」では、処分基準は、以下のようになっています。
第2 標準例 1 一般服務関係
(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠
営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
なお、懲戒処分の指針の「第1 基本事項」では、
個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、
① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
がある。
とも規定しています。都道府県、市町村等の自治体も、それぞれの地方公務員について処分基準を定めています。処分基準は様々でしょうが、概ねこれに沿う物が多いといえるでしょう。
兼業の発覚経緯
兼業の発覚経緯としては、税金関係の調査から発覚する場合や、住民からの通報が考えられるでしょう。
弁護活動
上記のように、許可を得ずに副業を行った場合、処分自体は一応軽いものにとどまるケースもあれば、思いがけず免職などの重い処分を受けてしまう可能性もないとはいえないでしょう。
趣味に近い活動が副業にあたるのではないか、ということが問題になった場合は、処分の軽減を訴える他、そもそも処分に値しないことを主張することもあり得るでしょう。
逆に、風俗店で勤務していた、などの場合は、停職がベースになっている場合でも、情状によっては免職など重い処分がなされることもないとは言えません。重い処分が見込まれる場合は、従事していた期間や動機などについて、適切な説明をしていく必要が出てきます。
弁護士としては、主に上記を裏付けるような主張をしていくアドバイスをしていき、場合によってはそのアドバイスに沿った証拠を収集していくことをサポートしていくことになります。
まとめ
このように、公務員が許可を得ずに副業をした場合、非常に重い処分が下される可能性もある反面、軽い処分に落ち着かせることができる可能性も出てきます。
公務員の方で副業についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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公務員が交通事故において注意すること―公務員が交通事故を起こした場合について解説
公務員が交通事故を起こした場合、刑罰だけでなく懲戒処分も受ける可能性があります。道路交通については様々な規制がありますが、公務員は全体の奉仕者としてこれを強く遵守する必要があり、違反があればより重い処分を受けることになります。
ここでは、公務員が交通事故に関して注意するべき事柄について説明します。
公務員が注意するべきこと
飲酒運転
飲酒運転により悲惨な事故が相次いだことから、飲酒運転をして事故を起こした場合の処罰が重くなりました。行政庁でも、飲酒運転に対しては重い処分を下すようになっています。
酒気を帯びて自動車などの車両等を運転してはいけません(道路交通法第65条第1項)し、このようなおそれのある者に車両等を提供してはいけません(第2項)し、酒類を提供してはいけません(第3項)。また、運転者が酒気を帯びていることを知りながら、運転者に対し、車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、酒気帯び運転する車両に同乗してはなりません(第4項)。
その運転をした場合において酒に酔つた状態」すなわち酒酔い運転は、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態を言います。この状態で車両等を運転したり、このおそれがある者に車両等を提供した者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(道路交通法第117条の2第1項第1号、第2号・第65条第1項、第2項)。酒類を提供してその相手が酒酔い運転をしたり、運転者が酒酔い状態であることを知りながら、運転者に対し、車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、酒酔い運転する車両に同乗した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(道路交通法第117条の2の2第1項第5号、第6号・第65条第3項、4項)。
呼気1リットル当たり0.15ミリグラムのアルコールを保有する状態で車両等を運転すれば、酒気帯び運転となります(道路交通法施行令第44条の3)。この状態で車両等を運転したり、このおそれがある者に車両等を提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(道路交通法第117条の2の2第1項第3号、第4号・第65条第1項、2項)。酒類を提供してその相手が酒気帯び運転をしたり、運転者が酒気帯び状態であることを知りながら、運転者に対し、車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、酒気帯び運転する車両に同乗した場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます(道路交通法第117条の3の2第1項第2号、第3号・第65条第3項、4項)。
国家公務員の「懲戒処分の指針」では、飲酒運転は非常に重い処分が下されます。
第2 標準例
4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。
イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。
ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
酒酔い運転をした職員は、免職または停職という非常に重い処分を下されます。このうえで人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職のみとなります。
酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給となります。人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職、後述の措置義務違反もしていれば免職のみとなります。
飲酒運転をした職員に対し、車両や酒類を提供したり、飲酒をすすめたり、飲酒を知りながら車両に同情した場合も、関与の程度などを考慮して、同様の処分を受けます。
措置義務違反
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません(措置義務。道路交通法第72条第1項前段)。また、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければなりません(報告義務。同項後段)。
交通事故が起きれば、どちらに過失があるかわからない状況であったり、被害者が大丈夫と言っても、まず負傷者を助けたり警察に報告することが必要です。
車両等の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、措置義務違反をしたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(道路交通法第117条第1項)。この場合において、この人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(第2項)
措置義務違反をした場合は、通常よりも重い懲戒処分を下されます。
飲酒運転の項でもあげていますが、酒気帯び運転をして、人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた上で、措置義務違反をした職員は、免職のみとなります。
第2 標準例
4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)
ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反
著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
まとめ
このように、飲酒運転や交通事故が起きた場合の措置義務違反は、非常に重い懲戒処分を下されることになります。
公務員の方で交通事故について心配な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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公務員が交通犯罪をしてしまったらぜひご相談をー公務員が交通犯罪を起こした場合について解説
公務員が刑事事件を起こしたらご相談くださいー公務員が刑事事件を起こした場合の流れ
公務員が犯罪を行ってしまったら、逮捕される可能性があります。
その場で現行犯逮捕されるかもしれませんし、時間が経ってから令状逮捕される可能性があります。
しかも、逮捕された場合、公務員としての地位を重視され、一般の人よりも実名報道される可能性が高まります。
逮捕されたら、その後も勾留となり、長期間身体拘束されることになるかもしれません。
実名報道されたり、長期間身体拘束されたら、勤務先に事件が知られてしまうことになります。
起訴されて禁錮以上の刑事処分を受けたら、執行猶予だったとしても自動的に公務員を失職することとなります。
起訴された段階でも休職となり、仕事に出られなくなるかもしれません。
罰金や不起訴だったとしても、懲戒処分を受ける可能性があります。
人事院が示している「懲戒処分の指針について」では、具体的な処分量定の決定に当たっては、
① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
⑤ 過去に非違行為を行っているか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする、とされており、非違行為ごとに標準例が示されております。
各地方公共団体においても、懲戒処分の指針が示されております。
公務員が犯罪を行ってしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
逮捕前であれば、どうすれば逮捕される可能性を低くできるかを検討します。
すぐに被害者と示談交渉をするのか、警察に自首するのか、等を個別の状況に応じて判断していきます。
逮捕されたら、早期の釈放を求めていきます。
証拠隠滅や逃亡のおそれがないこと等を、深く分析して裁判所等に主張していきます。
ご家族に身元引受人になっていただき、協力しながら釈放を求めていきます。
被害者がいる犯罪では、早期に被害者に接触して示談交渉をすることになります。
とにかく示談金を払えばいいということではなく、被害者の意向も確認しながら進めていきます。
示談が成立したら、早期に釈放となり、起訴猶予となる可能性が高まります。
犯罪をしていないにもかかわらず犯行を疑われているのであれば、より慎重な対応が必要になります。
警察官は、取調べで威圧してきたり、不当に誘導してきたりして、無理やり犯行を認めさせようとしてくることがあります。
プロである警察官に対し、公務員といえども刑事手続きについて素人であれば、取調べにきちんと対応することは容易ではありません。
刑事弁護について心得ている弁護士に相談・依頼し、対応していかなければなりません。
警察の違法・不当な取調べに対し、黙秘をしたり、抗議書面を提出したり、状況に応じて判断して毅然と対抗しなければなりません。
不起訴を目指していくことになりますが、もし起訴されたら、裁判で無罪を求めて闘っていくことになります。
公務員の方が犯罪を行ってしまった場合、一般の人よりも失うものが大きくなる可能性があります。
なるべく早く弁護士に相談・依頼し、対応していかなければなりません。
しかも、弁護士であれば誰でもいいということではなく、刑事事件についての能力が高い弁護士に相談・依頼した方が上手く解決される可能性は高まります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまでに数多くの刑事事件を扱い、解決に導いてきました。
公務員の刑事事件も多数扱ってきており、その対応方法についても心得ております。
公務員の方やそのご家族は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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公務員が性犯罪事件を起こしたらご相談をー公務員の起こし得る性犯罪について解説
公務員の性犯罪事件についての当事務所へのご相談・ご依頼は少なくありません。
以前から偏った性癖があり常習的に行っている人もいますが,職場のストレスから精神に問題を生じたり,アルコールの影響で行ってしまう人も多いです。
普段真面目な公務員の方ほど,ストレスによる精神的な問題を生じたり,アルコールの飲み過ぎで記憶を失って性犯罪を行ってしまうケースがあるように感じます。
単に性的欲求から性犯罪を行ってしまったということだけで評価するのではなく,背景事情から問題を分析して改善策を検討しなければなりません。
公務員が性犯罪を行ってしまったら,逮捕される可能性があります。
公務員という社会的地位の重要性から,一般の人よりも実名報道される可能性は高まります。
逮捕・勾留され,長期間身体拘束されるかもしれません。
職場にばれたら,懲戒処分を受けることになります。
起訴されて禁錮以上の刑に処されたら,執行猶予でも自動失職となります。
公務員が犯罪を行ってしまったら,一般の人より失うものが大きくなります。
迅速で慎重な対応が必要になります。
以下では,性犯罪の中でも,公然わいせつ罪,いわゆる痴漢の条例違反,不同意わいせつ罪,不同意性交等罪について説明します。
公然わいせつ罪
公然とわいせつな行為をした者は、公然わいせつ罪が成立し,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されます。(刑法174条)
公然わいせつ罪を行ってしまい,当事務所へご相談に来られる公務員の方は存在します。
お話を聞くと,やはり普段は真面目な方ですが,職場でのストレスが強すぎて,精神的な問題を生じてしまったのではないかと疑われるケースがあります。
いわゆる痴漢としての条例違反
各地方公共団体の迷惑行為防止条例により,いわゆる痴漢行為の処罰が定められています。
何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から、又は直接身体に触れることをしたら,犯罪として処罰されます。
女性の服の上からお尻を触るようなケースが想定されています。
より程度が強くなり,服の上からでも胸を触るようなケースは次の不同意わいせつ罪となります。
不同意わいせつ罪
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意わいせつ罪が成立し,6月以上10年以下の懲役刑に処されます(刑法176条1項)。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
公務員による不同意わいせつ罪で多いのは,アルコールによるものです。
犯行時の記憶を失っているが,逮捕されて気づいたら警察署の留置場にいたというパターンも珍しくありません。
不同意性交等罪
不同意わいせつ罪の各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意性交等罪が成立し,5年以上の有期懲役刑に処されます(刑法177条)。
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
16歳未満の者に対し、性交等をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
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公務員の勤務外での犯罪事件―公務員が公共の場で行う犯罪について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説
公務員といえども通勤や休日などは一般市民と同じですので、その際に問題行動を起こした場合、一般市民と同様に刑罰を受けます。一方で、公務員という特別な地位にあるため、勤務先(任命権者)から懲戒処分を受けることになります。ここでは、公務員が日常生活において犯罪を起こした場合について解説します。
法律違反について
公務員であっても、贈収賄罪(刑法第197条以下)のように公務員に限って成立したり刑が重くなる犯罪でなければ、一般市民と同様に刑罰を受けます。
任命権者による懲戒処分は、所属する国や地方公共団体の定める懲戒処分の基準に従って行われます。国家公務員の場合は、人事院の定める「懲戒処分の指針」によって行われます。地方公務員についても、同様の指針が定められています。行為の悪質性や被害者との示談の成立などにより変わってきます。
問題となる犯罪について
痴漢
電車内などの公共の乗り物内や駅、商業施設などの公共の場所で他人の臀部に触るなどすると、各都道府県の迷惑防止条例違反となります。刑罰は各都道府県の迷惑防止条例により変わってきます。東京都の迷惑防止条例では、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています(東京都迷惑防止条例第8条第1項第2号・第5条第1項第1号)。
痴漢行為の内容が、胸を触ったり下着を直接触るなどした場合、より悪質な態様ですので、不同意わいせつ罪(刑法第176条第1項第5号)が成立する可能性があります。法定刑は、6月以上10年以下とより重くなっています。
任命権者による懲戒処分については、国家公務員については、停職又は減給と定められています(「懲戒処分の指針」第2 標準例 3 公務外非行関係 (13)痴漢行為)。
地方公務員については、各地方公共団体で懲戒処分の指針が定められていますが、免職が含まれているところも多いです。現に、懲戒免職となる事例も多いです。
盗撮
駅、商業施設のトイレなどで盗撮をすると、迷惑防止条例違反となります。カメラで実際に撮影するだけでなく、カメラを差し向けたり設置するだけでも犯罪となります。また、不特定多数の使うことが予定されていない従業員用のトイレで盗撮した場合や、家の外から家の中を盗撮する場合も犯罪となるように定められているところもあります。刑罰は各都道府県の迷惑防止条例により変わってきます。東京都の迷惑防止条例では、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と定められています(東京都迷惑防止条例第8条第2項第1号・第5条第1項第2号)。
令和6年6月20日以降の行為については、性器や肛門、それらを覆っている下着などを撮影する行為は「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)」第2条の違反となります(性的姿態等撮影罪)。法定刑は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金とより重くなっています(同条第1項)。カメラを差し向けたり設置する行為は未遂罪となります(同条第2項)。
任命権者による懲戒処分については、国家公務員については、停職又は減給と定められています(「懲戒処分の指針」第2 標準例 3 公務外非行関係 (14)盗撮行為)。
地方公務員については、各地方公共団体で懲戒処分の指針が定められていますが、免職が含まれているところも多いです。現に、懲戒免職となる事例も多いです。
まとめ
このように、公務外で犯罪を行うと、刑罰を科せられるほか、懲戒処分を受けることになります。
公務員の方で公務外で犯罪を起こしてしまいお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
こちらの記事もご覧ください
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