事件別―自衛隊内での犯罪

自衛隊内で起こった犯罪の容疑が掛けられた

陸上自衛隊に所属しているAさんは、陸上自衛隊の駐屯地内で起こった窃盗事件の容疑を掛けられてしまいました。(フィクションです)

この場合、窃盗事件に関し捜査をすることができるのは、警察・検察のみならず、自衛隊の警務隊と呼ばれる人たちも含まれます。自衛隊法96条1項は、「自衛隊のうち、部内の秩序維持の職務に専従する者」は、一定の場合に司法警察職員(簡単にいえば警察です)として職務を行うことができるとしています。

そして、その一定の場合としては、簡単にまとめると、

  1. 職務中の自衛隊員に対する事件、若しくは職務中の自衛隊員が起こした事件
  2. 自衛隊の敷地内における事件
  3. 自衛隊が所有、使用する施設に対する事件

が該当します。

Aさんのケースでは、自衛隊内の敷地内における事件として、警務隊が捜査を行うことが考えられます。Aさんがそうした捜査を受ける場合、(実際に窃盗をしているかどうかにかかわらず)適正な捜査であるかどうかをチェックする必要があります。仮に、窃盗してしまっていた場合といえども、人権を侵害するような捜査は許されません。

警務隊が捜査を行うとしても、その後は、管轄の検察庁に事件が送致されることになり、その後の手続は、通常の刑事手続と同様で、刑事責任を問われることになるのも、自衛隊でない人と変わりがありません。

自衛隊内で犯罪をしてしまった場合、地位はどうなるのか

⑴ 懲役刑を回避したい

Aさんが実際に窃盗行為をしてしまっていた場合、公務員の地位についてはどうなるでしょうか。

自衛隊は国家公務員(厳密には特別国家公務員)であり、国家公務員には欠格事由に該当してしまうと、当然に職を失います(国家公務員法76条)。仮に、Aさんが、執行猶予付きの懲役刑となった場合、欠格事由に該当することになり、公務員の職を失うことになります(国家公務員法38条1号)。

そこで、Aさんとしては、欠格事由との関係では、不起訴や罰金刑にとどめてもらえるような活動をしていく必要があります。具体的にどのような活動をしていくかについては、どのような罪を犯してしまったかにもよりますが、たとえば、Aさんの場合、被害者と示談をしていくといったことが考えられます。

今後どのような対応をすべきかについては、一度弁護士に相談する必要があります。また、仮に被害者と示談をしていくという場合、職場から直接会うことを避けるよう指導を受けるといったことも考えられますので、そうした点でも弁護士が介入することが必要な場合も考えられます。

⑵ 懲戒処分を受ける可能性がある

仮に、Aさんが欠格事由に該当しないとしても、懲戒処分を受ける可能性があります。特に、先ほど話した事例のように警務隊が介入している場合、当然ですが職場に知られていますので、今後、懲戒処分を受ける可能性があります。

国家公務員の場合、「懲戒処分の指針」(平成12年3月31日職―68)という懲戒処分に関する基準が設けられており、その中で、「他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。」とされています。Aさんは、この指針に従って、免職か停職となることが予想されます。

もっとも、あくまでこうした指針は基準にすぎず、実際には、様々な事情を考慮して判断されることになり、先ほど話したような、被害者と示談ができているかどうかという点も考慮の対象となると考えられます。この点に弁護士が介入する必要がある場合があることは先ほど話したとおりです。

最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を中心に扱う弁護士が依頼者を親身にサポートします。自衛隊内で犯罪をしてしまい、今後の対応についてご心配な公務員の方は、まずは弊所までご相談ください。

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