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公務員の交通違反-公務員が交通違反をしたときの流れについて解説

2025-02-16

年末年始は今尚お酒を飲む機会が多く、飲酒運転もしばしば見られます。飲酒運転は重大な交通事故につながるおそれが高く、厳しく処罰されます。全体の奉仕者である公務員がこのような飲酒運転をすれば、重い懲戒処分が下されます。また、飲酒運転に限らず、交通事故を起こしたときに適切な対応をしなければ、さらに被害が拡大しかねません。このようなことも公務員としては許されないことです。ここでは、公務員が交通違反をしてしまった場合にどうなるかについて解説します。

飲酒運転(酒酔い運転・酒気帯び運転)
何人も、酒気を帯びて車両等(道路交通法第2条第1項第17号)を運転してはなりません(同法第65条第1項)。
この規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)にあった者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(酒酔い運転。道路交通法第117条の2第1項第1号)。
その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあった者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(酒気帯び運転。道路交通法第117条の2の2第1項第3号)。「身体に政令で定める程度」は道路交通法施行令にて定められており、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムです(道路交通法施行令第44条の3)。
また、自分が飲酒運転をしなくても処罰されることがあります。酒気帯び運転することとなるおそれがある者に車両等を提供すること(道路交通法第65条第2項)や、酒類を提供したり飲酒をすすめること(同法第65条第3項)も禁止されています。車両等の提供をした者は、運転者が酒酔い運転をした場合は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処され(同法第117条の2第1項第2号)、酒気帯び運転をした場合は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(同法第117条の2の2第1項第4号)。酒類を提供したり飲酒をすすめた者は、運転者が酒酔い運転をした場合は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処され(同法第117条の2の2第1項第5号)、酒気帯び運転をした場合は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます(同法第117条の3の2第2号)。

過失運転致死傷・危険運転致死傷
交通事故を起こして、物損のみならず人を死傷させる人身事故を起こした場合は、より重く処罰されます。このような罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)で定められています。

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができます(自動車運転処罰法第5条)。

自動車事故の中でも危険な運転をして起こした人身事故は、危険運転と定められています。アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為を行う(自動車運転処罰法第2条第1号)等の危険運転を行い、よって人を死傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処します(自動車運転処罰法第2条)。
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処します(自動車運転処罰法第3条第1項)。
また、自動車運転処罰法は、このような飲酒運転の発覚を妨げるような行為をした場合を「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱」として処罰しています。アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処します(自動車運転処罰法第4条)。

いずれも、無免許運転の場合はさらに重い処罰が下されます(自動車運転処罰法第6条)。

措置義務違反・報告義務違反
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(運転者等)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません(措置義務(救護義務):道路交通法第72条第1項前段)。
また、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含みます)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければなりません(報告義務:同法第72条第1項後段)。
措置義務違反をした者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処されます(同法第117条の5第1項)。
報告義務違反をした者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます(同法第119条第1項第17号)。
自身の運転に起因して交通事故が起こり死傷者が出た場合で、措置義務に違反したときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(同法第117条第2項)。

懲戒処分
交通事故や交通違反をした場合、重い懲戒処分を下されます。
国家公務員に関する「懲戒処分の指針について」では、「第2 標準例」「4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係」にて、次のように定めています。免職もあり得る、非常に重い処分が定められています。

4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。
イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。
ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)
ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。
イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反
著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。

失職
公務員は禁錮以上の刑に処せられると当然失職となります(国家公務員法第76条・第38条第1号、地方公務員法第28条第4項・第16条第1号)。地方公務員の場合、地方公務員法第28条第4項により、条例に定める場合は失職とならないという例外を定めることができます。過失による交通事故などを失職の例外として定めている公共団体もあります。飲酒運転をしていた場合は例外に当たらないとする公共団体は多いです。

まとめ
以上のように、公務員が交通事故・交通違反をしてしまうと重大な結果に至ることになります。
公務員の方で交通事故・交通違反にお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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公務員と交通違反

公務員が自首をするときの注意-公務員が自首をする場合について解説

2024-12-04

公務員といえども、犯罪を行ってしまい、逮捕されることがあります。
公務員が逮捕された場合、一般の人より実名報道される可能性が高くなります。
実名報道により、勤務先に事件が知られてしまい、懲戒処分を受けることになります。
実名報道によって、公務員の方ご本人だけでなく、家族の生活が壊れてしまいます。
もちろん、公務員が逮捕・勾留され、仕事に行けなくなり、結果として勤務先に事件が知られてしまうことになります。
公務員が逮捕によって受ける不利益は非常に大きいです。
そこで、状況次第では自首を検討することになります。
自首をすれば、逮捕されずに在宅捜査で進められることがあります。
しかし、とにかく警察に行って犯行を伝えるということではいけません。
慎重に自首をしないと、結局は逮捕されてしまうことになります。
刑事弁護に精通した弁護士に相談・依頼したうえで、慎重に対応することになります。

自首とは
刑法第42条第1項では、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定されております。
自首は、犯人が捜査機関に対して自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めることをいいます。
任意的な刑の減軽事由とされており、必ず減軽されることにはなりません。
自首で刑が減軽される根拠は、犯罪の捜査や犯人の処罰を容易にさせ、人の改悛・反省による非難・責任の減少にあります。
自首は、捜査機関に対する犯罪事実の申告を、自ら進んで自発的に行う必要があります。
申告の動機としては、必ずしも反省悔悟に出たものであることを要しません。
申告の内容としては、自己の犯罪事実の申告でなければなりません。
その申告は、犯行の重要部分を殊更隠したり、虚偽の事実を申告するものであってはなりません。
自首が成立するためには、一罪を構成する事実全体についての申告がなされなければなりません。
申告には、自己の訴追を含む処分を求める趣旨が明示的又は黙示的に含まれていることを要します。
捜査機関に対する申告であることが必要です。
口頭による場合、犯人自身により検察官又は司法警察員の面前で犯罪事実の申告がされなければなりません。
電話による自首は、これが直ちに口頭による自首となるものではありませんが、直ちに司法警察員の面前に出頭しようとしている場合は、全体として自首とみることができます。
捜査機関に発覚する前の申告であることが必要です。
発覚とは、犯罪事実及び犯人の発覚をいいます。
犯罪事実が全く発覚していない場合はもちろん、犯罪事実は発覚していても犯人が誰であるかが発覚していない場合も、発覚する前に含まれます。

自首をどのようにするべきか
自首は刑の任意的・裁量的減軽事由です。
現実には、自首によっても裁判ではほとんど刑が減刑されないことが多いです。
しかし、自首をすることによって、証拠隠滅や逃亡のおそれを低くし、逮捕の可能性が小さくなる可能性があります。
逮捕されないことで、実名報道されるリスクも減ります。
反省の態度を示しながら、捜査に協力することを示すことで、むやみに勤務先に知られるリスクも低くなる可能性があります。自ら自首をしたことで、懲戒処分においても有利な事情として考慮されます。
そこで、弁護士に相談し、今回の事件内容であれば自首をすることで逮捕される可能性が低くなるかを検討します。
自首をすると判断したら、そのための準備をします。
事前に自首の上申書を作成し、本人の誓約書や家族の身元引受書を用意します。
警察に電話して、これから自首をすることを説明します。
弁護士と一緒に警察署に行き、自首の上申書、誓約書、身元引受書等を提出します。
本人が取調べを受けている最中は、弁護士は警察署内等で待機します。
自首はとにかくすればいいというものではないので、刑事弁護に精通した弁護士に相談・依頼してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、公務員の方が自首をするケースをこれまでに多く扱ってきました。
初回面談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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公務員の職権濫用-公務員が自身の職権を濫用した場合に成立する犯罪について解説

2024-11-29

公務員の中には一般国民が持てないような強力な権限を持ち、逮捕のように国民の権利利益を強制的に制約することもできます。このような公務員がその職権を濫用すれば、公務の適正が害され、公務に対する国民の信頼も損なわれてしまいます。
近年では、警察官や刑務所職員の収容者への対応や、検察官の侮辱的な取調べが問題となっています。
ここでは、公務員が職権を濫用した場合に成立する犯罪について解説します。

職権濫用罪
職権を濫用して国民の権利利益を侵害した場合、害悪が重く、公務の適正を害するため、職権乱用を処罰する規定が定められています。特に人の身体を強制的に拘束する職権を濫用した場合は、害悪が甚大であるため、より重く処罰されます。

公務員職権濫用
公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、公務員職権濫用罪が成立し、2年以下の懲役又は禁錮に処されます(刑法第193条)。
「職権」とは公務員の一般的職務権限に属する行為を指します。「濫用」とは、この職権の行使に仮託して、実質的、具体的に違法・不当な行為をすることをいいます。
公務員職権濫用罪は2年以下の懲役に処すると定められており、3年以下の懲役に処される強要罪(刑法第223条)より刑罰が軽くなっています。これは、公務の適正の確保という抽象的な利益を保護法益としており、また暴行や脅迫のような害悪の程度の強い行為を用いなくても犯罪が成立しうるためです。一方で、公務員職権濫用罪に該当する行為でも、暴行や、生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した場合は、強要罪のみが成立するとされています。強要罪の場合は、公務員職権濫用罪と違い未遂罪も処罰されます(刑法第223条第3項)。

特別公務員職権濫用
裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処されます(刑法第194条)。
本罪の主体は、裁判官、検察官、検察事務官、警察官、のほか、裁判所書記官などが該当します。
これらの公務員は刑事司法に関して職務上逮捕等により人を拘束する権限を有しています。このような職権を濫用することは害悪が甚大であるため、一般人でも行える逮捕監禁罪(刑法第220条。3月以上7年以下の懲役)よりも刑罰が重くなっています。

特別公務員暴行陵虐
裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、特別公務員暴行陵虐罪が成立し、7年以下の懲役又は禁錮に処されます(刑法第195条第1項)。法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、同様に処罰されます(刑法第195条第2項)。
第1項の罪の主体は、特別公務員職権濫用罪と同じく、裁判官、検察官、検察事務官、警察官、裁判所書記官などが該当しますが、人を逮捕監禁する権限を有しない者も対象になります。
暴行とは暴行罪などと同じく身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
陵辱とは辱める行為や精神的に苦痛を与える行為、加虐とは苦しめる行為や身体に対する直接の有形力の行使以外の肉体的な苦痛を加える行為などをいいます。わいせつ行為など、暴行以外の方法で精神的又は肉体的に苦痛を与える行為が該当します。
第2項の「法令により拘禁された者」とは、逮捕や勾留されている者など、法令上の規定に基づいて公権力により拘禁されている者をいいます。このような者を「看取又は護送する者」が本罪の主体となります。

特別公務員職権濫用等致死傷
特別公務員職権濫用罪や特別公務員暴行陵虐罪を犯し、よって人を死傷させた場合は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断されます(刑法第196条)。
禁錮より懲役刑の方が重いです(刑法第9条・第10条第1項)。傷害罪は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第204条)、傷害致死罪は3年以上の有期懲役(刑法第205条)に処されます。特別公務員職権濫用罪は6月以上10年以下と、短期については傷害罪より重いため、特別公務員職権濫用致傷罪の場合は6月以上15年以下の懲役刑が科されます。
特別公務員暴行陵虐罪は7年以下の懲役又は禁錮と、傷害罪より軽いため、特別公務員暴行陵虐致傷罪は1月以上15年以下の懲役刑が科されます。
致死罪はどちらも3年以上20年以下の懲役となります。

懲戒処分
国家公務員の懲戒処分の基準である「懲戒処分の指針について」では、このような職権濫用については標準例に載せられていません。しかし、「懲戒処分の指針について」では、「なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。」とされています。このような職権濫用は公務員と公務に対する国民の信頼を大きく損ねますので、強い非難に値し、重い懲戒処分が下されるでしょう。

おわりに
以上のように、公務員が職権濫用をすると、重い刑罰や懲戒処分を下される可能性が高いです。そのため、早期に弁護士に相談して対応を決めるべきです。
公務員の方で職権濫用が心配な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

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汚職の罪

公務員の懲戒処分

2023-08-21

刑罰が定められている法令に違反すると、法令に定められた刑罰を科されます。一方で、公務員については、さらに所属官庁から懲戒処分を下される可能性があります。ここでは、公務員の懲戒処分について解説します。

懲戒処分の根拠

公務員の懲戒について、国家公務員は国家公務員法82条以下に、地方公務員は地方公務員法27条以下に定めています。

国家公務員法・地方公務員法とも、懲戒事由について定めています。

国家公務員法

第二款 懲戒

(懲戒の場合)

第八十二条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合

 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

地方公務委員法

(懲戒)

第二十九条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれらに基づく条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合

 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

犯罪を犯した場合は、「(国民)全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」に該当するでしょう(国家公務員法82条1項3号、地方公務員法29条1項3号)。

なお、国家公務員については、特別職国家公務員となるために退職出向し、再び国家公務員として採用された場合、退職出向前の非違行為に対し懲戒処分をすることが可能となっています(国家公務員法82条2項)。地方公務員も同様に、特別職地方公務員となるために退職出向し、再び地方公務員として採用された場合、退職出向前の非違行為に対し懲戒処分をすることが可能となっています(地方公務員法29条2項)。また、地方公務員が定年前再任用短時間勤務職員として採用された場合、退職前及び採用中の非違行為に対し懲戒処分をすることが可能になっています(地方公務員法29条3項)。

懲戒手続

国家公務員の場合、懲戒処分は任命権者が行いますが、懲戒手続は人事院が行います(国家公務員法84条1項2項)。

地方公務員の場合は、条例に定められた機関が懲戒手続を行います(地方公務員法29条4項)。

国家公務員法

(懲戒権者)

第八十四条 懲戒処分は、任命権者が、これを行う。

 人事院は、この法律に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができる。

(国家公務員倫理審査会への権限の委任)

第八十四条の二 人事院は、前条第二項の規定による権限(国家公務員倫理法又はこれに基づく命令(同法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反する行為に関して行われるものに限る。)を国家公務員倫理審査会に委任する。

懲戒手続

刑事手続との関係

公務員の場合、起訴されると、強制的に休職させられることがあります(地方公務員法第28条第2項第2号、国家公務員法第79条第2号)。休職中は仕事ができませんし、給与は支給されません(国家公務員法第80条第4項参照)。

そして、裁判の結果、有罪の判決を言い渡され、禁錮以上の刑に処されると、失職してしまいます(地方公務員法第28条第4項・第16条第1号、国家公務員法第条第76条・第38条第1号)。

国家公務員法では、刑事裁判が継続中の事件であっても懲戒手続を進めることができる旨定められています(国家公務員法第85条)。そのため、重大な事件では判決が出る前に懲戒手続がすすめられ、懲戒処分が下されることがあります。

国家公務員法

(刑事裁判との関係)

第八十五条 懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない。

懲戒処分の効果

懲戒処分の種類

懲戒処分には、戒告、減給、停職、免職があります(地方公務員法第29条第1項、国家公務員法第82条第1項)。

免職

公務員の身分を失わせる処分です。

停職

国家公務員の場合、停職の期間は1年以内です(国家公務員法83条1項)。停職中は引き続き職員としての身分を有しますが、職務には従事せず、基本的に給与は受け取れません(国家公務員法83条2項)。

減給

国家公務員の場合、1年以下の期間で、俸給の月額の5分の1以下に相当する額を給与から減らします。

戒告

戒告は、その責任を確認し、将来を戒める処分です。

国家公務員法

(懲戒の効果)

第八十三条 停職の期間は、一年をこえない範囲内において、人事院規則でこれを定める。

 停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。停職者は、第九十二条の規定による場合の外、停職の期間中給与を受けることができない。

非違行為が重いほど、処分は重くなります。特に、公務中や公金・官物の取り扱いに関係する非違行為はより重い処分を下されます。例えば、国家公務員の場合、公金や官物を横領した場合は、免職とするとされています。

人事院は、「懲戒処分の指針について」にて懲戒処分の指針を公表しています。

https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/12_choukai/1202000_H12shokushoku68.html

地方公務員の懲戒の手続や効果は、条例で定めます(地方公務員法29条4項)。

地方公共団体においても、懲戒処分の指針を定めています。

参考:東京都知事部局職員の懲戒処分についての「懲戒処分の指針」

https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/03jinji/choukaisisin.pdf

懲戒処分以外の指導

公務員が不祥事を起こしたときに、「訓告」や「厳重注意」を受けたと言われることがあります。これらは、上級監督者から部下職員に対する指導、監督上の措置として行われるもので、懲戒処分ではありません。

退職金について

犯罪を起こした公務員について懲戒処分とともに公務員に関して「依願退職」という言葉を聞くことがあります。一般企業でいうところの「自主退職」、「自己都合退職」であり、自己の意思で退職したものです。

上記のとおり、禁錮以上の刑に処されると、失職してしまいます(地方公務員法第28条第4項・第16条第1号、国家公務員法第条第76条・第38条第1号)。

また、公金官物の取り扱いに関して犯罪を行うと免職となることが多いですし、重大な犯罪を行うと免職処分を下される可能性が高いです。

禁錮以上の刑に処されるなどして失職した場合や、懲戒免職処分を受けた場合、退職手当の全部または一部が支給されないことがあります(国家公務員退職手当法12条)。在職中に起こした事件について起訴され禁錮以上の刑に処されたことが発覚等した場合、退職手当の支払いの差し止めや支給制限、さらに返納を義務付けられることがあります(国家公務員退職手当法13~15条)。

そのため、懲戒手続がなされる前に退職したとしても、在職中に起こした事件について禁錮以上の刑に処せられると、結局退職金を全額受け取れないことになります。

参考

人事院 服務・懲戒制度

https://www.jinji.go.jp/ichiran/ichiran_fukumu_choukai.html

国家公務員の服務の基本的な事項が載せられています。「義務違反防止ハンドブック」には、懲戒関係についての記載も載せられています。

まとめ

以上のように、公務員が犯罪を犯すと刑罰だけでなく懲戒処分を科されます。重大な違法行為をしたのであれば、自主退職しても退所金が支給されない可能性があります。

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