刑事事件の流れ
捜査の開始
被害届、告訴・告発、警察官の現認などにより、捜査機関が刑事事件があったことを知ったときに捜査が始まります。これらは捜査の端緒と呼ばれます。
事情聴取
捜査機関は目撃者など、事件についての情報を持つと思われる者の取調べをします。こうした人を参考人といいます。
一方で、事件を起こしたと疑われている人は被疑者といいます。
逮捕されたとき
捜査機関が、被疑者が逃亡したり、証拠を隠滅するおそれがあると判断したときは、裁判所から令状を得て、被疑者を逮捕します。被疑者がまさに犯罪を行っているところを現認した場合は現行犯逮捕します。
警察官は被疑者を逮捕してから48時間以内に検察官に送ります。
検察官は被疑者を受け取ってから24時間以内に裁判所に対し勾留請求をします。どんなに長くても被疑者が逮捕されてから72時間以内に勾留請求がされることになります。
裁判官が被疑者の勾留決定をした場合、勾留請求の日から10日間勾留されることになります。勾留は10日を限度に延長されることがあり、最大で20日間勾留されることになります。この間に検察官は終局処分をすることになります。
逮捕されなかったとき
被疑者が逮捕されなかった場合、警察や検察の呼び出しに応じ、取調べを受けることになります。
この場合、終局処分までの期限は特にありません。終局処分までは、概ね1、2か月、長くて半年ほどかかることになります。
終局処分
検察官の終局処分は大きく3つに分かれます。
一つは、不起訴です。これで起訴もされず、刑事手続きは終了し、前科も尽きません。不起訴の理由としては、嫌疑なし、嫌疑不十分の他、被害の軽微さや示談の進展など諸般の事情を考慮して起訴しないという起訴猶予があります。
二つ目は、略式手続です。被疑者は裁判所に行くこともなく、書面のみで裁判は終了し、罰金を納付すれば刑事手続きは終了となります。これも起訴には他ならず、前科がついてしまいます。
三つ目は、公判請求です。被疑者は被告人となり、裁判所で審理した上で、判決が下されます。被疑者が勾留されている場合、多くは被告人になっても勾留されたままですが、保釈により身体拘束から解放されることができます。
判決
判決は大きくは無罪と有罪に分かれます。
無罪判決の場合、犯罪の証明がないことになり、前科は付きません。
有罪判決の場合、前科が付いてしまいます。ただし、執行猶予が付いた場合、猶予期間中に犯罪を起こしたりして猶予が取り消されなければ、刑が執行されることはありません。一方、執行猶予が付かなかった場合、すぐに刑が執行されることになります。
弁護人選任について
被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができます。
弁護人選任については、私選弁護人と国選弁護人があります。
私選弁護人とは、私人が自ら選任する弁護人です。費用は選任者である私人が負担しますが、何時でも選任できますし、どの弁護士を弁護人にするかを自ら選ぶことができます。
国選弁護人とは、貧困その他の事由により弁護人を選任できないときに、国の費用負担により付される弁護人です。
被告人は貧困その他の事由があれば国選弁護人を付することを請求することができます。
しかし、勾留請求をされた後からしか請求することができず、弁護人の活動開始が遅くなります。また、どの弁護人が来るかを被疑者・被告人が選ぶことはできません。