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公務員の違法薬物事件について

2025-10-01

文部科学省や経済産業省といった日本の官僚機構の中枢において、エリート官僚が大麻や覚醒剤といった違法薬物を所持し、省内に捜索が行われたニュースは社会に衝撃を与えました。また、近年では大麻による検挙数が増加しており、警察官や自衛官からも逮捕者が出たり懲戒処分を受ける者も出ています。

ここでは、公務員の違法薬物事件について解説します。

違法薬物の規制

近年は覚醒剤関係事件の検挙数は減少していますが、大麻関係事件の検挙数は増加しています。

そのため、大麻は「麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)」の「麻薬」の一つとして、使用(施用)も処罰されるようになり、刑罰も他の麻薬と同様に重くなりました。

また、危険ドラッグと呼ばれる、大麻や覚醒剤などの違法薬物の成分を変えた薬物が問題になっており、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)の指定薬物に定めることなどにより対処しています。

刑事処分

大麻やMDMAなどジアセチルモルヒネ(ヘロイン)等以外の麻薬をみだりに所持した場合、7年以下の拘禁刑に処されます(麻薬取締法第66条第1項)。営利目的の場合、1年以上10年以下の拘禁刑又はこれに加えて300万円以下の罰金が科されます(第2項)。使用(施用)した場合も、7年以下の拘禁刑に処されます(麻薬取締法第66条の2第1項・第27条第1項)。営利目的の場合、1年以上10年以下の拘禁刑又はこれに加えて300万円以下の罰金が科されます(第2項)。

薬機法の指定薬物を所持したり使用した場合は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれらの刑が併科されます(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第84条第28号・第76条の4)。

覚醒剤を所持や使用した場合は、10年以下の拘禁刑に処されます(覚醒剤取締法第41条の2第1項、第41条の3第1項第1号・第19条)。営利目的でこれらの行為を行った場合、1年以上の拘禁刑が科され、又はこれに加え500万円以下の罰金が科されます(第41条の2第2項、第41条の3第2項)。覚醒剤を輸入・輸出や製造をすると、1年以上の拘禁刑に処され(第41条第1項)、営利目的で行った場合は無期若しくは3年以上の拘禁刑に処され、又はこれに加えて1000万円以下の罰金に処されます(第41条第2項)。

ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)等の麻薬についても覚醒剤と同様処罰されます。これらの麻薬を輸入・輸出や製造をすると、1年以上の拘禁刑に処され(麻薬取締法第64条第1項)、営利目的で行った場合は無期若しくは3年以上の拘禁刑に処され、又はこれに加えて1000万円以下の罰金に処されます(第64条第2項)。これらの麻薬をみだりに製剤や所持、使用(施用)した場合は、10年以下の拘禁刑に処されます(第64条の2第1項、第64条の3第1項)。営利目的でこれらの行為を行った場合、1年以上の拘禁刑が科され、又はこれに加え500万円以下の罰金が科されます(第64条の3第2項)。輸入・輸出や製造をすると、1年以上の拘禁刑に処され(第64条第1項)、営利目的で行った場合は無期若しくは3年以上の拘禁刑に処され、又はこれらに加えて1000万円以下の罰金に処されます(第64条第2項)。

裁判では初犯の場合、大麻等の麻薬や指定薬物に関する違反の場合は6月から1年の拘禁刑・2年から3年の執行猶予、覚醒剤やヘロイン等の悪質な違法薬物に関する違反の場合は拘禁刑1年6月程度・執行猶予3年程度となることが多いです。

また、薬物使用等の罪の一部については、「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」により、刑の一部執行猶予(刑法第27条の2)の特則が定められており、前に刑の全部の執行を猶予されたことなどの条件(刑法第27条の2第1項各号)を満たしていなくても、「刑事施設における処遇に引き続き社会内において・・・規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが」再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ相当と認められるときは、刑の一部の執行を猶予することができます。具体的には、初めは刑務所で服役し、刑期の終盤に執行猶予として社会に出て、保護観察を受けながら社会復帰を目指すことになります。

懲戒処分

公務員に違法薬物の所持などの非違行為があれば、刑罰だけでなく、懲戒処分も受けることになります。

国家公務員の場合、懲戒処分は任命権者が行いますが、懲戒手続は人事院が行います(国家公務員法84条1項2項)。

地方公務員の場合は、条例に定められた機関が懲戒手続を行います(地方公務員法29条4項)。

人事院の「懲戒処分の指針」によれば、国家公務員が大麻や覚醒剤などの違法薬物を所持していれば、「公務外非行関係」の「(10)麻薬等の所持等」に該当し、必ず免職処分となります。

地方公務員の場合も同様に重い懲戒処分が下されます。例えば、東京都だと、麻薬又は覚醒剤等を所持又は使用した職員は、免職としています。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や東京都の条例の指定する薬物、いわゆる危険ドラッグを所持又は使用した場合も免職又は停職としています(東京都知事部局「懲戒処分の指針」参照)。

https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/soumu/7014_choukaisisin

刑事手続との関係

懲戒処分のような行政処分も、事実に基づいて行われます。逮捕や勾留され、本人も違法薬物の所持や使用を認めている場合は、捜査中であったり起訴され判決が出る前であっても懲戒処分が下されることがありますが、公務員が違法薬物を所持・使用等したとして捜査されている間は、本人が否認していたり途中で捜査手続きに問題があることが明らかになるようなこともあるため、基本的には刑事手続の終了を待って処分が下されるでしょう。

また、大麻等ではよく見られますが、所持していたことが証拠上明らかであってもその量が微量の場合は、不起訴となることがあります。このように刑事手続上は処罰されなかった場合でも懲戒手続が進められます。

公務員の場合、起訴されると、強制的に休職させられることがあります(地方公務員法第28条第2項第2号、国家公務員法第79条第2号)。裁判の結果、有罪の判決を言い渡され、禁錮(改正後の拘禁刑も含まれます)以上の刑に処されると、失職となります(地方公務員法第28条第4項・第16条第1号、国家公務員法第条第76条・第38条第1号)。

懲戒手続自体は、刑事裁判が継続中の事件であっても懲戒手続を進めることができる旨が国家公務員法に定められています(国家公務員法第85条)。

まとめ

このように、公務員が違法薬物を所持したり使用したりすると、大変重い懲戒処分や刑罰を受けることになります。

公務員の方で違法薬物にお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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公務員と違法薬物

公務員の痴漢事件について

2025-09-27

公務員が痴漢をしてしまったらすぐにご相談ください

公務員が痴漢で逮捕されたとのニュースが少なくありません。

公務員という地位の重要性から、実名報道されることが多いです。

職場にばれ、懲戒処分を受けることになります。

公務員が痴漢をしてしまったら、その悪影響は大きいものになります。

事件が起きてしまったら、迅速に慎重な対応が必要になります。

条例違反としての痴漢

痴漢は、基本的には各地方公共団体の条例に罰則が規定されております。

お尻を触ったりする痴漢行為が想定されております。

正当な理由なく、公共の場所・乗物で、衣服の上や直接身体に触れたら、犯罪として処罰されることになります。

常習性があれば、より重く処罰されます。

電車内で女性のお尻を触る痴漢行為等で適用されることが多いです。

不同意わいせつ罪

女性の胸を揉む等、侵害の程度が大きいと、不同意わいせつ罪が成立することになります。

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意わいせつ罪が成立します(刑法第176条第1項)。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。

二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。

三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。

四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。

五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。

六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。

七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。

八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、不同意わいせつ罪が成立します(同条第2項)。

16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、相手の同意は無効とされ、不同意わいせつ罪が成立します(同条第3項)。

未遂も罰せられます(刑法第180条)。

不同意性交等罪

更に、例えば女性器の中に指を入れる行為をしたら、不同意わいせつ罪より更に罪が重い不同意性交等罪が成立します。

不同意わいせつ罪に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、不同意性交等罪が成立します(刑法第177条第1項)。

行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、不同意性交等罪が成立します(同条第2項)。

16歳未満の者に対し、性交等をした者も、相手の同意は無効とされ、不同意性交等罪が成立します(同条第3項)。

未遂も罰せられます(刑法第180条)。

取調べ対応は慎重に

捜査機関の取調べが適正公平に行われると期待してはいけません。

特に警察は、威圧しますし、脅してきます。

嘘も付いてきますし、話を盛ったりします。

違法・不当な取調べにより、こちらに不利な方向で話を持っていき、調書が作成されてしまいます。

公務員とはいえ刑事事件に関して素人の一般人が、プロの警察官に対して毅然とした対応をすることは難しいです。

刑事弁護に精通した弁護士を立てて、慎重に対応する必要があります。

被害者への示談活動が重要

被害者に対しては、迅速に誠意を持って対応していかなければなりません。

しかし、痴漢をした本人が被害者に直接接触することはできません。

弁護士を立てて、捜査機関を通じて接触を試み、話し合いをしていくことになります。

謝罪のうえで被害弁償の支払いをし、示談を求めていくことになります。

二度と接触しない、等の条項についても話し合い、示談書面に記載することになります。

公務員が痴漢事件を行ってしまったら,すぐに弁護士に相談してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,公務員による痴漢事件をこれまで多数扱ってきました。

取調べ対応,釈放活動,示談活動,公判対応,等について経験豊富で,具体的にどのように対応すればいいか心得ております。

0120-631-881までお電話してください。

初回面談は無料です。

有料の初回接見をご希望のご家族等は,依頼していただけたらすぐに対応いたします。

スピードが重要ですので,ぜひお早めにご連絡ください。

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公務員の性的逸脱行為への制裁

公務員の性的逸脱行為への制裁

2025-09-22

公務員の性的逸脱行為

学校の教師が生徒に対し性交等をしたり盗撮をするといった性犯罪が発覚し、問題となっています。国公立学校の場合、教師は公務員ですので、公務員としての懲戒処分を受けます。

ここでは、公務員の性的逸脱行為についての刑罰や懲戒処分について解説します。

性犯罪

公務員に問題となる性犯罪としては、以下のものがみられます。

不同意わいせつ・不同意性交等

公務員や学校の教師の地位を利用した犯罪としては、不同意わいせつ罪(刑法第176条)や不同意性交等罪(刑法第177条)が問題となります

公務員としての立場や、教師が生徒に対して行う場合、相手は逆らうとどのような不利益を受けるかと委縮して不同意を示せなくなると考えられます。これは「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」(刑法第176条第1項第8号)に当たる可能性があります。

また、相手が16歳未満の者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限ります)の場合、この様な事由に関わらず、不同意わいせつや不同意性交等に該当します(刑法第176条第3項、刑法第177条第3項)。

職務外での性犯罪

職務外で起こし得る性犯罪としては、痴漢や盗撮があります。

痴漢は各都道府県の迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪に当たります。胸や性器を触るなど悪質な場合は不同意わいせつ罪となります。

盗撮は各都道府県の迷惑防止条例違反や性的姿態等撮影罪(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条)となります。被害者が18歳未満の児童の場合、児童ポルノ製造罪(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条第5項)にも該当します。

また、18歳未満の児童を買春(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第2項)した場合、児童買春(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条)に該当します。

性犯罪関係の懲戒処分

公務員が性犯罪やわいせつ行為をすると、非違行為をしたとして、重い懲戒処分を受けることになります。

国家公務員の懲戒に関する、人事院の「懲戒処分の指針について」によると、「3 公務外非行関係」において、「(12)淫行」では、18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行した職員は、免職又は停職とする、と定めています。また、「(13)痴漢行為」「(14)盗撮行為」も停職又は減給という比較的重い処分となっています。

また、地方公務員については、各地方公共団体の機関が懲戒処分の指針を定めています。

自身の職務に関し、その職務上の立場を悪用した非違行為ほど、厳しい処分がされます。

例えば、「さいたま市教員の懲戒処分の指針」の「5 児童生徒に対する非違行為関係」では、「(2) 児童生徒性暴力等」「ア 職務上関係のある、あるいは関係のあった児童生徒に対してわいせつな行為をした教職員は、免職とする。」「ウ 職務上関係のある、あるいは関係のあった児童生徒に対してわいせつな言辞等の性的な言動等不適切な行為を行った教職員は、停職又は減給とする。この場合において不適切な行為が特に悪質なときは、当該教職員は免職とする。」などと定められています。

その他、18歳以上の者の売買春は、犯罪ではありませんが違法であり(売春防止法第3条)、品位を害するものとして懲戒処分の対象となり得ます。

公務員の身分に関する手続き

上記のように、性犯罪やわいせつな行為に対しては重い懲戒処分が下されます。

公務員の場合、起訴されると、強制的に休職させられることがあります(地方公務員法第28条第2項第2号、国家公務員法第79条第2号)。休職中は仕事ができませんし、給与は支給されません(国家公務員法第80条第4項参照)。

国家公務員法では、刑事裁判が継続中の事件であっても懲戒手続を進めることができる旨定められています(国家公務員法第85条)。そのため、起訴されたり判決が出る前に懲戒手続がすすめられ、懲戒処分が下されることがあります。例えば、逮捕勾留中に教育委員会の委員が拘束下にいる教師と接見して事情聴取し、非違行為があったと認められれば、懲戒処分を下します。

裁判の結果、有罪の判決を言い渡され、禁錮以上の刑に処されると、失職してしまいます(地方公務員法第28条第4項・第16条第1号、国家公務員法第76条・第38条第1号)。地方公務員の場合は、「条例に特別の定めがある場合」には失職とならないとすることができます。しかし、通勤中の交通事故や執行猶予付きの禁錮にとどまる場合にのみ失職させないことができるという場合が多いです。性犯罪の場合、懲役刑が多いですし、上記のように事案によっては免職となるほど重いとみなされている類型であるため、原則通り失職することになるでしょう。

まとめ

このように、公務員の性犯罪は重い処分が下されることになります。性犯罪でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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公務員が起こす性犯罪

インターネットの未成年者への性犯罪

2025-09-18

公務員によるインターネットを通じた未成年者に対する性犯罪

インターネットは簡単に利用できることから、軽い気持ちで未成年者に対する性犯罪を行ってしまう公務員の方がいます。

インターネットを通じて、裸の写真や動画を送るように要求したり、実際に会って性交等をすることを要求するケースが少なくありません。

発覚したら、警察がある日突然自宅に来て、逮捕されることもあります。

逮捕されたら、公務員という地位の重要性から、実名報道されてしまう可能性が一般の人より高くなってしまいます。

勤務先に知られてしまったら、懲戒免職を受け、失職することになるかもしれません。

公務員という身分から、一般の人より悪影響が大きくなってしまうので、迅速で慎重な対応が求められます。

<16歳未満の者に対する面会要求等罪>

わいせつの目的で、16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます(刑法第182条第1項)。

一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。

二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。

三 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。

前記の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該16歳未満の者と面会をした者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます(第2項)。

16歳未満の者と実際に会って、性交等をしたら不同意性交等罪が成立して5年以上の有期拘禁刑に処され、わいせつ行為をしたら不同意わいせつ罪が成立して6月以上10年以下の拘禁刑に処されます。

<16歳未満の者に対する映像送信要求罪>

16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為を要求した者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます(刑法第182条第3項)。

一 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。

二 前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。

実際に撮影させて送らせたら、不同意わいせつ罪、性的姿態等撮影罪、児童ポルノ製造罪等が成立することになります。

<児童買春罪>

18歳に満たない児童に対して児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条・第2条)。

児童買春とは、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。

ここでいう性交等とは、性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。

金銭の供与がないのであれば、各地方公共団体が定める淫行条例違反が成立することになります。

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教職員の性犯罪と懲戒処分

公務員の副業と懲戒処分

2025-08-22

公務員は全体の奉仕者であり、その職務に専念するべき立場にあります。そのため、公務員には職務専念義務が定められています。このような公務員が許可なく副業をすれば、懲戒処分を受けます。事案によっては、減給など重い処分を受けることもあります。

ここでは、公務員が許可なく副業をした場合について解説します。

職務専念義務

職務専念義務は、国家公務員法、地方公務員法に定められています。公務員は、法律や命令、条例に特別の定めがある場合を除いて、副業(兼業)が禁止されています。

国家公務員法第101条第1項

職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。

地方公務員法第35条

職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

懲戒処分

公務員の懲戒処分は、国家公務員については、人事院が「懲戒処分の指針」を定めており、これに基づいて懲戒処分が行われます。

地方公務員の懲戒処分については、各地方公共団体が懲戒処分の指針や基準を定めており、これに基づいて懲戒処分が行われます。

国家公務員についての「懲戒処分の指針」では、懲戒処分の基本事項について以下のように定めています。

第1 基本事項

本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。

具体的な処分量定の決定に当たっては、

① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか

② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか

③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか

④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか

⑤ 過去に非違行為を行っているか

等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。

副業の禁止

許可なき副業(兼業)の禁止は、「懲戒処分の指針」の「第2 標準例」の「1 一般服務関係」において定められています。減給処分もあり得ます。

第2 標準例

1 一般服務関係

(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠

営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

副業禁止違反となる場合

副業禁止違反となる事案として、実家の家業を手伝ってお金を受取っていた場合などがあります。

公立病院に勤務する医師が他の病院で勤務して報酬を得ている場合も、副業と判断されます。

また、メルカリ等で自身の持ち物を転売する行為も、転売する物を他所から仕入れたり、反復継続して行っていると、副業と判断される場合もあります。

公務員としての仕事以外でお金を得るような場合は注意が必要です。

また、これにより得た収入を隠して、公務員としての給与だけで確定申告をすると、脱税となり、所得税法違反などに問われることになります。このような脱税も懲戒事由となります。

まとめ

このように、公務員の副業は、想像よりも大変な事態になりかねません。 公務員の方で、公務員としての給与以外でお金を得ていて、副業禁止違反にならないか不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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公務員と副業-公務員が副業をした場合の懲戒手続きについて解説

自転車の飲酒運転と公務員の懲戒処分

2025-08-18
公務員、自転車運転、飲酒運転
、事故、懲戒処分

道路交通法の改正により、自転車の飲酒運転が罰則の対象になりました。

今後は、自転車であっても、アルコールを保有している状態で運転したら、犯罪となり、刑事処分を受けることになります。

通勤で自転車を利用している公務員の方が、仕事終わりに飲食をしてアルコールを飲み、そのまま帰宅をするときに自転車を使用したら、犯罪となります。

自動車でなく自転車だからまあいいか、という考えで運転してしまったら、犯罪が成立して刑事処分を受けるだけでなく、勤務先から懲戒処分も受けることになってしまいます。

特に、公務員に対しては飲酒運転に関して厳しい懲戒処分をしてくることが予想され、その悪影響は大きいものとなります。

何人も、酒気を帯びて自転車を含めた車両等を運転してはなりません。

違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあったら、酒気帯び運転として3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されることになります。

政令で定める程度は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとされています。

違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔った状態にあったら、酒酔い運転として5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されることになります。

酒に酔った状態とは、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいいます。

また、飲酒運転をするおそれがある人に対して、自転車を提供したり、酒類の提供や飲酒を勧める行為をしたりする行為も、犯罪となります。

国家公務員を対象にした「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職―68)(人事院事務総長発)」によると、酒気帯び運転をした職員は免職・停職・減給、酒酔い運転をした職員は免職・停職と示されております。

具体的な処分量定の決定に当たっては、

 ① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか

 ② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか

 ③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか

 ④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか

 ⑤ 過去に非違行為を行っているか

 等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとされております。

より重いものとすることが考えられる場合として、

 ① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき

 ② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき

 ③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき

 ④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき

 ⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき

 があるとされております。

より軽いものとすることが考えられる場合として、

 ① 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき

 ② 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき

 があるとされております。

地方公務員に関しては、各地方公共団体ごとに懲戒処分の指針が定められております。

刑事処分や懲戒処分の判断に当たっては、具体的な犯罪行為の内容の確認が必要になります。

警察の取調べや職場での聞き取りでは、よりこちら側に悪い方向で話を誘導されてしまうことがあります。

そうなると、より重い処分を受けることになってしまいます。

弁護士を立てて、取調べや聞き取りに対して慎重な対応をしていく必要があります。

そのうえで、検察や職場に対して意見書を提出し、犯罪の内容の悪質性が過剰に評価されないように働きかけていくことになります。

そのうえで、反省や更生の意思と再犯防止策を示していくことになります。

アルコールに対して依存性が認められるのであれば、病院へ受診・通院して治療を進める必要があります。

家族等に飲酒運転をさせないように今後監督していくことを誓ってもらうことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまでに多数の公務員の方の犯罪事件の相談・依頼を受け、解決に導いてきました。

公務員が自転車の飲酒運転をしてしまい、警察の捜査・取調べを受けることになったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひご相談ください。

迅速で慎重な対応が必要であり、初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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公務員の飲酒運転-公務員が飲酒運転をしたときに成立する犯罪や懲戒処分について解説

公務員の人身事故-公務員が人身事故を起こしてしまったらご相談ください

2025-08-16

公務員が自動車事故を起こし、相手に怪我を負わせてしまったり死亡させてしまったら、その不利益は非常に大きなものになります。

逮捕され、公務員としての地位の重要性から、実名報道される可能性が高いです。

職場に知られたら、懲戒処分を受けることになります。

起訴されて正式裁判となり、執行猶予が付いたとしても拘禁刑以上の判決が確定したら、自動的に失職することになります。

交通犯罪を起こしてしまったら、刑事弁護に精通した弁護士にすぐに相談・依頼してください。

迅速な対応が求められます。

過失運転致死傷罪が成立するかは、自動車の運転上必要な注意を怠っていたか、不注意・過失が認められるか、で判断されます。

過失運転致死傷罪が成立するとして、刑事処分がどのような内容となるかは、不注意・過失の大きさと、被害者の損害の大きさを中心に判断されることになります。

ここで、警察の取調べ対応が非常に重要です。

警察が適正・公平な取調べをすると期待してはいけません。

警察は、こちらに不当に不利に話を持っていこうと誘導してきます。

不注意・過失等を殊更に大きくしようとしてきます。

そのためには、威圧したり、脅したり、嘘を付いたり、話を盛ったり、騙したり、ありとあらゆる方法でこちらに不利に誘導してきます。

警察の取調べに対しては慎重になり、毅然とした対応が求められます。

しかし、公務員といえども刑事手続きに関しては素人であり、プロの警察官に対抗するのは非常に難しいです。

そのため、刑事弁護に精通した弁護士に相談・依頼するべきです。

違法・不当な警察の取調べに対して、黙秘したり、抗議したり、その他の方法で対抗することになります。

不当な内容の供述調書が作成されないようにしなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事弁護に精通した弁護士が多数所属しており、警察の取調べへの適切な対応方法を心得ております。

不注意・過失の内容や程度を判断するためには、実際に事故現場に赴いて調査することが重要です。

写真だけでは分からない情報を得ることができます。

交通事故が起こった時間帯に実際に自動車を運転してみて、具体的にどのような運転が求められていたのか、不注意の程度としてはどのようなものだったか、被害者側にも過失はあるのか、等を検討することになります。

このような活動を通して、こちら側に有利な事情を確認していきます。

被害者に対しては、早急に謝罪や被害弁償をしていくことになります。

正当な理由なく放置していると、被害者の怒りの感情も大きくなってしまいます。

被害者へ誠意ある対応が求められます。

しかし、とにかく謝罪すればいいということではなく、謝罪方法によっては被害者を余計に不快にさせ、逆効果となってしまう可能性があります。

謝罪についても、慎重な対応が必要となります。

任意保険に入っていれば、賠償金の支払いは保険会社が対応することになります。

状況次第では、保険会社の賠償とは別にお見舞金としての性質のお金をお渡しして示談すれば、不起訴などの有利な結果となる可能性があります。

被害者への慎重な対応をするためには、刑事弁護に精通した弁護士に早急に相談・依頼するべきです。

公務員による人身事故では、迅速で慎重な対応が求められます。

一人で対応してしまうと、後で取り返しの付かない状況になってしまう可能性があります。

公務員の方が人身事故を起こしてしまったら、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談してください。

初回相談は無料なので、お気軽にご連絡ください。

懇切丁寧にご対応させていただきます。

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公務員の交通犯罪-公務員が交通犯罪をしてしまったらご相談ください

公務員と公金官物―公務員の公金官物の取り扱いについて解説

2025-07-15

公金官物は公共の利益のために使われるものです。公務員がこれを損ねることは、大きな非難に値し、厳しい懲戒処分が下されます。

ここでは、公務員の公金官物取り扱いについて解説します。

公金官物の取り扱いに関する犯罪

窃盗

他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は10年以下の拘禁刑に処されます(刑法第235条)。

他の職員の持ち物や現金を持ち去る場合が典型的です。

また、後述の業務上横領のように見える行為でも、自身の「占有」がない現金などを持ち去れば、この窃盗罪が成立します。

詐欺

人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処されます(刑法第246条第1項)。

要件を満たしていないのに、用件を備えているかのように誤信させて、手当てを受給することは、この詐欺罪に該当すると考えられます。

業務上横領

自己の占有する他人の物を横領した場合横領罪(単純横領罪)が成立し、5年以下の拘禁刑に処されます(刑法第252条第1項)。これが業務上自己の占有する他人の物の場合、業務上横領罪は10年以下の拘禁刑(刑法第253条)に処されます。

「占有」とは、事実上の占有だけでなく、法律上の占有も含まれます。預金なども対象になり得ますが、預金通帳やキャッシュカード等を事務的に預かっているだけでは預金を占有しているとはいえません。

「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務です。公務員がその仕事として行うものであれば「業務上」占有すると判断されるでしょうから、公務員がその業務に関係する物を横領した場合は、多くは業務上横領罪に当たるでしょう。

「横領」とは、不法領得の意思を実現する一切の行為をいいます。この「不法領得の意思」とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされています。金銭の着服は横領の典型的な行為です。

警察官舎の管理人が積立金を着服するようなことをすれば、業務上横領に該当するでしょう。着服の他に「横領」に該当する行為の態様は、毀棄・隠匿のほか、売却や貸与、譲渡担保や抵当権などの担保権の設定、質入れなど多彩な行為が考えられます。

官物損壊

公務所の用に供する文書又は電磁的記録を棄損すると、公用文書等毀棄罪が成立し、3月以上7年以下の拘禁刑に処されます(刑法第258条)。

それ以外の物を損壊すると、器物損壊罪が成立し、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料に処されます(刑法第261条)。

懲戒処分

公務員の公金官物取り扱いを誤ると、犯罪に該当するほか、非違行為をしたとして、懲戒処分を受けます。

自衛官などの国家公務員については、人事院の定める「懲戒処分の指針について」に基づいて懲戒処分が下されます。

「懲戒処分の指針」の「第2 標準例」に「2 公金官物取扱い関係」が定められています。横領や窃取、詐取は免職となります。故意の犯罪による場合だけでなく、過失による場合も処分を受けることがあります。

2 公金官物取扱い関係

(1) 横領

   公金又は官物を横領した職員は、免職とする。

(2) 窃取

   公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。

(3) 詐取

   人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。

(4) 紛失

   公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。

(5) 盗難

  重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員は、戒告とする。

(6) 官物損壊

   故意に職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 失火

   過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。

(8) 諸給与の違法支払・不適正受給

故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。

(9) 公金官物処理不適正

自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。

(10) コンピュータの不適正使用

職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

まとめ

このように、不適切な公金官物の取り扱いをした公務員は、非常に重い処分を下されることになります。

公金官物の取り扱いについてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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公務員の窃盗、詐欺、横領事件-公務員の財産犯について解説

教職員の性犯罪と懲戒処分

2025-06-27

学校の教師が生徒に対し性交等をしたり盗撮をするといった性犯罪が発覚し、問題となっています。国公立学校の場合、教師は公務員ですので、公務員としての懲戒処分も受けることになります。

ここでは、公務員の中でも教職員の性犯罪について解説します。

性犯罪

教職員の地位を利用した犯罪としては、不同意わいせつ罪(刑法第176条)や不同意性交等罪(刑法第177条)が問題となります

相手が16歳未満ですと、わいせつな行為や性交等をすれば、不同意わいせつ罪(刑法第176条第3項)や不同意性交等罪(刑法第177条第3項)が成立します。

16歳以上であっても、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて行われれば、不同意わいせつ罪(刑法第176条第1項)や不同意性交等罪(刑法第177条第1項)が成立します。

教師が生徒に対して行う場合、逆らうと学校生活で不利益を負わされるかもしれないと委縮して不同意を示せなくなると考えられます。これは「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」(刑法第176条第1項第8号)に当たる可能性があります。

その他、性交等をした生徒が18歳未満ですと、各都道府県の青少年健全育成条例違反や児童福祉法違反(児童福祉法第34条第1項第6号・第60条第1項)にもあたります。

その際に金銭などの財産上の利益を対象として与えていれば、児童買春にあたります(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)第2条第2項・第4条)。

その他の性犯罪

その他の性犯罪としては、痴漢や盗撮があります。盗撮は学校内でも行われる事件が多発しています。

痴漢は各都道府県の迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪に当たります。胸や性器を触るなど悪質な場合は不同意わいせつ罪となります。

盗撮は各都道府県の迷惑防止条例違反や性的姿態等撮影罪(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条)となります。被害者が18歳未満の児童の場合、児童ポルノ製造罪(児童ポルノ法第7条第5項)にも該当します。

性犯罪関係の懲戒処分

公務員が性犯罪やわいせつ行為をすると、非違行為をしたとして、重い懲戒処分を受けることになります。

国家公務員の懲戒に関する、人事院の「懲戒処分の指針について」によると、「3 公務外非行関係」において、「(12)淫行」では、18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行した職員は、免職又は停職とする、と定めています。また、「(13)痴漢行為」「(14)盗撮行為」も停職又は減給という比較的重い処分となっています。

また、地方公務員については、各地方公共団体の機関が懲戒処分の指針を定めています。

自身の職務に関し、その職務上の立場を悪用した非違行為ほど、厳しい処分がされます。

児童生徒が被害者でなくても、各地方公共団体では痴漢や盗撮をした場合、免職も懲戒処分に含まれています。

公務員の身分に関する手続き

上記のように、性犯罪やわいせつな行為に対しては重い懲戒処分が下されます。

公務員の場合、起訴されると、強制的に休職させられることがあります(地方公務員法第28条第2項第2号、国家公務員法第79条第2号)。休職中は仕事ができませんし、給与は支給されません(国家公務員法第80条第4項参照)。

国家公務員法では、刑事裁判が継続中の事件であっても懲戒手続を進めることができる旨定められています(国家公務員法第85条)。そのため、起訴されたり判決が出る前に懲戒手続がすすめられ、懲戒処分が下されることがあります。例えば、逮捕勾留中に教育委員会の委員が拘束下にいる教師と接見して事情聴取し、非違行為があったと認められれば、懲戒処分を下します。

裁判の結果、有罪の判決を言い渡され、禁錮以上の刑に処されると、失職してしまいます(地方公務員法第28条第4項・第16条第1号、国家公務員法第条第76条・第38条第1号)。地方公務員の場合は、「条例に特別の定めがある場合」には失職とならないとすることができます。しかし、通勤中の交通事故や執行猶予付きの禁錮にとどまる場合にのみ失職させないことができるという場合が多いです。性犯罪の場合、懲役刑が多いですし、上記のように事案によっては免職となるほど重いとみなされている類型であるため、原則通り失職することになるでしょう。

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公務員の性犯罪-公務員が起こす性犯罪や懲戒処分について解説

まとめ

このように、公務員の中でも教職員の性犯罪は重い処分が下されることになります。性犯罪でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

国家公務員の懲戒処分について―公務員の懲戒処分の基準や不服申し立てについて解説

2025-06-20

国家公務員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該国家公務員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができます。

一 国家公務員法若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合

二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合

三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合

免職は、国家公務員の身分をはく奪し、国家公務員関係から排除することになります。

停職は、1日以上1年以下の期間、国会公務員としての身分を保有するが、その職務に従事させないことになります。停職者は、停職の期間中給与を受けることができません。

減給は、1年以下の期間、その発令の日に受ける俸給の月額の5分の1以下に相当する額を、給与から減ずるものとされます。

戒告は、その責任を確認し、及びその将来を戒めるものとされます。

懲戒処分は、任命権者が、これを行うことになります。

人事院は、国家公務員法に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができます。

国家公務員の懲戒については、公正でなければなりません。

行政処分取消請求事件・昭和四七年(行ツ)第六三号・同五二年一二月二〇日最高裁第三小法廷判決では、以下のように示されています。

「ところで、国家公務員につき懲戒事由がある場合において、懲戒権者が懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分のうちいずれの処分を選ぶべきかは、その判断が、懲戒事由に該当すると認められる行為の性質、態様等のほか、当該公務員の右行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、広範な事情を総合してされるべきものである以上、平素から庁内の事情に通暁し、部下職員の指揮監督の衝にあたる懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきであり、懲戒権者が右の裁量権を行使してした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきである。したがつて、裁判所が右の処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである」。

懲戒の根本基準の実施につき必要な事項は、国家公務員法に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定めることになります。

懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職―68)(人事院事務総長発)」が定められております。

不服申し立ては、人事院に対して審査請求をすることになります。

審査請求は、処分説明書を受領した日の翌日から起算して3か月以内にしなければならず、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができません。

審査請求を受理したときは、人事院又はその定める機関は、直ちにその事案を調査しなければなりません。

調査の結果、処分を行うべき事由のあることが判明したときは、人事院は、その処分を承認し、又はその裁量により修正しなければなりません。

調査の結果、その職員に処分を受けるべき事由のないことが判明したときは、人事院は、その処分を取り消し、職員としての権利を回復するために必要で、且つ、適切な処置をなし、及びその職員がその処分によって受けた不当な処置を是正しなければなりません。人事院は、職員がその処分によって失った俸給の弁済を受けるように指示しなければなりません。

人事院に対して審査請求をすることができるものの取消しの訴えは、審査請求に対する人事院の裁決を経た後でなければ、提起することができません。

取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき、処分又は裁決の日から1年を経過したときは、提起することができません。

公務員の方で懲戒処分について不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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公務員の懲戒免職処分-公務員が懲戒免職になるケースについて解説

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