公民権停止

公民権停止について

現在、選挙権は日本国民で満18歳以上の人が行使することができます。

被選挙権は、日本国民で、衆議院議員・都道府県議会議員・市区町村長・市区町村議会議員は満25歳以上、参議院議員・都道府県知事は満30歳以上の人が行使することができます。

政治家が裁判で有罪判決が確定し、立候補ができなくなった等と報道されることがあります。

公職選挙法等には、一定の場合に選挙権・被選挙権が認められなくなる公民権停止規定が定められております。

特に選挙犯罪は、選挙の公正を害する犯罪です。

国民主権の憲法の下においては、公職の選挙権が国民の最も重要な基本的権利です。

それだけに選挙の公正はあくまでも厳粛に保持されなければなりません。

犯罪者は、現に選挙の公正を害したものとして、選挙に関与させるのに不適当とみられます。

しばらく、被選挙権・選挙権の行使から遠ざけて、選挙の公正を確保すると共に、本人の反省を促すことが相当とされます。

犯罪を行い、禁錮以上の実刑となった人は、実刑期間は選挙権や被選挙権が認められません。

公務員が、

  • 収賄
  • 受託収賄
  • 事前収賄
  • 第三者供賄
  • 加重収賄
  • 事後収賄
  • あっせん収賄
  • 公職者あっせん利得

の各犯罪を行い、有罪で懲役刑となったら、執行猶予の場合はその期間、選挙権や被選挙権が認められません。

実刑の場合は、実刑期間とその終了から5年間は選挙権が、実刑期間とその終了から10年間は被選挙権が認められません。

「法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪」により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の人は、選挙権や被選挙権が認められません。

公職選挙法に関する一定の犯罪により有罪となったら、罰金の場合は確定日から5年間、禁錮以上の刑に処せられた者はその実刑期間と終了から5年間又は10年間若しくは執行猶予期間中、選挙権や被選挙権が認められなくなることがあります。情状により不適用や期間の短縮が認められることもあります。

政治資金規正法違反の一定の犯罪を行い有罪となったら、罰金の場合は確定日から5年間、禁錮以上の刑に処せられた者はその実刑期間と終了から5年間若しくは執行猶予期間中、選挙権や被選挙権が認められなくなることがあります。情状により不適用や期間の短縮が認められることがあります。

選挙違反又は政治資金規正法違反の有罪によって公民権停止されている間は選挙運動をすることができず、違反者には刑事罰があります。

最高裁判所昭和30年2月9日大法廷判決では、以下のように述べて選挙犯罪者の公民権停止を定めた公職選挙法を合憲としました。

「法二五二条所定の選挙犯罪は、いずれも選挙の公正を害する犯罪であつて、かかる犯罪の処刑者は、すなわち現に選挙の公正を害したものとして、選挙に関与せしめるに不適当なものとみとめるべきであるから、これを一定の期間、公職の選挙に関与することから排除するのは相当であつて、他の一般犯罪の処刑者が選挙権被選挙権を停止されるとは、おのずから別個の事由にもとずくものである。されば選挙犯罪の処刑者について、一般犯罪の処刑者に比し、特に、厳に選挙権被選挙権停止の処遇を規定しても、これをもつて所論のように条理に反する差別待遇というべきではないのである。(殊に、同条三項は、犯罪の態容その他情状によつては、第一項停止に関する規定を適用せず、またはその停止期間を短縮する等、具体的案件について、裁判によつてその処遇を緩和するの途をも開いているのであつて、一概に一般犯罪処刑者に比して、甚しく苛酷の待遇と論難することはあたらない。)
国民主権を宣言する憲法の下において、公職の選挙権が国民の最も重要な基本的権利の一であることは所論のとおりであるが、それだけに選挙の公正はあくまでも厳粛に保持されなければならないのであつて、一旦この公正を阻害し、選挙に関与せしめることが不適当とみとめられるものは、しばらく、被選挙権、選挙権の行使から遠ざけて選挙の公正を確保すると共に、本人の反省を促すことは相当であるからこれを以て不当に国民の参政権を奪うものというべきではない。」

公職選挙法

選挙権及び被選挙権を有しない者

第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。

一 削除

二 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者

三 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

四 公職にある間に犯した刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条から第百九十七条の四までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成十二年法律第百三十号)第一条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から五年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者

五 法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者

2 この法律の定める選挙に関する犯罪に因り選挙権及び被選挙権を有しない者については、第二百五十二条の定めるところによる。

3 市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第三十条の六の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第一項又は第二百五十二条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなつたことを知つたときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。

被選挙権を有しない者

第十一条の二 公職にある間に犯した前条第一項第四号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から五年を経過したものは、当該五年を経過した日から五年間、被選挙権を有しない。

選挙権及び被選挙権を有しない者の選挙運動の禁止

第百三十七条の三 第二百五十二条又は政治資金規正法第二十八条の規定により選挙権及び被選挙権を有しない者は、選挙運動をすることができない。

第二百三十九条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第百二十九条、第百三十七条、第百三十七条の二又は第百三十七条の三の規定に違反して選挙運動をした者

選挙犯罪による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止

第二百五十二条 この章に掲げる罪(第二百三十六条の二第二項、第二百四十条、第二百四十二条、第二百四十四条、第二百四十五条、第二百五十二条の二、第二百五十二条の三及び第二百五十三条の罪を除く。)を犯し罰金の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から五年間(刑の執行猶予の言渡しを受けた者については、その裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。

2 この章に掲げる罪(第二百五十三条の罪を除く。)を犯し禁錮こ以上の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間若しくは刑の時効による場合を除くほか刑の執行の免除を受けるまでの間及びその後五年間又はその裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。

3 第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条又は第二百二十三条の二の罪につき刑に処せられた者で更に第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられた者については、前二項の五年間は、十年間とする。

4 裁判所は、情状により、刑の言渡しと同時に、第一項に規定する者(第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられた者を除く。)に対し同項の五年間若しくは刑の執行猶予中の期間について選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、若しくはその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨を宣告し、第一項に規定する者で第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられたもの及び第二項に規定する者に対し第一項若しくは第二項の五年間若しくは刑の執行猶予の言渡しを受けた場合にあつてはその執行猶予中の期間のうち選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用すべき期間を短縮する旨を宣告し、又は前項に規定する者に対し同項の十年間の期間を短縮する旨を宣告することができる。

政治資金規正法

第二十八条 第二十三条から第二十六条の五まで及び前条第二項の罪を犯し罰金の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から五年間(刑の執行猶予の言渡しを受けた者については、その裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。

2 第二十三条、第二十四条、第二十五条第一項、第二十六条、第二十六条の二、第二十六条の四及び前条第二項の罪を犯し禁錮の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間若しくは刑の時効による場合を除くほか刑の執行の免除を受けるまでの間及びその後五年間又はその裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間、公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。

3 裁判所は、情状により、刑の言渡しと同時に、第一項に規定する者に対し同項の五年間若しくは刑の執行猶予中の期間について選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、若しくはその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨を宣告し、又は前項に規定する者に対し同項の五年間若しくは刑の執行猶予の言渡しを受けた場合にあつてはその執行猶予中の期間のうち選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用すべき期間を短縮する旨を宣告することができる。

4 公職選挙法第十一条第三項の規定は、前三項の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じ、又はその事由がなくなつたときについて準用する。この場合において、同条第三項中「第一項又は第二百五十二条」とあるのは、「政治資金規正法第二十八条」と読み替えるものとする。

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