事件別―秘密漏示(国家公務員法違反,地方公務員法違反)

このページの目次

事例

市職員として勤務するAさんは、自身が所属する部署の業務を通じて知り合った業者と懇意になり、市が発注する予定の工事に関する情報を伝えました。

その後、職員による情報漏洩が噂となり、Aさんは地方公務員法が定める秘密漏示罪(守秘義務違反)の疑いで警察の取調べを受けることになりました。(フィクションです)

解説

職務上知り得た情報を漏らした場合、刑事責任を問われる可能性があります。

例えば、刑法134条1項は「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を洩らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」と定めています。

同条2項では宗教職にある者が主体となり、同様に秘密漏示に対する罰則が規定されています。

刑法における秘密漏示罪では、医師や弁護士など特定の職業にある者が対象になっていますが、職務を担う過程で様々な情報に触れる公務員に対しても、秘密の漏示に対して罰則が規定されています。

こちらは刑法ではなく、特別法による罰則となります。

地方公務員については、地方公務員法34条1項前段が「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と定めており、この規定に違反して秘密を漏らした者には、同法60条2号において「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています。

地方公務員法34条1項後段は「その職を退いた後も、また、同様とする」と規定しているため、公務員でなくなった後も守秘義務は継続し、違反時には刑事処罰の対象となります。

国家公務員の場合も、地方公務員と同様に守秘義務及び秘密の漏示に対する罰則が定められています。

国家公務員法100条1項は「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定しており、罰則については同法109条12号で「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています。

公務員による秘密の漏示には、罰金刑(刑法15条)だけでなく懲役刑(刑法12条1項)も定められています。

そのため、略式罰金(刑事訴訟法461条)で済まずに、起訴されて有罪判決を言い渡されてしまうと、失職事由に該当してしまうという問題が生じます(国家公務員法76条、同38条1号。地方公務員法28条4項、同16条1号)。

日々、多くの情報に触れることになる公務員は、思わぬところで守秘義務違反が生じるおそれがあります。

ひとたび刑事事件化してしまえば、刑事処罰のみならず失職のリスクも抱えるため、速やかに法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談することで、守秘義務違反が問われる可能性や刑事事件化するリスクを具体的に把握することにつながります。

早期に弁護士に依頼することができれば、警察による取調べや行政内部で行うヒアリングの際にも適切な受け答えができるようアドバイスが受けられますし、結果として逮捕や刑事処分のリスクを低下させることにも役立ちます。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に扱う弁護士事務所として、事件化の見通しや処罰の軽減に関して適切なアドバイスを行います。

守秘義務違反を起こしてしまいご不安な公務員の方は、まずは弊所にご相談ください。

初回の法律相談は無料で行っています。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら