
【事例(フィクション)】
市役所に勤務するAさんは、業務上管理していた公金を横領してしまいました。
それが市に発覚し、市はAさんを刑事告訴しました。
Aさんに前科前歴はありません。
【被疑者の方が市役所職員の場合のリスク】
市役所職員は、地方公務員となります。
市役所職員の方が刑事事件の被疑者となった場合、刑事手続き上の逮捕・勾留や刑事罰のリスクだけでなく、地方公務員法上の懲戒処分や、失職等のリスクにもさらされることとなってしまいます。
以下、弁護活動も含め、順に説明していきます。
【事例の業務上横領の刑事罰】
業務上横領は、被害額が軽微であれば不起訴の可能性もありますが、刑法253条では、「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。」と定められています。
【弁護活動】
①被害弁償
Aさんの場合、公金を横領したのは事実なので、被害弁償が重要です。
被害額が軽微であれば、被害弁償をはじめとした事情を酌んでもらうことにより、不起訴になることもあります。
一方、被害額が大きくなればなるほど、Aさんのように前科前歴がなかったとしても、起訴の可能性は高まります。
もっとも、仮に起訴されたとしても、執行猶予を目指す(実刑回避を目指す)ためや、減刑のためには、やはり被害弁償が重要です。
被害額が大きく、しかも横領金を使ってしまっていると、全額一括で被害弁償をすることはできない場合も多いですが、そうであっても、執行猶予や減刑を目指すためには、一部や分割でもいいので、できる限りの被害弁償の努力をするべきです。
②取調べへの対応
取調べ対応は今後の刑事処分等にも影響し得るので、対応について弁護士が継続的にアドバイスをすることが大切です。
③身柄解放活動
業務上横領により逮捕・勾留されてしまった場合は、弁護士において、勾留阻止・取消しを目指す活動、起訴後は保釈請求といった身柄解放活動をすることができます。
④公判準備
起訴された場合、執行猶予や減刑を目指すための公判準備を弁護士においてすることになります。
被害弁償の状況や、その他の酌んでもらうべき情状を主張立証するために準備していくことになります。
【刑事罰以外の処分等】
地方公務員の方は、起訴されると、休職をさせられることがあります(地方公務員法28条2項2号)。
そして起訴され、有罪判決で拘禁刑以上の刑となれば、執行猶予が付いたとしても、失職することになります(地方公務員法28条4項・16条1号)。
事例のような業務上横領の場合、被害額が軽微、被害弁償済みといった事情により不起訴になれば、この失職はありませんが、起訴されれば、業務上横領には罰金の定めはないので、失職することになります。
また、地方公務員の方が犯罪にあたる行為をすると、刑事罰とは別に懲戒処分を受けることにもなります。
懲戒処分は、重い順に、免職、停職、減給、戒告と種類があります。
公金の横領の場合、懲戒免職となることが非常に多いです。
市営バスの運転手が運賃1000円を横領したことで懲戒免職となったケースもあり、被害額が軽微であっても懲戒免職の可能性は十分あります。
【おわりに】
業務上横領の容疑をかけられた市役所職員の方は、刑事罰、懲戒処分等のリスクにさらされますが、こういったリスクを回避・軽減するためには、弁護士による適切なアドバイスや活動が必要ですので、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
