公務員と副業-公務員が副業をした場合の懲戒手続きについて解説

公務員が副業を行ったとして懲戒免職になった、停職になった、というニュースが出ることがあります。

特に、コロナウイルス騒ぎが出始めて以降、公務員が風俗店等で働くニュースも増えてきたように思います(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231226/k10014300781000.html など。)

医師、大学教授等専門性が高い職務や、国会、地方議員などを除いた一般的な公務員が副業を行った際の処分はどうなるのか、解説します。

関連法令等

公務員の副業については、国家公務員法第103条、第104条、及び地方公務員法第38条に定めがあります。特に国家公務員法第103条に反して営利企業の地位についた場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(国家公務員法第109条13号)。このように公務員の副業を原則として禁止するのには、職務専念義務、守秘義務、信用失墜行為の禁止等が一般に理由として挙げられます。

国家公務員について人事院の定める「懲戒処分の指針」では、処分基準は、以下のようになっています。

人事院 懲戒処分の指針について

第2 標準例 1 一般服務関係

(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠

 営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

なお、懲戒処分の指針の「第1 基本事項」では、

個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、

 ① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき

 ② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき

 ③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき

 ④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき

 ⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき

 がある。

とも規定しています。都道府県、市町村等の自治体も、それぞれの地方公務員について処分基準を定めています。処分基準は様々でしょうが、概ねこれに沿う物が多いといえるでしょう。

兼業の発覚経緯

 兼業の発覚経緯としては、税金関係の調査から発覚する場合や、住民からの通報が考えられるでしょう。

弁護活動

 上記のように、許可を得ずに副業を行った場合、処分自体は一応軽いものにとどまるケースもあれば、思いがけず免職などの重い処分を受けてしまう可能性もないとはいえないでしょう。

 趣味に近い活動が副業にあたるのではないか、ということが問題になった場合は、処分の軽減を訴える他、そもそも処分に値しないことを主張することもあり得るでしょう。

 逆に、風俗店で勤務していた、などの場合は、停職がベースになっている場合でも、情状によっては免職など重い処分がなされることもないとは言えません。重い処分が見込まれる場合は、従事していた期間や動機などについて、適切な説明をしていく必要が出てきます。

 弁護士としては、主に上記を裏付けるような主張をしていくアドバイスをしていき、場合によってはそのアドバイスに沿った証拠を収集していくことをサポートしていくことになります。

まとめ

このように、公務員が許可を得ずに副業をした場合、非常に重い処分が下される可能性もある反面、軽い処分に落ち着かせることができる可能性も出てきます。

公務員の方で副業についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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