公務員とは

公務員について

刑法第7条第1項では、「この法律において「公務員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。」と定められています。

国の職員を国家公務員、地方公共団体の職員を地方公務員といいます。

公務員は、日本国内を対象とし、外国公務員や国際機関の職員を含みません。

公務員の意義は、「法令により公務に従事する職員」となります。

法令は、法律・命令のほか、抽象的な通則を定めたものである限り、行政庁内部の通達や訓令等も含みます。

公務に従事するとは、職務権限の定めがある必要はなく、その公務に従事する資格が法令(内規・訓令も含む)に根拠を有すること、地位が法令の規定上うかがえることで足ります。

公務は、国又は地方公共団体の事務をいい、公権力の行使その他の権力関係に基づくものであることを要しません。

鉄道事業、通信事業、土木事業、医療業務、教育業務等も含まれます。

議員とは、国又は地方公共団体の意思決定機関である合議体の構成員をいいます。必ずしも選挙によることを要しません。

国会議員や地方公共団体の議会の議員等のことをいいます。

委員とは、国又は地方公共団体において、任命、委嘱、選挙等により、一定の事務を委任、嘱託される非常勤の者をいいます。

省庁の審議会令に基づく各種審議会の委員、家事事件手続法の調停委員、借地法の鑑定委員、民生委員、農業委員、保護司、人権擁護委員などがあります。

その他の職員とは、議員、委員のほか、国又は地方公共団体の機関として公務に従事するすべての者をいいます。

意思決定機関である必要はなく、これを補助する立場にある者も含みます。

本条が刑法上の公務員を職員に限っているのは、一定程度以上の地位にある者のみを公務員とすることによって、公務員の品位の保持と公の作用の円滑適正な実施を図ることにあります。

その意味で、職員とは、ある程度、精神的・頭脳的な判断作用を伴う職務に従事するものを指し、単に機械的・肉体的な業務に従事する者を含まないことになります。

特別法には、本来の公務員ではないが、その職務の性質に鑑み、刑法その他の罰則については公務員とみなす旨のいわゆるみなし公務員規定が設けられている場合があります。

公務員職権濫用罪や収賄罪の主体となり、公務執行妨害罪や職務強要罪の客体となります。その文書は公文書偽造罪の客体となります。

みなし公務員の規定を設けるまでの必要性はないが、その活動が公共の利益に係わることが大きい業務を取り扱っている民間組織の役職員について、特別賄賂罪の規定が設けられています。

公務員には、一般職と特別職があり、国家公務員の特別職は国家公務員法第2条第3項に、地方公務員の特別職は地方公務員法第3条第3項に規定されています。

国家公務員法

(一般職及び特別職)

第二条 国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。

② 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。

③ 特別職は、次に掲げる職員の職とする。

一 内閣総理大臣

二 国務大臣

三 人事官及び検査官

四 内閣法制局長官

五 内閣官房副長官

五の二 内閣危機管理監

五の三 国家安全保障局長

五の四 内閣官房副長官補、内閣広報官及び内閣情報官

六 内閣総理大臣補佐官

七 副大臣

七の二 大臣政務官

七の三 大臣補佐官

七の四 デジタル監

八 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの

九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員

十 宮内庁長官、侍従長、東宮大夫、式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員

十一 特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員

十一の二 日本ユネスコ国内委員会の委員

十二 日本学士院会員

十二の二 日本学術会議会員

十三 裁判官及びその他の裁判所職員

十四 国会職員

十五 国会議員の秘書

十六 防衛省の職員(防衛省に置かれる合議制の機関で防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四十一条の政令で定めるものの委員及び同法第四条第一項第二十四号又は第二十五号に掲げる事務に従事する職員で同法第四十一条の政令で定めるもののうち、人事院規則で指定するものを除く。)

十七 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の役員

地方公務員法

(一般職に属する地方公務員及び特別職に属する地方公務員)

第三条 地方公務員(地方公共団体及び特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の全ての公務員をいう。以下同じ。)の職は、一般職と特別職とに分ける。

2 一般職は、特別職に属する職以外の一切の職とする。

3 特別職は、次に掲げる職とする。

一 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職

一の二 地方公営企業の管理者及び企業団の企業長の職

二 法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの

二の二 都道府県労働委員会の委員の職で常勤のもの

三 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職(専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であつて、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る。)

三の二 投票管理者、開票管理者、選挙長、選挙分会長、審査分会長、国民投票分会長、投票立会人、開票立会人、選挙立会人、審査分会立会人、国民投票分会立会人その他総務省令で定める者の職

四 地方公共団体の長、議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの

五 非常勤の消防団員及び水防団員の職

六 特定地方独立行政法人の役員

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